日高変成帯と接合後衝上時に広域的に右横ずれ剪断変形を受けたとされているポロシリオフィオライト中に,NNW走向の小規模な左横ずれ剪断帯を見出した.ポロシリオフィオライト中の変はんれい岩は角閃岩化と同時に右横ずれ剪断変形を受けており,左横ずれ剪断帯では,その角閃岩が斜長石の動的再結晶とホルンブレンド+斜長石の細粒粒子集合体を生成する変成反応により,マイロナイト化している.面構造の方位変化や非対称微細構造などは,全て左横ずれの剪断センスを示す.ホルンブレンド-斜長石の地質温度計より,角閃岩とマイロナイトの変成温度はそれぞれ,約708±7°Cおよび678±6°Cと推定され,角閃岩の左横ずれ剪断変形とマイロナイト化は後退変成時に起こったと考えられる.先立つ右横ずれ剪断変形が衝上成分を持つのに対し,左横ずれ剪断変形は正断層成分を持っており,左横ずれ剪断帯は後退変成時の局所的な後退運動によって形成された可能性がある.
本研究では,沖縄本島最北端の辺戸岬に分布する上部三畳系今帰仁層の岩相層序とコノドントおよびアンモナイト化石年代を明らかにするとともに,堆積環境について検討した.本研究の結果,今帰仁層は主に放散虫や薄殻二枚貝を含むミクライト質石灰岩からなる下部層,砕屑性石灰岩が頻繁に挟まれる中部層,数層準にスランプ堆積物が挟まれる上部層に区分される.薄片観察の結果から,今帰仁層は大陸から遠く離れた大洋域の海山などの斜面において,ミクライト質石灰岩の堆積中に浅海域起源の砕屑性石灰岩がタービダイトやスランプ堆積物として流入して形成されたと考えられる.またコノドントとアンモナイトの化石年代より,辺戸岬に分布する今帰仁層の堆積年代は三畳紀後期のカーニアン前期からノーリアン中期と考えられる.
北海道東部の釧路海岸地域には,河川および浅海成の地層である古第三系浦幌層群が分布する.古第三紀には,古千島弧とユーラシア東縁部の衝突が起こったとされている.しかし,この衝突がいつ起こったのか詳しくはわかっていない.浦幌層群天寧層中の礫は,この島孤衝突に伴って隆起した仁頃層群からもたらされたと言われている.そのため,天寧層の堆積年代を求めることは,島孤衝突の時期を決定する上で重要である.しかしながら,釧路海岸地域に分布する浦幌層群の放射年代はこれまで全く報告されていなかった.そこで,本研究では,浦幌層群天寧層中部の細粒凝灰岩に含まれるジルコンを用いてU-Pb放射年代測定を行った.測定にはレーザーアブレーションICP質量分析法を用いた.その結果,後期始新世に相当する39.06±0.23Maの年代が得られた.このことから,仁頃層群の隆起,そしてその原因となった島孤衝突は,始新世には既に起こっていたと考えられる.
A Sr and Nd isotopic study was undertaken on the Shikanoshima basic rocks in the Shikanoshima Granodiorite, Shikanoshima Island, northern Kyushu, southwest Japan. The medium- and coarse-grained facies of the Shikanoshima basic rocks have similar Sr and Nd isotopic compositions.