日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
10 巻, 3 号
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  • 後藤 由夫, 菊池 弘明, 佐藤 信一郎, 梅村 周香, 石川 誠, 大柴 三郎, 小坂 淳夫, 梅原 千治, 室生 勝
    1973 年 10 巻 3 号 p. 147-160
    発行日: 1973/05/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 朝長 正徳, 母里 義郎
    1973 年 10 巻 3 号 p. 161-167
    発行日: 1973/05/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    骨格筋における毛細管基底膜肥厚が光顕的, 電顕的に糖尿病における特徴的所見とされ, 糖代謝異常との関係が推定されてきた. 一方筋生検による筋の形態学的研究が進むにつれて糖尿病以外の疾患でも毛細管基底膜の肥厚がみられることが報告されてきた. そこで骨格筋内毛細血管基底膜肥厚の疾病および加令による影響を検討する目的で糖尿病および神経筋疾患53例, 老年者20例の生検筋につき電顕的検索を行い, 毛細血管基底膜の最小幅を測定して比較し, 次の結果を得た.
    1) 正常値: 60才以下で筋病変のほとんどみられない9例について計測した結果, 毛細血管基底膜の厚さは平均1080Å, 最大2750Åであった.
    2) 糖尿病13例では全例に肥厚がみられ, 平均値5550Å, 最大10,000Åであった. 若年例より成人例に, コントロール不良群に高度な傾向を示した.
    3) 神経筋疾患でも正常上界以上に基底膜肥厚を示すものがあり, とくに多発性神経炎のうちアルコール中毒, 砒素中毒などの中毒性疾患で著明な肥厚を示した (最大20,000Å). またパーキンソン病でも肥厚を示すものが多かった. 多発性筋炎では概して軽度であった. また糖代謝異常を示した筋強直性ジストロフィー症では肥厚は軽度であり, 糖尿病と対照的であった.
    4) 60才以上の老年者で明らかな糖尿病, 神経筋疾患のない15例についての検索では, 平均値1580Å, 最大3580Åで, 軽度ながら肥厚がみられた. とくに癌の症例で高度であった.
    5) 筋採取部位を頭部, 上肢, 躯幹, 下肢近位, 遠位に分けて比較したが, 基底膜厚と部位との間に一定の相関はみられなかった.
    以上より骨格筋毛細管基底膜肥厚は, 糖尿病に限らず, 種々な疾患や加令によって起こる非特異的現象と考えられる.
  • 大島 啓司
    1973 年 10 巻 3 号 p. 168-184
    発行日: 1973/05/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    本研究で著者は気管支喘息という疾患が生命にどういう影響を及ぼすかということを, 死亡統計を中心として以下のような疫学的考察を行ったので報告する.
    著者の疫学的アプローチは次の5項目によった. 1. 喘息の死亡順位, 2. 喘息死亡率の年次推移, 3. 喘息寿命損失率の年次推移, 4. 喘息死亡の地域差, 5. 生命表でみる喘息
    おのおのから導かれた結果を次に記す.
    1. 死亡順位においては1950年から1969年までの20年間に12位から15位を占め, 10大死因に続く疾患である.
    2. 上記20年間の喘息死亡率の年次推移は全年令, 中高令者層および0~4才は漸減しているが, 5~9, 10~14および15~19才の三つの年令群では1959年以降上昇している.
    3. 上記20年間の喘息寿命損失率の年次推移をみても, 死亡率における前記3群の死亡率の上昇を反映し, 1959年以後は横ばい状態である.
    4. 喘息死亡の都道府県別地域差の有無を標準化喘息死亡率指数によって求めたがとくに見出すことはできなかった. しかし, その指数について都道府県別男女間に相関係数を求めると+0.8007 (p<0.001) となり, 喘息発症および死亡に男女差はほとんどないと思われる.
    5. 生命表によると, 明らかに喘息の生存率および0才平均余命は1968年わが国の全死亡数, 全人口より著者が作成した簡略生命表の生存率および0才平均余命よりもともに低い.
    上記死亡統計より, 喘息という疾患が生命に及ぼす影響は決して少ないといえないどころか, むしろ軽視されるべき疾患ではないといえる.
  • 老人性骨粗鬆症における骨コラーゲンの変化
    林 泰史, 滝沢 博, 五十嵐 三都男, 松浦 美喜雄
    1973 年 10 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 1973/05/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老人性骨粗鬆症についてカルシウム, リン等無機質の変化を捉えた研究は多いが, 有機質, ことに骨コラーゲンの変化を追求した研究は少なく, 老人性骨粗鬆症における骨コラーゲンの役割りについては不明の点が多い. この点を解明するための基礎研究として, 皮膚コラーゲンの架橋とリジン, ハイドロオキシリジンの関係, 低カルシウム食投与によるラットの実験的骨粗鬆症と骨コラーゲンのリジン含有量の関係を調べ興味ある所見を得たのですでに報告した. これによるとコラーゲンの架橋形成とともにリジン含有量が減少し, ハイドロオキシリジン含有量は変化しないことがわかった. また実験的骨粗鬆症の発現とともに骨コラーゲンのリジン含有量が増加し, 骨コラーゲンにおける架橋が減少していることがわかった.
    老人性骨粗鬆症を有する患者の骨についても骨コラーゲンに変化があるか否かを調べるために老人性骨粗鬆症を有する人とない人の大腿骨近位部の骨コラーゲンについてリジン含有量を林らの方法で, ハイドロオキシリジン含有量を Blumenkrantz の方法で定量した. それによると老人性骨粗鬆症を有する骨の骨コラーゲン内リジン含有量は平均31.5±0.33moles (コラーゲン105g当り) で正常の骨の骨コラーゲン内リジン含有量平均28.5±0.40moles に比べ増加している. ハイドロオキシリジン含有量は前者が平均3.98±0.20moles, 後者が平均3.57±0.30moles と両者の間に有意の差がなかった.
    実験的骨粗鬆症においても老人性骨粗鬆症においても骨コラーゲン内リジン含有量が増加していることから骨粗鬆症と骨コラーゲンの架橋との間に密接な関係があることがわかり, さらに骨コラーゲンの架橋と石灰化の関係を示す結果も得られたので考察を加えて報告する.
  • 加藤 亮子, 陳 家茂, 村山 正博, 松尾 博司, 山本 英雄, 下村 克朗, 真島 三郎, 春見 建一, 村尾 覚, 佐藤 昇一, 佐藤 ...
    1973 年 10 巻 3 号 p. 191-201
    発行日: 1973/05/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    期外収縮のでやすい疾患, あるいはその出現頻度と年令との関係については個個別別に報告されているけれども, 種々の疾患を有する一つの母集団の中での出現頻度, 疾患との関係, あるいは年令との関係を研究した報告は少ない. 入院患者の場合比較的診断が確かになるが, 著者らは, 東大第2内科の入院患者連続8,000例について心電図検査を行い, 上室期外収縮と心室期外収縮の男女別, 疾患別, および加令との関係を検討した.
    1) 期外収縮は, 8,000例中553例 (6.9%) に認め, そのうち心室期外収縮343例 (4.3%), 心房期外収縮137例 (1.7%), 房室期外収縮45例 (0.4%), いずれとも決定しえなかった上室期外収縮28例 (0.6%) であった.
    2) 加令とともに, 期外収縮の出現頻度は増加し, それは高令者でより著明であり, また, この傾向は心室期外収縮でもっとも強かった. なお, 一般的に男子のほうが女子よりも出現頻度が高かった.
    3) 心室期外収縮の疾患別出現頻度は, 冠疾患62例15.1%, 弁膜症および先天性心疾患109例13.4%, その他の疾患154例2.6%, 高血圧2.0%であり, 心房期外収縮のほうは, 冠疾患22例5.3%, 弁膜症および先天性心疾患16例2.0%, 高血圧15例1.7%, その他の疾患84例1.4%であった.
    4) 各疾患の中で, 冠疾患および弁膜症の因子の加令に及ぼす影響をみるために, それらを心疾患以外のもの, すなわち非心疾患と比較した. 期外収縮の出現頻度は, 弁膜症では年令と関係なく, 冠疾患では加令とともに著明に増加しているが, 非心疾患でも徐々に増加していた.
    5) 期外収縮の連結期の平均値と年令との関係は明らかではなかった.
    6) 心室期外収縮の方向については, 非心疾患では左向きのものが多く, 虚血性心疾患では非心疾患に比べ, 右向きのものがやや増加していた. 方向と年令との間に, 一定の傾向はなかった.
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