富山トラフ南東部,海鷹海脚周辺の上部第四系を対象として,三次元地震探査データのサイスミック地形学解析を実施した.その結果,上越埋没海底谷群内において,通常のチャネル流下方向とは異なる,海脚斜面部からの突発的側方流入堆積体が,海鷹海脚西側斜面下において,マウンド状を示す土石流堆積体および斜面ガリー起源の線状配列堆積体が認められた.これらの特徴的堆積物は,後期更新世における氷河性海水準変動に起因するメタンハイドレートの分解とポックマークの形成に伴う斜面崩壊やガリー形成に関連して堆積した可能性がある.
日本海東縁の富山トラフおよび周辺海域について,海底地形観測ならびに地殻構造探査の成果をコンパイルした.その結果,つぎの知見を得た.
1)当該海域では,活動を停止した正断層,反転構造をもつ逆断層,および活断層などの時空分布に明瞭な区域性がみられ,個々に地塊運動が行われた.
2)富山トラフの断裂構造のうち,南北走向の断層群は,大和海嶺東縁を画し,明洋第三海山区の右ずれ剪断帯を経て日本海盆まで追跡される(富山トラフ剪断帯).
3)大和海盆の拡大は前段のE-W系軸とそれ以降のNE-SW系軸の2段階で行われた.後段末期には,同海盆北東端で拡大軸に直交するNW-SE系左ずれ断層群が活動し,同時に,富山トラフ剪断帯が共役的な右ずれ開口変位を生じ,富山トラフを形成した.
4)南北剪断帯が拡幅されフォッサマグナ地域と一連の構造帯となったことにより,本州弧は東西に分割され,これ以降,両側で地殻変動の様式と発現時期が異なる状態となった.
富山トラフと周辺日本海の広域震探記録の解析の結果,富山トラフ東縁を通る東経138°付近の南北性横ずれ構造線を境に,地質構造の方向が東西で大きく異なり,西側のリフト期の断層はさらに方向の異なる6断層系列に分けられ,多段階の日本海拡大に対応した応力場の変遷を反映したと推定された.富山トラフは南北で異なる多段階のリフティングで形成された複合リフトであり,富山トラフ北部は,早期リフト期(43-21 Ma)にWNW-ESE方向の後,NNW-SSE方向のリフト海盆が形成され,引き延ばされた地殻からなる.富山トラフ南部はリフト末期(18-15 Ma)に北部フォッサ・マグナとともに,右横ずれ伸張テクトニクスによりNNE-SSW方向の雁行プルアパート海盆群として形成された.ポストリフト期は圧縮テクトニクス下で逆断層が方向を変えて発達し,それらの地質構造と富山深海長谷の流路は,リフト期の構造に規制されている.
Two Devonian brachiopod species, Spinocyrtia sp. and Strophopleura notabilis (Kindle), are here described from the newly proposed Takaya Formation of Takaya, Bungo-ono City, Oita Prefecture, in the Kurosegawa Belt of Kyushu, southwestern Japan. This is the first record, with systematic descriptions, of Devonian brachiopods from Kyushu. The Takaya fauna indicates a Late Devonian (Famennian) age. The Takaya Formation is thereby correlated with the Famennian formations of the Kurosegawa, South Kitakami and Hida Gaien belts in Japan.