此論文は監原化石植物群の研究を根據として論じたものである。監原化石植物群の地質時代は次の事項により第四紀更新世のものであつて第三紀時代の植物群ではない。則ち監原化石植物群には絶滅種の割合が非常に少ないこと, 第二遠隔なる地方に現生する要素を缺くこと。第三かへで科植物の掌状分裂葉の數は地質時代が金星に近づけば近づく程多數のものが認められる。而して監原化石植物群のかへで科中には第三紀時代に産出しない11葉以上の掌状分裂葉をもつAcer japonicum THUNB., (はらちはかへで)等があること, 第四層位上及び地形上の對比から第四紀更新世の植物群である。次に監原化石植物群の指示する氣候は現在より餘程寒冷であつたものと見なければならない。則ち監原化石植物群を埋蔵した當時の監原湖の海面よりの高度は500米乃至600米であつたと推論すべき十分な證據があるのに銅化石植物群は現在本州中部に於て1500米附近の高度のところか, 又は北海道中南部に繁茂する植物群に彷彿たるものである。また植物群の葉縁は氣候に關係して變化するものであるが, 監原化石植物群の葉縁の状態は現在の北海道の植物群に類似して居ること等から考察して, 當時の此地に於ける年平均温度は現在より摂氏五度乃五・五度低かりしもとの見なければならない。
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