15名の虚血性心臓病患者 (心筋梗塞13例, 労作性狭心症2例) にコレステロール750mg/日, 2週間投与し, 血清リポ蛋白変動を検討した. またその成績とコントロール群 (23名, 年齢25±6歳), 老年者群 (18名, 年齢74±8歳) の成績と比較した. 負荷前値の比較では, LDLコレステロール値は, 虚血性心臓病群はコントロール群より有意に高く, 老年者群とは差がなかった. 虚血性心臓病群の血清HDLコレステロール値はコントロール, 老年者群より有意に低値で, 主にHDL
2コレステロール値に起因していた. HDL
3コレステロール値は, 虚血性心臓病群はむしろ老年者群より高い傾向が認められた. 虚血性心臓病患者のコレステロール負荷による, 血清VLDL, LDL, HDL, HDL
2, HDL
3コレステロール値の変化は, 個人差が大きく, 全体としては有意の変化は認められなかった. コレステロール負荷2週間目に, 負荷前値の10%以上変化した場合を有意の変化とすると, LDLコレステロール値がコレステロール負荷で有意に上昇する割合は, コントロール群35%, 老年者群6%, 虚血性心臓病群33%と, LDLの変化では, 虚血性心臓病患者はコントロール群と同様の傾向を示した. HDLコレステロール値では, コントロール群は, 52%に上昇が認められたが, 虚血性心臓病群では15例中1例 (7%) にすぎず, 他は不変 (66%) 又は低下 (27%) した. LDL, HDLコレステロール値の変化傾向から, 動脈硬化指数 (AI: LDL chol/HDL chol) の変化傾向を比較すると, AI上昇群は, コントロール群35%, 老年者群17%, 虚血性心臓病群53%であった.
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