地質学雑誌
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121 巻, 7 号
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巡検案内書:第122年学術大会(2015・長野)
  • 竹内 誠, 竹之内 耕, 常盤 哲也
    2015 年 121 巻 7 号 p. 193-216
    発行日: 2015/07/15
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
    新潟県糸魚川市中央部には,日本を代表する構造線の一つである糸魚川-静岡構造線が存在し,その西側には,西南日本を構成する地帯の構成岩が狭い範囲に分布する.その中の蓮華変成岩類と超苦鉄質岩からなる蓮華帯は,古生代に東アジアの大陸縁辺部の沈み込み帯で形成されたとされている.その後,飛騨変成岩類や飛騨花崗岩類などからなる大陸地域とペルム紀やジュラ紀付加体との間で生じた造構作用によって,蓮華帯は両者間に位置するようになり,その造構作用に伴って形成された地質体を保持している.これらの地質体を解析することは,上記の造構作用の実態を明らかにする上で重要である.●本コースでは,まず2015年3月にリニューアルしたフォッサマグナミュージアムで,見学コース全般の地質を把握する.次にヒスイ輝石岩や蓮華変成岩類の岩相と変形構造を観察し,蓮華帯の変形史を考える.また,それを不整合に覆う下部ジュラ系来馬層群下部の堆積相と凝灰岩層を観察し,蛇行河川堆積物の特徴と前期ジュラ紀の火成作用を確認する.さらにジルコンのU-Pb年代を基に再定義された陸成白亜系とそれに貫入する岩脈を観察し,飛騨帯の火成作用と白亜紀の地殻変動を考える.
  • 杉戸 信彦, 廣内 大助, 塩野 敏昭
    2015 年 121 巻 7 号 p. 217-232
    発行日: 2015/07/15
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
    長野盆地西縁断層帯は,羽越褶曲断層帯の南端付近に位置する西側隆起の逆断層である.本断層帯は,盆地西縁部に断層変位地形や先行谷を発達させ,豊野層や南郷層とその分布・構造に深く関与してきた.1847年に発生した弘化善光寺地震は,この断層帯が引き起こしたM7.4の大地震である.明瞭な地表地震断層が出現し,多数の斜面崩壊が発生した点で,同じく羽越褶曲断層帯で発生した2004年新潟県中越地震などと共通点が多い.本巡検では,変動地形の分布と大地震に伴う地表変位,また関連する地質および地質構造の発達史について,災害という側面を意識しながら,地形・地質学的観点から議論する.
  • 竹下 欣宏, 西来 邦章, 富樫 均
    2015 年 121 巻 7 号 p. 233-248
    発行日: 2015/07/15
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
    四阿(あずまや)火山は長野・群馬県の県境に位置し,約80万年前~45万年前にかけて活動した大型の成層火山である.環状に連なる稜線によって囲まれた“四阿カルデラ”と呼ばれる直径3 kmほどの凹地が,地形的な特徴である.このカルデラから流れ出る米子川の上流域には,厚さ150 mに達する溶岩層が作る断崖絶壁が約1 kmも続き,不動滝(ふどうだき)や権現滝(ごんげんだき)をはじめとする落差70~80 mほどの複数の滝が見られる.また,カルデラ内には硫黄鉱床が存在し,1960(昭和35)年まで米子(よなこ)硫黄鉱山として採掘が続けられた.このほか周辺には,中世の山岳修験道に由来をもつ米子不動奥之院(よなこふどうおくのいん)や但唱(たんしょう)上人が木食行を行ったと伝えられる遺跡も存在する.本コースでは,四阿カルデラ,不動滝や権現滝といった成層火山体の開析地形とそれらを構成する火山岩類を観察するとともに,米子硫黄鉱山跡や米子不動奥之院といった人文的景観についても見学する.
  • 牧野 州明, 高橋 康, 中村 由克, 向井 理史, 法橋 陽美, 津金 達郎
    2015 年 121 巻 7 号 p. 249-260
    発行日: 2015/07/15
    公開日: 2015/08/04
    ジャーナル フリー
    和田峠周辺は良質な黒曜石やざくろ石の産地,あるいは石器の原産地である.しかし,黒曜岩は露出状況が悪く構成物質も非常に細かいという事情が,黒曜岩の岩相や組織を探ることを妨げている.最近,機器の性能が向上するに伴い,微細な構成物の分析や観察も可能になり,黒曜岩にみられる微細組織の観察と理解が進んできた.今回、和田峠の黒曜岩と流紋岩に記録されている組織から読み取れるマグマの冷却と穏やかな脱ガス過程とそれを反映した岩相変移を紹介する.
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