日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
13 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 村上 元孝
    1976 年 13 巻 3 号 p. 143-149
    発行日: 1976/05/30
    公開日: 2009/11/24
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  • 川手 亮三, 折茂 肇, 竹内 三郎, 坂本 信夫, 赤沼 安夫, 豊田 隆謙, 盤若 博司
    1976 年 13 巻 3 号 p. 150-188
    発行日: 1976/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 杉浦 昌也, 内山 集二, 桑子 賢司, 大川 真一郎, 平岡 啓佑, 上田 慶二, 嶋田 裕之, 大津 正一
    1976 年 13 巻 3 号 p. 189-192
    発行日: 1976/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁輪石灰化 (MRC) の大きさと弁膜症発生要因を検討した. 対象は昭和47年2月より昭和50年2月までに行った60歳以上の老年者600例の連続剖検で, MRC例の臨床所見および病理所見を調査した.
    (1) 頻度. MRCは計600例中60例 (10%) で, 男6.7%, 女13.3%と性差は有意である (p<0.01). 平均年齢は82歳, 年齢別頻度は加齢とともに増加するが女性のみ有意である (p<0.005). (2) MRCの長さ. 全例後尖弁輪に生じ平均男12.5±10.3mm, 女31.8±23.5mmで長さにも有意な性差を認めた (p<0.01). 30mm以上の例は男1, 女19例で30mmを境として2群に分れ正規分布を示さない. (3) MRCの長さと断面径.MRCの長さと断面最大径はr=0.75の正相関を示した. この中弁膜症 (僧帽弁狭窄ないし狭窄閉鎖不全) の3例は大石灰化群でも極端に位置した. (4) 収縮期雑音は27例に聴取された (全区間3例, 駆出性24例). 大小石灰化群で比較すると収縮期雑音は70%対33% (p<0.05), 後尖から前尖に及ぶMRCは65%対2.5% (p<0.005), 中等度以上の大動脈弁石灰化は40%対20%で有意差はなかった. (5) X線診断. MRCのX線診断は大石灰化群の85%で可能であった. また大石灰化群において他の軟部組織 (気管・気管支・肋軟骨・大動脈弓・胸部腹部大動脈) の石灰化の頻度はMRCのない87例と比較して高率であった (p<0.005).
    以上MRCの症例の収縮期雑音は僧帽弁閉鎖不全, 大動脈弁狭窄による少数例以外は駆出性雑音であると推定した.
  • Furosemide 負荷試験の血漿レニン活性に及ぼす影響
    桑島 巌, 上田 慶二, 山田 英夫, 上田 真智子, 村上 元孝, 海老原 昭夫
    1976 年 13 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1976/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    著者らは, 若年者正常血圧者6例 (I群) を対照とし, 老年者正常血圧者14例 (II群), 老年者高血圧者31例 (III群) 計51例に対し, Furosemide 0.5mg/kg静注法によりレニン遊出試験を行ない, 各群における負荷前後のレニン活性 (以下PRAと略す) を比較検討した. また Furosemide による利尿効果の検討のために若年者6例, 老年者21例に対し, Furosemide 注入前後各々4時間の尿量を比較検討した.
    1) Furosemide 投与前PRA値はI群: 1.49±0.97ng/ml/hr(M±SE), II群1.07±0.23III群1.10±0.85と3群間に有意差は認められなかった. Furosemide 負荷20分後におけるPRA値ではI群: 6.76±1.1 II群1.46±0.31III群1.43±0.97であり, I群はII, III群に比して有意の高値を示した (p>0.05). また負荷前後のPRA値の比較ではI群では Furosemide 負荷により有意の上昇 (p<0.05) を示したがII, III群ではともに有意の上昇は認められなかった.
    2) 若年者および老年者における Furosemide 負荷前後の尿量の比較では若年者負荷前150.6±5.4ml/4時間(M±SE), 同負荷後1155.3±114.5老年者負荷前269.0±36.0同負荷後770.0±80.0と若年者負荷後4時間尿は老年者のそれに比し有意の増加を示した (p>0.05).
    以上の成績より次の結果を得た.
    1) Furosemide 負荷前PRA値は若年者正常血圧者, 老年者正常血圧者および老年者高血圧者の3群間に有意の差が認められなかった.
    2) Furosemide 負荷後PRA値では若年者群は老年者正常血圧者, 老年者高血圧者に比し有意の高値を示し, Furosemide 負荷に対する反応が大であった.
    3) 若年者は老年者に比し Furosemide に対する利尿効果が大であり, レニン遊出刺激としての効果も両群間で異なるものと思われる.
  • 脳血管性痴呆に関する臨床病理学的一考察
    朝長 正徳
    1976 年 13 巻 3 号 p. 198-205
    発行日: 1976/05/30
    公開日: 2009/11/24
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    60歳以上の老年者剖検例220例のうち, 生前明らかに痴呆症状の記載された44例を抽出し, さらにこの中より脳血管性痴呆と考えられる37例をえらび, その脳病変につき臨床病理学的に検討した.
    この37例の内訳は, 男22, 女15例で, 70歳, 80歳台が最も多い. 痴呆以外の神経症状としては, 片麻痺が最も多く, 次いでパーキンソニスム, 仮性球麻痺の順にみられた.
    脳病変は, 両側大脳半球にみられるものが圧倒的に多く (28例), その変化は中大脳動脈領域に最も多く, 次いで前頭葉あるいは広汎にみられるものが多く, 皮質よりも白質に目立った. 病変の種類は lacune を含む中小硬塞巣が最も多くみられた.
    このうち, 広汎な白質障害を有し, Binswanger 病 (progressive subcortical vascular encephalopathy) と極めて類似の病理所見を示した8例につき検討を加えた. いずれも U-fiber を残し, 広汎な白質の髄鞘菲薄化と小硬塞巣の多発, 基底核の status lacunaris, 時に脳橋底の lacune を示し, 顕微鏡的には, 血管壁の肥厚, ヒアリン化あるいは血管壊死が基底核, 白質にみられ, 血管分布に一致した髄鞘消失があり, 皮質は比較的よく保たれていた. 年齢は60~80歳代であるが, 初発年齢は70代までであり, いずれも男で, 殆んどの例が高血圧の既往を有している. 臨床的には全例痴呆を示すが, 精神症状を伴ったものもある. その他, 仮性球麻痺が最も多く合併しており, 片麻痺やパーキンソニスムもみられた. Binswanger 病は比較的稀な初老期疾患とされるが, 上記症例も病理学的には本症に一致し, 従って老年期痴呆, 特に従来脳動脈硬化性痴呆といわれたもので仮性球麻痺を伴ったものには, subcortical vascular encephalopathy がかなり含まれていると考えられる. しかし, その発症機序がいわゆる Binswanger 病と同一であるかについては今後の検討が必要である.
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