日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
16 巻, 5 号
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  • 吉田 洋二
    1979 年 16 巻 5 号 p. 395-402
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 勤, 蔵本 築, 松下 哲, 大川 真一郎, 三船 順一郎, 坂井 誠, 峰 雅宣, 品川 達夫, 岡部 紘明, 野間 昭夫, 村上 ...
    1979 年 16 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    血清 Creatine Phosphokinase (CPK) の isoenzyme を心筋梗塞及びその他の疾患で測定した. セルロースアセテート膜電気泳動でCPK-MM, CPK-MB, CPK-BBに分離し紫外線による蛍光分析を行った.
    急性心筋梗塞14例 (47歳から87歳) で最大CPKは46~872IUで, 梗塞発作後16乃至24時間後に認められた例が多く, 最大CPK-MBは2.3~89IUでCPKとほぼ同時点に認められた. CPK-MBはCPKの2.6~12.9%であった. 剖検した大型梗塞は5例で最大CPK-MBは6~22.3IUで中型梗塞例より高値を示した. CPK-MBはCPKより早期に血清中から消失した. LDH isoenzyme I/II比は上昇し, 最大で1.2を示した. 心筋梗塞以外でCPK上昇を示したのは22例で, CPK isoenzyme も測定した. 10例にCPK-MBが認めらるたが心筋梗塞に比し著明に低値であった. これらは低血糖性ミオパチー, 心停止後, 心筋虚血を伴う甲状腺機能低下症, 狭心症など心筋の障害が疑われるものが多かった. CPK-MMのみ認められたのは閉塞性動脈硬化症, 筋肉注射例, 血管内疑固症候群などであった. 以上より心筋梗塞の診断に於けるCPK-MBの有用性を示した.
  • 伴野 祥一, 関 顕, 今鷹 耕二, 田中 敏行, 藤井 潤
    1979 年 16 巻 5 号 p. 409-412
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    1969年~1978年の間に, 当院を受診した. 40歳代~70歳代の男性1,828例, 女性1,093例を対象として, 大動脈石灰化像の年代別, 部位別の性差について検討を行った. 石灰化像はルーチンの胸部背腹方向と, 腰椎側方向のX線写真にて判定した.
    大動脈石灰化像を, 大動脈弓部, 腹部大動脈, 及びその両者にあるものを, 一括してみると, 各年代ともその出現頻度に男女差はみられなかった. しかし, 大動脈弓部と腹部大動脈を別々にみると, 大動脈弓部では, 各年代とも女性の方が高い出現頻度を示し, 60歳代, 70歳代, 及び全例の合計において, 男女の間に有意差があった. 腹部大動脈では, 各年代とも男性の方が高い出現頻度を示し, 40歳代, 50歳代, 及び全例の合計において有意差がみられた. 石灰化像の認められたものだけについて, 大動脈弓部のみ, 腹部大動脈のみ, 及びその両者ともに石灰化のあるものの3群に分けると, 男性では, 女性に比し, 腹部石灰化の割合が高く, 女性では男性に比し, 弓部石灰化の割合が高く, 70歳代以外では, すべて有意差がみられた.
  • 玉井 利孝, 中井 継彦, 山田 志郎, 小林 武嗣, 林 多喜王, 久津見 恭典, 竹田 亮祐
    1979 年 16 巻 5 号 p. 413-420
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    日本人の健常な妊婦とその新生児臍帯血の血漿および超遠心法により分離したリポ蛋白各分画中の各種脂質, アポ蛋白Bを分析し, (1) 臍帯血血漿リポ蛋白濃度と成人の血漿リポ蛋白濃度との比較 (2) 日本人の臍帯血血漿リポ蛋白濃度と欧米の成績との比較 (3) 母体から胎児への胎盤を通してのリポ蛋白の搬送の可能性, について検討した.
    臍帯血血漿 (P) コレステロール (Ch) は73±16 (mean±S.D) mg/100ml, 血漿トリグリセリド (P-TG) は51±10mg/100ml, 血漿リン脂質 (P-PL) は110±21mg/100ml, 血漿アポ蛋白B (P-ApoB) は48±16mg/100mlであり, それぞれ成人の約半分程度であった. また血漿およびリポ蛋白各分画中のCh, TG, PLおよびApoBには男女差は認められなかった. 臍帯血では成人と異なりCh, TG, PLすべてが高比重リポ蛋白 (HDL) 中に最も多く含まれており, 超低比重リポ蛋白 (VLDL) 中のCh, TGおよびPLの濃度はHDLや低比重リポ蛋白 (LDL) に比し著しく低値であった.
    日本人の臍帯血は, Sweden, U.S.A., Australia およびG.D.R.に比しHDL-Chが高値でLDL-Chが低値であり, したがってHDL-Ch/LDL-Ch比は日本が1.58と最も高くU.S.A. 1.14, Australia 0.89, G.D.R. 0.69であった. 日本人は新生児の頃よりすでに諸外国に比較し抗動脈硬化作用の強いリポ蛋白が相対的に多いと考えられた.
    母体血と臍帯血中のリポ蛋白の相関を検討すると, 低比重より高比重のリポ蛋白間に強い相関が認められたことよりHDLの一部が母体より胎児ヘリポ蛋白の形として搬送されている可能性が推測された.
  • HDLコレステロール濃度の疫学的検討
    矢野 芳和, 人江 昇, 本間 康彦, 都島 基夫, 竹内 一郎, 中谷 矩章, 五島 雄一郎
    1979 年 16 巻 5 号 p. 421-430
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高比重リポ蛋白コレステロール (HDL-CH) 濃度の疫学的検討を行ない, 以下の成績を得た.
    (1) 日本人におけるHDL-CH濃度の正常値 (平均±S.D.) は, 男性 (244名) 56±16mg/dl, 女性 (234名) 61±15mg/dlで, 女性に有意に高く, 加齢による変化はみられなかった. また, 日本人のHDL-CH濃度は, 欧米諸国の報告と比較すると高値であった.
    (2) HDL-CH濃度は, 肥満度, トリグリセライド濃度, pre βリポ蛋白比とは負の相関が, アルコール摂取量, αリポ蛋白比とは正の相関がみられた.
    (3) Atherogenic index (総CH-HDL-CH/HDL-CH) の正常値は, 男性2.9±1.3, 女性2.6±1.2であり. 男性では加齢による変化はみられなかったが, 50才以上の女性では, 49才以下の女性より高値であった.
    (4) 臍帯血のHDL-CH濃度は, 男児 (34名) 39±12mg/dl. 女児 (41名) 40±12mg/dlで臍帯血総CH濃度の約55%を占め, 欧米諸国の報告と差がみられなかった.
    (5) 日本在住欧米人のHDL-CH濃度は, 男性 (40名) 55±13mg/dl, 女性 (17名) 60±11mg/dlであり, 日本人のHDL-CH濃度と同じであった.
    (6) IIb型, IV型高脂血症者では, HDL-CH濃度の低下がみられた. 総CH濃度が300mg/dl以下のIIa型高脂血症者の平均HDL-CH濃度は, 正脂血症者より軽度増加していたが, 総CH濃度が300mg/dl以上のIIa型高脂血症者では, HDL-CH濃度の低下がみられた.
    (7) 虚血性心疾患, 糖尿病, 脳梗塞, 肝疾患, 血液透析中の慢性腎不全の平均HDL-CH濃度は, いずれも低値であった. 糖尿病, 肝疾患では高値を示す例もみられた.
    (8) わが国で虚血性心疾患の発生が欧米諸国より低い理由として, HDL-CH濃度の高いことが, その一因として推測され, またわが国と欧米諸国のHDL-CH濃度の差は, 食事その他の環境因子が重要な役割を占めていると考えられる.
  • 小林 逸郎, 内山 伸治
    1979 年 16 巻 5 号 p. 431-438
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    60~79歳までの101名 (男55名, 女46名) の脳卒中後遺症のリハビリテーション (リハ) を行った. 発症より入院までの期間は平均2.8カ月, 入院期間は平均5.6カ月であった. 入院時及び退院時に Brunnstrom stage の分類に従って麻痺側の機能を分類した. 退院時の運動障害の予後として上肢を廃用手, 補助手, 実用手の3段階に, 下肢を歩行不能, 介助~監視, 独歩の3段階に分類してリハの効果を判定した. 全例にCTスキャンを施行し, 第一群 (内包・基底核・視床) 33例, 第二群 (皮質・皮質下広汎) 33例, 第三群 (皮質・皮質下限局性) 15例, 第四群 (病巣不詳) 20例であった. 臨床症状, 精神機能並びに心理検査を施行し, リハの阻害因子について病巣との関連を検討し, 次の様な結果を得た.
    1) 第一群~第四群まで入院時上下肢の Brunnstrom stage (Br. stage) と退院時 Br. stage に変化がみられなかった. すなわち, 入院後に著しい麻痺の回復はみられなかった.
    2) 重度の麻痺である Br. stage (退院時) 3以下のものは, 第一群に比べ第二群の方が, 上下肢共に有意 (p<0.01) に多かった. 運動障害の予後では, 廃用手及び歩行不能は第一群と比べ第二群の方が有意 (p<0.01)に多く, 逆に実用手, 独歩は第二群に比べ第一群に有意 (p<0.01) に多かった.
    3) 第一群, 第二群の筋緊張型には正常, 即時W-M型, 遷延W-M型, 低緊張型, 遷延無緊張型がすべて存在した. 第二群には遷延W-M型が多かった.
    4) 第二群広汎病巣における右片麻痺, 左片麻痺の運動障害の予後で, 上肢には左右差がみられなかったが, 下肢にて歩行不能が右片麻痺と比べ左片麻痺に有意 (p<0.05) に多かった.
    5) 第二群の左片麻痺における歩行不能例のすべては失認 (左半側空間失認, 病態失認等) 症状を呈していた.
    6) 第一群と第二群 (右大脳半球広汎病巣のみ) における心理検査, すなわちコース立方体組み合せテスト, ベンダー・ゲシュタルト・テスト, ベントン視覚記銘テストにて, 第二群の方が第一群に比べ有意 (p<0.01~0.05) に悪かった.
    7) リハの阻害因子には, 第一群では知覚障害, 不随意運動, 測定障害があり, Br. stage が良いのにもかかわらず, 運動障害の予後を悪くしていた. 第二群では精神症状として意欲の低下, 抑うつ, 夜間せん妄, 高次神経機能として右片麻痺の全失語症, 左片麻痺の失認 (左半側空間失認, 病態失認) が高率にみられた.
  • 性差, 年令差の検討
    谷村 英彦, 稲垣 春夫, 石部 義孝, 山内 一信, 横田 充弘, 渡辺 佳彦, 安井 昭二, 外畑 巌, 水野 康, 岡本 登, 岩塚 ...
    1979 年 16 巻 5 号 p. 439-448
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞発生の risk factor として従来から高血圧症, 高脂血症, 糖尿病, 肥満, 喫煙などが報告されている. 本論文では急性心筋梗塞660例と対照群18,117例の臨床データを retrospective に比較することにより, これら risk factor の意義およびその性差, 年齢差について検討を行った. 喫煙者, 高血圧, 高 cholesterol 血症は対照群に比べて梗塞群で有意に多くみられたことから, これらの risk factor は従来の報告どおり心筋梗塞発症の重要な risk factor であると考られた. ついで糖尿病も risk factor の一つと考えられた. 一方肥満の程度は梗塞群と対照群の間に有意差をみとめず, 肥満のみでは risk factor となりえないという結果をえた. 高 triglyceride 血症も独立した risk factor としての意義はうすく, 肥満とともに間接的な risk factorであると考えられた. Risk factor の性差に関して, 糖尿病や高 cholesterol 血症では梗塞群と対照群間の有意差の程度が女性よりも男性で大であった. このことは女性における閉経と関係があると考えられる. 女性における estrogen などの内分泌因子が本来の risk factor のもつ危険性を低下させることにより, 血管のアテローム硬化を抑制し, ひいては梗塞発症の risk を低下させるものと考えられる. 以上から糖尿病や高 cholesterol 血症などの risk factor の重要性は女性よりも男性で大きいと考えられた. Risk factor の年齢差に関して, 多くの risk factor は老年者よりも若年者の梗塞群で有意に高率にみられた. このことは多くの risk factor を持つ若年者では血管のアテローム硬化が早期に進展し, 梗塞発症に至るばかりでなく, 他の疾患 (脳血管障害, 心不全, 腎不全など) にも罹患しやすく比較的若年で淘汰されるものと考えられる. 一方 risk factor を有しない者は老年まで生きのびるが, やがては冠動脈硬化をきたし, 梗塞発症に至るためと考えられる.
    以上から risk factoor の重要性は老年者よりも若年者で大きいと考えられた.
  • 上田 良成, 多々見 良三, 上田 幸生, 亀谷 富夫, 羽場 利博, 小泉 順二, 伊藤 清吾, 宮元 進, 太田 正之, 馬渕 宏, 竹 ...
    1979 年 16 巻 5 号 p. 449-455
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    20~30歳代の健常男子6人を対象として, 12時間絶食後, 体重当り3.4g/kgの卵黄〔コレステロール (CHOL) 約58mg, トリグリセライド (TG) 約840mg含有〕を摂取させ, 摂取後比較的短時間内にみられる血清脂質とリポ蛋白の変化を検討した. (1) カロミクロン (Chylo) を含むVLDL-CHOLは摂取前10±2mg/dl(mean±SEM) から4時間後18±2mg/dl (p<0.01), LDL-CHOLは82±10mg/dlから4時間後89±11mg/dl (p<0.05) とそれぞれ有意に増加して最大に達した. 血清CHOLは Chylo を含むVLDLとLDL-CHOLの増加により, 摂取前165±13mg/dlから4時間後175±12mg/dlと有意 (p<0.001) に増加して最大に達した. IDL-CHOLは摂取前10±3mg/dlから漸増し続け, 10時間後に14±3mg/dlと有意 (p<0.001) に増加した. HOL-CHOLは有意の変化を示さなかった. 摂取2時間後LDL-CHOLは Chylo を含むVLDL-CHOLよりも多く増加した. (2) Chylo を含むVLDL-TGは摂取前41±7mg/dlから4時間後124±16mg/dlと有意 (p<0.001) に増加して最大に達した. 血清TGは摂取前73±8mg/dlから4時間後159±16mg/dlと有意 (p<0.001) に増加して最大に達し, その増加は前者の増加によるものであった. IDL-TGは摂取前5±1mg/dlから4時間後7±1mg/dl, LDL-TGは摂取前8±1mg/dlから6時間後11±2mg/dlと有意 (それぞれp<0.01) に増加して最大に達したが, その増加は Chylo を含むVLDL-TGの増加に比し小さかった. HDL-TGは有意の変化を示さなかった. (3) Chylo を含むVLDLのCHOLとTGの和の変化は他のリポ蛋白分画に比し大きく, 摂取前51±8mg/dlから4時間後142±17mg/dlと有意 (p<0.001) に増加し, 10時間後は30±6mg/dlと摂取前値に比し有意 (p<0.01) に低下した. (4) CHOL/TG比については, Chylo を含むVLDLは摂取前0.3±0.1から4時間後0.2±0と有意 (p<0.05) に低下して最小になり, その後漸増した. IDLは摂取前2.2±0.7から10時間後3.3±0.9と有意 (p<0.05) に増加した. LDLとHDLは有意の変化を示さなかった. 以上より卵黄摂取後血清CHOLとTGが増加し, 特にCHOLをリポ蛋白分画別にみると, Chylo を含むVLDL-IDL-, LDL-CHOLが増加し, IDL-CHOLは摂取後10時間増加し続けることが確認された.
  • 1979 年 16 巻 5 号 p. 456-486
    発行日: 1979/09/30
    公開日: 2009/11/24
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