地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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120 巻, 3 号
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論説
  • 西来 邦章, 竹下 欣宏, 田辺 智隆, 松本 哲一
    2014 年 120 巻 3 号 p. 89-103
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/07/26
    ジャーナル フリー
    四阿火山において地質調査,K-Ar年代測定および全岩化学組成分析を行い,火山活動史の再検討を行った.本火山は噴出物の分布と地形の開析の程度差,活動年代および全岩化学組成から,3つの火山体(初期火山体,根子岳火山体,浦倉山火山体)からなる.本火山の活動は,約80万年前に開始した(初期火山体の活動).約70万年前には,根子岳周辺でデイサイトの火山活動が発生し(根子岳火山体の活動),数万年間で山体が形成された.初期火山体は約55万年前まで活動が継続したのち,5万年程度の活動休止期を挟み,約50万年前には,浦倉山周辺で安山岩の火山活動が発生した(浦倉山火山体の活動).この火山体の活動は約45万年前には終息した.そして,約30万年前には,四阿火山の北西方において小規模な火山体(鳴岩火山)が形成された.
  • 斎藤 眞, 中川 充
    2014 年 120 巻 3 号 p. 105-114
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/07/26
    ジャーナル フリー
    山本ほか(2011)は鹿児島県薩摩半島の八瀬尾地域に分布する蛇紋岩の産状を示し,四万十帯の白亜紀堆積岩の上に重なるクリッペとみなした.しかしながら,我々の調査によって,この蛇紋岩体は,過去の報告にあるように,白亜紀の堆積岩類に垂直ないしは高角で南北に延びた岩脈状に迸入したことが明らかになった.その根拠は,彼らが低角境界で堆積岩類に重なるとした尾根上の蛇紋岩体と白亜紀の堆積岩との間に高角~鉛直の境界が存在すること,彼らが指摘した谷沿いに分布する蛇紋岩の孤立岩塊,岩屑堆積物は,明らかな蛇紋岩露頭であることなどの明確な産状による.さらにそれら蛇紋岩の露頭は,谷間で小さな滝を作り,山腹では急崖を作る.この蛇紋岩体は徳之島,四国西部で認められる蛇紋岩に対比され,白亜紀末~暁新世初頭に迸入したものと考えられる.
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