日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
20 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 痴呆を中心として
    亀山 正邦
    1983 年 20 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 矢部 喜正, 望月 正武
    1983 年 20 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    近年, 高齢化社会傾向に伴ない老年者の心血管病変, 中でも冠動脈硬化を基盤とする心筋梗塞発症は特に重要な課題といえる. しかし老年者での本病態の特性は不明な点が多く, 特に冠動脈病変及び左心機能に関する臨床報告は少ない. そこで cineangiography を用いて検索した900症例のうち60歳以上の比較的老年者について冠動脈病変及び左心機能の解析を行ない, 更に各種冠危険因子との関連を検討した. 対象は119例 (男96, 女23), 年齢は60~78歳 (平均64歳) で, 疾患別には冠動脈疾患100 (男83, 女17), 弁膜疾患13 (男9, 女4), 特発性心筋症6 (男4, 女2), を示す. 冠動脈疾患患者100例の臨床診断の内訳は心筋梗塞46, 狭心症54. 左室造影所見では aneurysm (26例), akinesis (26例), hypokinesis (5例) で合計が57%を占めた. 各種左心機能では, LVEDP (14.6±6.0mmHg), LVEDVI (100.0±32.9ml), EF (0.61±0.16), LVdp/dt/p (40.5±11.5) LVSWI (66.6±25.5g/m2) で心臓の拡張動態の障害傾向を認め, 多枝病変については ejection phase の障害も同時に認めた. 冠動脈病変については, 狭窄を全く認めないもの9例, 非有意 (50%以下) 狭窄病変を認めたもの10例, 有意1枝病変16例, 有意2枝病変24例, 高度3枝病変30例, 高度4枝病変7例と自然発生 spasm 4例を認め, 多枝病変が半数以上を占めた. 冠危険因子のうち喫煙, 高血圧, 耐糖能異常を有する割合は多枝病変群で高率に認められた. また多枝病変群では triglyceride の高値, HDL-cholesterol の低値が有意に認められた. 以上の結果は比較的老年者に於ける左室瘤合併を含む広範囲梗塞の発症の可能性が高いことを示唆し, これが難治性のポンプ失調に結びつくと解される. また老年者では喫煙, 高血圧, 耐糖能異常, 血清脂質の異常が高率に合併し, これが multiple atheromatous lesion の発現に関与し高度の心筋虚血に結びつくため治療プログラムにおけるこれら冠危険因子の是正が必須と結論される.
  • 実験的ラット動脈硬化症における脂質代謝・結合組織代謝への elastase の影響
    瀬山 義幸, 宇佐美 英治, 山下 三郎, 勝沼 英宇, 清水 航一, 海老原 隆郎, 岩本 俊彦, 清川 道夫
    1983 年 20 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    実験的動脈硬化症における elastase の脂質代謝と結合組織代謝に及ぼす影響を経時的かつ生化学的に検討した. 7週齢SD-SLC系雄ラットに4日間 Vit D2 (3.5×105U/kg b.w./day) を経口投与と共に methylthiouracil 含有高脂肪食負荷して実験的動脈硬化症を引起し, 同時に elastase (ELAES, エーザイ社製, 5mg, 450EL.U/kg b.w./day) を筋注して予防効果 (E群) を調べた. また実験的動脈硬化症を起してから後2週間 elastase を投与して治療効果 (EE群) も調べた.
    Elastase の9日間投与で血清の elastase 活性 (Suc (Ala)3pNA分解活性) は上昇し, 動脈 collagen の減少を防止した. また elastase の4週間投与でE群では動脈 collagen, elastin の減少, 心臓 elastin の増加を抑制すると共に心臓, 腎臓, 肝臓の cholesterol 沈着も防止した. またEE群でも動脈 elastin の減少を抑制し, 動脈, 心臓の cholesterol 沈着を防止した. また elastase の6週間投与で腎臓の cholesterol 沈着を防止した.
    したがって, 外因的に投与した elastase は実験的動脈硬化症での各組織の脂質代謝障害と結合組織代謝障害を予防的又は治療的に改善する効果が認められた. elastase のこの二つの作用が抗動脈硬化作用の発現の一因になると推測される.
  • 松田 成器, 今中 俊爾, 松岡 徹, 伊藤 貴志男, 岡田 義昭
    1983 年 20 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    71~91歳の高齢者21人 (男10人, 女11人) を対象として, 一日尿中 dopamine (DA), adrenaline (Ad), noradrenaline (NA), ナトリウム, カリウムおよび平均血圧 (MAP) を測定し, DAと sodium balance および血圧との関係を検討した.
    DA/Ad・NA比は対象者のMAPと有意に正相関 (γ=0.51, p<0.02) した. 尿中DAは尿中ナトリウムと有意な正相関 (γ=0.58, p<0.01) を示しだ. Furosemide 40mg/日経口投与後尿中ナトリウムと共に尿中DAは有意に増加した (いずれもp<0.01). Spironolactone 75mg/日経口投与後には尿中ナトリウムは有意に増加 (p<0.05) したが, 尿中DAは有意ではないが減少傾向を示した.
    以上から, 尿中に現われるDAはナトリウム排泄機構と密接に関連していると共に, 血圧維持機構にも関与している可能性が示唆された. また尿中DAの分泌調節機序には腎臓が重要な役割を果たしていると考えられた.
  • 中田 勲, 関本 博, 中村 国雄, 島田 修史, 中野 利美, 堀部 尚久
    1983 年 20 巻 1 号 p. 33-45
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    目的: 衰弱した老年者では低K血症の頻度が高く, 骨格筋等での実質細胞の減少により, 身体総K量は著明に減少しているものと考えられる.
    我々は, 老年者の剖検例を対象に組織別にK量を測定し, 血清K値との関係を検討し, 又, 組織内K量を指標とし, 慢性消耗性疾患での組織別異化の程度を明らかにする目的で本研究をおこなった.
    対象, 方法: 対象は60歳から, 95歳までの平均年齢78歳の剖検例48例で, 採取した種々の組織を灰化処理し, Na, Kを焔光々度計で測定し, 湿重量当りの組織内Na, K値を算出した.
    結果: (1)組織内のNaとK量の間には骨格筋で負の相関, 小腸, 大腸では正の相関がみとめられたが, 肝, 腎では相関はみとめなかった.
    慢性消耗性疾患では骨格筋の細胞内外液の比や細胞内液のK, Naの濃度の変化が他組織に比し大きいことを示すと考えられる.
    (2)血清K値と種々の組織内K量との間では骨格筋, 消化管 (小腸, 大腸) では正相関がみとめられた. 骨格筋のK濃度が血清K値に反映されると推定された.
    (3)慢性消耗性疾患での組織のK量は急死例に比し骨格筋や消化管等多種の組織で有意に低値を示したが, 腎, 副腎等では両群間で差をみとめなかった. 消耗性疾患で異化の程度には組織による差異があることが示唆された.
  • 宮沢 光瑞, 山口 一郎, 福山 はる, 小田 純士
    1983 年 20 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    70代健常男7例において, 臥位運動に対する適応力, 心血管反応, 交感神経の果たす役割を検討した. 健常青年男20例を対照として比較に供した. 自転車エルゴメータを用い, 負荷は毎分50回転で25Wから開始し, 3分毎25W宛漸増負荷を all out に至るまで連続的に加えた. 安静時心拍数, 心係数, 一回拍出係数は両群間で有意差はなかった. 動脈圧は拡張期圧には差がなかったが, 収縮期圧, 脈圧は高齢群が高値であり, 大動脈弾性低下を反映した. 高齢群の最大負荷量平均は75Wで, 運動耐容能は青年群の1/2であった. 運動負荷量の漸増に伴い, 心拍数, 心拍出量は両群共に略直線的に増加した. 同一レベルの亜最大負荷量における心拍出量を比較すると両群同じであったが, 高齢群では心拍数増加度が大, 一回拍出量増加度が小であった. 一回拍出量は青年群では75Wまで漸増 (30%増加) 後略一定となったのに対し, 高齢群では25Wで安静値より11%増加したに過ぎなかった. この一回拍出量増加の機序は両群共に Frank-Starling 効果によるのではなく, 心収縮能の亢進に基因した. 動脈圧も負荷量と併行して上昇したが, 最大負荷時収縮期圧, 拡張期圧は共に高齢群が高値であった. 同じ拍出量下の末梢循環反応を両群で比較すると, 高齢群は末梢血管コンダクタンスの増加度が小, 平均動脈圧の上昇度が大であった. すなわち, 抵抗血管拡張能の低下による左室後負荷増大も運動中の一回拍出量増加を抑制する一因と解釈された. 安静時血漿ノルエピネフリン濃度 (NE) は高齢群が有意に高値で, 安静時已に交感神経機能亢進状態にあることを示した. また, 最大負荷時NEは両群同じレベルに上昇したが, 高齢群では最大心拍数, 最大一回拍出量が低値で, 交感神経活性に対する心反応性が低下していると考えられた.
  • 1983 年 20 巻 1 号 p. 52-84
    発行日: 1983/01/30
    公開日: 2009/11/24
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