日本産Elpidiumの種の數は, 現在10種知られているが, 中1種は, 北海道の瀧川層, 樺太の圓山砂質頁岩層, 並に仁瀧層から多數産出する。北米西海岸の更新世から報告されてゐる。E., oregonese CUSHUMAN and GRANTに甚だ近いが, 臍部形態の相違に依つて, 別種と考へ, E.,ezoense n., sp.,なる名稱を與へた。本種は, 常にPecten takahashii YOKOYAMAに伴つて産出することから鮮新世有孔蟲と考へられる。〓ほPecten takahashiiの産地で本有孔蟲の發見されない箇所もあるが, それは今後發見の見込があるものと信ぜられる。斯の如く, 興味ある有孔蟲の1新種を提供された東北帝大, 遠藤講師, 稻井講師並に, 北海道帝大, 佐々助教授に深甚な謝意を表す。
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