地質学雑誌
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121 巻, 2 号
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特集 トピックセッション「ジュラ系+」の10年(その1):日本のジュラ系
報告
論説
  • 熊本県坂本地域の渋利帯から産した前期ジュラ紀放散虫化石の意義
    石田 直人
    2015 年 121 巻 2 号 p. 45-58
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    九州西部に位置する熊本県坂本地域において,黒瀬川帯の要素のひとつ,渋利帯の坂本層から前期ジュラ紀Pliensbachian期を示す放散虫化石を発見した.渋利帯の坂本層からは確実な年代指標が得られていなかったが,これにより下部ジュラ系を含むことが判明した.また,下位の上部三畳系松求麻層との間には時間間隙が存在し,両層の境界は不整合と考えられる.
    この10年間に,九州西部の黒瀬川帯では4地域において下部ジュラ系が識別されている.今回発見された放散虫化石群集は,これら下部ジュラ系間の対比に重要な役割を果たす.例えば,渋利帯の坂本層は坂本帯の平沢津谷層と岩相・時代の両面から対比できる.さらには,九州西部で判明した時代関係から,黒瀬川帯下部ジュラ系の堆積と沈み込み帯での付加体成長は,ジュラ紀初頭には既に同時に進行していることが示唆される.
  • 永田 紘樹, 小松 俊文, シュリージン ボリス, 石田 直人, 佐藤 正
    2015 年 121 巻 2 号 p. 59-69
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    島根県西部に分布する下部ジュラ系樋口層群の調査を行い,樋口層群を新たに下位より尾路地谷層と樋口谷層に区分した.尾路地谷層は,礫岩,砂岩,泥岩からなり,二枚貝化石のOxytoma sp.や“Pleuromya” sp.を産出する.樋口谷層は,軟体動物化石を含む暗灰色泥岩を主体とする.樋口谷層からは,6属6種の二枚貝化石,Kolymonectes staescheiPalmoxytoma cygnipesRyderia texturataPseudomytiloides matsumotoiOxytoma sp., “Pleuromya” sp.が産出する.本層群の二枚貝化石群は,ロシアやカナダ北部に分布する下部ジュラ系から産する北方系のフォーナであるK. staescheiP. cygnipesを含み,典型的なテチス系の種を含まない特徴がある.
  • 佐野 晋一, 伊庭 靖弘, 伊左治 鎭司, 浅井 秀彦, ジューバ オクサナS.
    2015 年 121 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2015/02/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    日本の最下部白亜系産ベレムナイトを検討し,岐阜県荘川地域手取層群御手洗層からシリンドロチューティス科Cylindroteuthis aff. knoxvillensis Andersonの,そして宮城県気仙沼地域磯草層および福島県南相馬地域相馬中村層群小山田層からメソヒボリテス科Hibolithes spp.の産出を,それぞれ初めて確認することができた.ベレムナイト古生物地理において,シリンドロチューティス科はボレアル系,メソヒボリテス科はテチス系と考えられており,現在の緯度ではより北に位置する南部北上地域にテチス系動物群が,一方,手取地域にボレアル系動物群が存在することは,当時の古地理や海流系を復元する上で注目される.また,上記の3層から発見されるアンモノイドはテチス海地域から太平洋域に広く分布する属からなり,ボレアル系の要素は知られていないことから,当時の手取地域がテチス区とボレアル区の境界付近に位置していた可能性がある.
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