先年植田房雄學士が神奈川縣鶴見區鶴見町花月園北側(同氏の生麥化石帶)より1個の海膽を採集せられたが, 是れはPleurechinus ruber DODERLEINに同定すべきものと思はれる。本種の模式標本は東京灣20尋(カヂヤマ(加知山?)附近)の處から現生種として採集され, 専門家ですら僅かの人が此の標本を見た様で, 特に化石としては最初の報告である。尚ほPleurechinus屬には種々の困難な問題があるが, AL., AGASSIZ, 1872年以來のPleurechinusの種は大部分Temnotremaに編入すべきものであり, rutrumは同屬の模式種sculptumに近縁を有した異種のものと思はれる。rubrumの分布は模式標本並に教室所藏標本(東北帝國大學地質學古生物學教室登記番號5831の千葉縣水産試驗所々屬房丸採集地點51千葉縣夷隅郡鵜原灣)より知られる所では殆んど中央日本太平洋岸に限られる様であり, 垂直分布も約5米-39米である。Temnotrema屬は尚ほ三群に細分出來るが, 今假に1屬と見做すことにし, 今後の研究に俟つ。
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