日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
2 巻, 5 号
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  • 関 増爾, 安孫子 惇
    1965 年 2 巻 5 号 p. 303-306
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    浴風園における昭和31年より38年までの60才以上の剖検751例 (剖検率98.3%) について悪性腫瘍の頻度ならびに胃癌診断の2, 3を検討し, 80才以上の老年者でも剖検上は悪性腫瘍が決して少なくないこと, また, 老年者の胃癌診断の困難さと長期臥床者でも胃X線検査の重要性を認めた.
    なお, 日本の死因統計における老衰の中には, 悪性腫瘍も相当隠されているであろうと推定した.
  • アンケートによる調査
    蔵内 祥博, 沢島 政行, 広瀬 肇, 藤田 馨一, 小林 武夫, 岡村 正美, 岩村 忍, 針ヶ谷 しげ子, 福井 圀彦, 平方 義信
    1965 年 2 巻 5 号 p. 307-313
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    脳血管障害によって生じてくる言語障害の実態調査として, 長野県鹿教湯温泉療養所入院患者を対象に, アンケート調査を行なった. この調査は, 言語障害患者に言語検査を行なうための準備調査であったが, その結果にも, 脳血管障害と言語障害の関係を知るうえに, 興味ある知見がえられた.
    アンケートの内容は, 言語障害を中心に, 運動・知覚障害, 意識障害, 嚥下障害などについて, 発病時と現在の状態とに分け, わかりやすい短い質問文と簡単な解答形式を用い, 患者またはその家族に解答させた.
    対象人員は187名で, 年令は20~80才にわたるが, 50~60才代が全体の74%を占めた.
    調査結果から, 次のような結論をえた.
    1) 187名中97名 (52%) は, 発病時, 言語障害がみられた. うち, 失語症24名, 構音障害39名, 失語症+構音障害15名, いずれとも判定のつかぬもの19名であった.
    2) 運動・知覚障害が右側の場合, 77%に, 発病時, 言語障害がみられたのに比し, 左側では, 28%である.
    3) 言語障害の予後の点からいえば, 運動・知覚障害が左側にある方が良好である.
    4) 構音障害は, 上肢・顔面に運動障害がある場合および, 嚥下障害がある場合に, 多くみられる.
    5) 失語症, 構音障害とも, 運動・知覚障害が右側の場合に多くみられる.
    6) 発病後における意識障害の有無と, 言語障害との関連性は, 認められなかった.
    7) きき手と言語優位側との関係は, 左きき両ききが少ないため, 結論に達しなかった.
  • 肺結核に合併した慢性肺気腫について
    原沢 道美, 村尾 裕史, 吉田 清一, 福島 保喜, 北村 諭, 彦坂 亮一
    1965 年 2 巻 5 号 p. 314-319
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    近年肺結核症と肺気腫とが合併しやすいことが報告せられている. そこで, 両疾患の成因的関係を明らかにするために, 老年者肺結核症70例につき種々の臨床病理学的検索を行なった.
    1) 結核合併肺気腫を病理解剖学的に小葉中心型, 汎細葉型および混合型の3型に分類し, おのおのの頻度をみたが, 結核合併肺気腫と慢性肺気腫の間に差はなく, 結核合併肺気腫に特異的な病型はなかった. しかし, 結核合併肺気腫では, 気腫性変化の各部位における不均衝が, 慢性肺気腫に比べてより強く, とくに結核病巣の存在する肺区域に強い気腫性変化が認められた. 以上より, 結核が気腫発生に対し局所的影響を及ぼしていることがうかがわれた.
    2) 肺結核症70例について, 年令別, 性別肺気腫合併率をみると, 男, 女とも, 一般老年者の肺気腫発生頻度よりやや高い傾向が認められ, 局所的影響以外に, 肺気腫に対し結核がなんらかの成因的役割を演じていると思われる所見がえられた. 肺結核症において肺気腫合併に関係する要因についても検討したが, 年令, 結核の重症度, 罹病期間, 空洞の有無, 排菌の有無等と, 肺気腫合併との間には明らかな関係は認められないが, 咳, 痰のあるものはないものに比し, やや肺気腫を合併しやすい傾向が認められた.
  • 中手骨皮質の厚さとX線密度の年令的変化について
    藤田 拓男, 折茂 肇, 吉川 政巳
    1965 年 2 巻 5 号 p. 320-325
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症の診断基準をつくりまた年令による骨の形態学的変化を定量的に表現するために, 中手骨のX線像について, 皮質の厚さの絶対値 (AT), これを中手骨の幅で除した値 (RT), アルミ階段と比較した骨密度 (D), および第1, 第5中手骨におけるこれらの値を第2, 3, 4中手骨におけるそれで除してえられた辺縁中央比をそれぞれ絶対皮質幅, 相対皮質幅, 密度について求め, P/C(AT), P/C(RT), P/C(D) とし, さらに, 密度を皮質幅で除した値D/ATを求め, 年令別性別による変化を検討した結果, 皮質の厚さは年令とともに減少の傾向を示し, ことに中年以後の女性において著しく, 第1, 第5中手骨の皮質の厚さは, 加令とともに著しく減少する結果, P/C(AT), P/C(RT) は著明な年令との負の相関を示し, 密度は女性においてのみ年令と負の相関を示す成績をえた. 密度の性差は30才以上のすべての年令群において著明であり, 女性においては骨密度の減少は男性に比し著明であることを認めた.
  • 1965 年 2 巻 5 号 p. 326-356
    発行日: 1965/12/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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