過去1年間に当院3日間人間ドックに入所した平均年齢51.0±9.5歳の男性931名につき, 3日間にわたり1日3回 (AM6:00, PM2:00, PM6:00) 測定時間別に2回づつ, 計6回の腋窩検温を行い, 3日間にわたる腋窩温の平均値をその個人の平均腋窩温とした. また, 各測定時間別平均腋窩温がすべて36℃未満を記録した症例72名を平熱36℃未満の低体温例とした.
年齢, 肥満度, 血圧, 肝機能検査, 腎機能検査, 脂質, 電解質, 末梢血液検査, 血糖値, 血清アミラーゼ, CPK等の項目と, 低体温例及び平均腋窩温との関係について, また, 低体温例の季節的影響についても検討を行い次の結果を得た.
1) 年齢次いで Broca 桂変法による肥満度の順に低体温例と関係が深く, 60歳以上の高齢者に低体温例の発生頻度が高かった. また, 年齢とは関係なく肥満者に低体温例の発生頻度が高かった.
2) 低体温例の発生頻度に季節的影響は認められなかった.
3) 年齢と Broca 桂変法による肥満度のみが独自に平均腋窩温と負の相関関係を示し, 年齢とはy=-0.006539x+36.491の直線関数式が, 肥満度とはy=-0.004356x+36.203の直線関数式が成り立ち, 高齢者になるほど, また, 肥満者になるほど平均腋窩温は低くなっていた.
4) 平均腋窩温は年齢 (歳) と Broca 桂変法による肥満度 (%) から, 平均腋窩温 (℃)=36.526-0.006365×年齢 (歳)-0.004190×肥満度 (%) からなる線形重回帰式が成り立ち, 平均腋窩温は年齢次いで Broca 桂変法による肥満度の順に関係が深いことも認めた.
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