地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
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120 巻, 9 号
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総説
  • 井上 淳, 村上(北瀬) 晶子, 奥平 敬元
    2014 年 120 巻 9 号 p. 287-298
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/12/22
    ジャーナル フリー
    球状炭化粒子(SCPs)は,産業活動での化石燃料燃焼によって発生するフライアッシュ粒子の一つである.球状炭化粒子は,主に炭素からなり,そのため長期にわたって堆積物中に保存される.それゆえ堆積物中の球状炭化粒子は,環境汚染の程度や歴史を明らかにするために用いられる.球状炭化粒子は,空間的および時間的な大気汚染,あるいは堆積物コアの年代指標として用いられ,さらには越境汚染の評価(例えば,非工業地域で検出される汚染物質の発生源の特定)に用いることができる.堆積物中の球状炭化粒子含有量および形態,粒径,化学組成などの各特徴は,過去および現在における大気汚染に関する有用な情報を提供する.本総説では,その分析法と活用法について,特に過去約10年間の日本での研究成果を中心に概説する.
論説
  • 三宅 明, 横江 和貴, 鈴木 文悟, 五十嵐 夕香莉
    2014 年 120 巻 9 号 p. 299-312
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/12/22
    ジャーナル フリー
    愛知県段戸山地域は領家変成岩類が広く分布し,これらの変成岩類を神原トーナル岩(古期花崗岩類)と武節花崗岩(新期花崗岩類)が貫入している.変成泥岩の鉱物組み合わせを基礎にした変成分帯図を作成した結果,段戸山地域には2つの大きなスケールの熱構造が,本地域の花崗岩類の分布とは関係せずに,存在することが明らかになった.ひとつの熱構造では本地域の中央付近から南東方向に変成度が上昇し,もうひとつの熱構造では北西方向に変成度が上昇する.前者は,片理形成以前に成長した紅柱石が見られることや周辺地域の変成分帯との比較から,領家広域変成作用によって形成されたと考えられる.一方,後者は,カリ長石と共存する紅柱石が片理形成後に成長しているのが見られることから,広域変成作用後のより低い圧力のもとで形成したと考えられる.この変成イベントでは,急激な温度上昇プロセスによって,細粒で高変成度の変成岩類が生じた.
  • 星 博幸, 田中 里志, 宇佐美 徹, 中川 良平, 津村 善博, 小竹 一之
    2014 年 120 巻 9 号 p. 313-323
    発行日: 2014/09/15
    公開日: 2014/12/22
    ジャーナル フリー
    ガウス-松山地磁気逆転境界に対比される古地磁気極性逆転層準を三重県の東海層群の露頭で決定した.7層準から堆積岩試料を採取し,残留磁化測定と岩石磁気実験を行った.その結果,露頭内の約3 mの層位区間にガウス-松山境界に対比される極性逆転が記録されており,その中には異常な古地磁気方位を示す層準も含まれることが判明した.今回の結果は東海層群の古地磁気層序と年代層序に一つの重要な基準面を与えるものであり,他地域に分布する鮮新-更新統との層序対比においても一つの重要な手がかりになると考えられる.
口絵
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