日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
28 巻, 4 号
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  • 退行期骨粗鬆症
    折茂 肇
    1991 年 28 巻 4 号 p. 455-463
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 飯島 節, 青葉 安里, 井上 哲郎, 中内 浩二, Joseph G. Ouslander, 葛原 茂樹
    1991 年 28 巻 4 号 p. 464-498
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 葛谷 雅文, 山本 孝之, 葛谷 文男
    1991 年 28 巻 4 号 p. 499-503
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    鏡に写したごとく, 左右逆転して文字が書かれる鏡像書字は, 脳の器質的障害の後にさまざまな頻度で出現すると言われている. しかしその出現機構, 責任病巣は現在のところ不明である. 今回, 老年者113名に書字検査を施行し, 鏡像書字の出現程度により, 高度, 中等度, 軽度, 正常の4群に分類し, 各群の出現率並びに脳血管障害, 脳障害部位との関係, また知的機能レベルとの関係につき検討した. 右手書字での鏡像書字発現は一例もみられなかった. 左手書字可能例は93名で, 鏡像書字発現程度は, 正常: 34.4%, 軽度: 24.7%, 中等度20.4%, 高度: 20.4%であった. 特に右片麻痺例と, 書字訓練を受けていない失語症例において高率に鏡像書字を認めた. 単純頭部CTで脳血管障害を確認できた症例64名の鏡像書字発現程度は, 正常: 32.8%, 軽度: 20.3%, 中等度: 26.6%, 高度: 20.3%であった. CTで正常と診断された6名においては, 正常: 33.3%, 軽度: 66.6%であり, 中等度および高度はなく, 鏡像書字と脳血管障害との関連性が強く示唆された. 障害部位では両側半球障害, また左半球障害に高い出現率をみとめたが, 右半球障害例にもかなりの頻度で鏡像書字を認めており, 単一の損傷部位または片半球のみにその責任病巣を求めるのは困難であった. 長谷川式知的機能診査スケールは, 正常: 28.5±3.6, 軽度: 25.2±6.9, 中等度: 22.2±6.7, 高度: 23.1±6.1で, 中等度と高度出現例では, 正常例に比較し有意に知的機能レベルの低下を認めた. また長谷川式スケール20点以下の痴呆例では, 94.9%に鏡像書字を認め, 鏡像書字出現と知的機能障害との密接な関係が示唆された.
  • 65歳以上と未満の検討
    金子 晴生, 志越 顕, 安濃 周威知, 高田 雅史, 加藤 元治, 茂呂 節朗, 山内 幹雄, 白井 達男
    1991 年 28 巻 4 号 p. 504-508
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    未治療多発性骨髄腫に対し, vincristine, cyclophosphamide, adriamycin, prednisolone によるVCAP療法を, 寛解導入および維持療法に用いた治療成績について, 65歳以上の高齢者群と65歳未満の症例で比較検討した.
    対象は昭和57年より平成元年6月末までの7年半の症例で, 65歳以上14例と65歳未満24例の計38例である. Durine & Salmon による病期分類は高齢者群ではII期3例, III期11例で, 65歳未満はII期8例, III期16例であった. M蛋白別では高齢者群はIgG型7例, IgA型4例, Bence Jonse 型3例, 65歳未満ではIgG型9例, IgA型8例, IgD型1例, Bence Jonse 型6例である. VCAP療法は年齢に関係なく行った.
    今村の基準による治療の奏効率 (部分寛解) は, 高齢者群で64.3% (9/14), 65歳未満群は66.7% (17/24) であった. 50%生存期間を検討すると, 65歳以上症例は43カ月, 65歳未満15.5カ月であったが両者に生存期間に有意差は認めなかった. M蛋白別による50%生存期間は65歳以上のIgG型は72カ月以上, IgA 41カ月, Bence Jonse 型44.5カ月, 65歳未満のIgG型84.5カ月以上, IgA型62.5カ月以上, Bence Jonse 型73カ月以上であった.
    多発性骨髄腫VCAP療法を寛解・維持に用いた治療は65歳以上と未満のいずれにも良好な延命効果を有し, 副作用が少なく試みられる治療と考えられた.
  • 久保田 一雄, 白倉 卓夫, 大類 十三雄, 村谷 貢, 真木 俊次, 田村 遵一, 森田 豊穂
    1991 年 28 巻 4 号 p. 509-514
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    我々は次の二つの課題を明らかにする目的で, 20歳から99歳までの2,231名 (男性1,295名, 女性936名) の血球測定値と血清総蛋白 (TP), 総コレステロール (TC), 及び中性脂肪 (TG) 測定値を分析した. (1) 白倉らの1978年の報告以来約10年が経過し, その間に日本人の食生活はさらに改善され, 平均寿命も延長した. そのような改善が老年者の血球測定値に何らかの影響を及ぼしているのだろうか? (2) 日常生活の質, 例えば老人ホームではなくて, 在宅であるとか, 就労しているとか, 旅行もするとかなど, が老年者の血球測定値に影響を及ぼすことが指摘されている. 60歳未満の青壮年者と上述したような質の高い生活をしている60歳以上の老年者とで, 血球の測定値に差異があるのだろうか? 結果は, ヘモグロビン濃度, 赤血球数, ヘマトクリット値のいずれも, 男性では50歳代から, 女性では60歳代から低下し始め, その変化は加齢に伴い, かつ男性でより顕著であった. 白血球数, 血小板数も加齢とともに低下傾向を示した. TP, TC, TGも60歳以上の老年者で加齢に伴って低下した. これらの成績から, 老年者では加齢に伴ってヘモグロビン濃度, 赤血球数, ヘマトクリット値のいずれも低下することが確認され, その原因の一つとして摂取蛋白の低下が推定された.
  • 高橋 龍太郎, 奥川 幸子
    1991 年 28 巻 4 号 p. 515-519
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    種々の疾病をもって入院した高齢者のQOL (Quality of Life) を検討するために東京都老人医療センターに入院中の高齢患者を対象に面談調査を行った. QOLに大きく関わる老年期に対する満足感を探る目的で調査項目の一つ「老年期に入って良かったことはあるか否か」という質問への回答を従属変数とし, 基本属性や, 身体的・心理的条件を説明変数として数量化理論II類を用いた多変量解析を行った. 18項目のアイテムについてデータの揃った49例を検討した結果, アイテム全体の影響を示す相関比 (η2) は0.353と良好であり, 判別の的中率は全体として77.6%であった. レンジ, 偏相関係数の高い年齢とADLという二つのアイテムについてみてみると, 年齢については高齢群ほど老年期に対して肯定的であり, また, ADLについては一部介助群より自立群の方が肯定的に答えた. 更に, 疾病の予後もレンジの大きさに強く影響した. これらのことは老年期に対する満足感が年齢や疾病・障害の程度によって規定されていることを示している.
  • 前畑 英介, 下村 弘治, 清瀬 闊, 林 旭, 坂岸 良克
    1991 年 28 巻 4 号 p. 520-529
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Maillard 反応に基づく糖化物質 (GC) のうち, 糖尿病マーカーとしてグリコヘモグロビン (HbA1c), フルクトサミン (FRA) が用いられてきたが, グリコアルブミン (GA) も注目され始めた. 従来からGA測定はアフィニティーカラムにより分離し, 比色する方法が中心であったが, 操作に難点があった. 最近, 島らによって開発されたHPLC-2段階カラム法 (イオン交換カラム, アフィニティーカラム) によるGA専用測定装置GAA-2000を検討した. 一連の基礎的検討の結果, 性能評価に関する結果は良好であった. 本装置によるGA正常値は10.56~16.87%であった. 糖尿病, 糖尿病性腎症の検体 (n=87) でGAを中心とした関連項目の相関程度はFRA (r=0.944)>HbA1c (r=0.842)>Gluc(r=0.501) であった. また, 活性酸素の関与によって生成されるスーパーオキサイドジスムターゼ (SOD), 過酸化脂質 (LPO) との相関は不良であった. 浅田らの方法に従って各年齢層を若年層 (20~39歳), 中年層 (40~64歳), 老年層 (65歳以上) に分けて加齢変化を調べたが, 著しい傾向は見出せなかった.
  • 阿部 奈々美, 柏木 厚典, 紀田 康雄, 繁田 幸男, 服部 昭男, 山本 正弘, 加藤 守彦
    1991 年 28 巻 4 号 p. 530-535
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    最近, 血漿フルクトサミン値 (以下F値と略す) が前1~2週間の血糖のコントロールの指標として用いられて来ている. われわれは65歳以上の高齢者におけるF値の臨床的意義および問題点を検討した. 対象は65歳未満の非糖尿病者81名 (A群) と65歳以上の高齢非糖尿病者で日常生活を自力で成しうる75名 (B群), 介助を要する86名 (C群) 及び高齢糖尿病者26名 (D群) である. M±2SDでもとめた非糖尿病者のF値上限はA群3.1mmol/l, B群2.5mmol/lでB群が24%低値であったが, F値/血清アルブミン値比 (以下F/ALBと略す) で見ると両群に差はなかった. 年齢とF値には負の相関があり (p<0.01), これは年齢によるアルブミン低下により説明された. C群についてはアルブミン低下にもかかわらずF値はB群より高値であった. 65歳以上の高齢者においてF値で血糖を評価する場合はアルブミン補正値 (F/ALB) を考慮したほうがよいと思われる. また Activities of daily life の低い高齢者は血糖値, HbA1値, HbA1c値と合わせて評価する必要があろう.
  • 藤巻 博, 白木 正孝, 井上 潤一郎, 高橋 忠雄, 井藤 英喜
    1991 年 28 巻 4 号 p. 536-545
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者慢性腎不全における代謝性アシドーシスの性状を明らかにするために, 動脈血ガス分析値および血清電解質濃度とクレアチニンクリアランス (以下Ccr) との関係について検討を行った. 東京都老人医療センター内分泌代謝科入院症例から, 年齢75歳以上で日常生活動作良好な37症例 (男性19例, 女性18例, 年齢80±4歳, Ccr45.4±24.3ml/min/1.73m2, mean±SD) を選択し対象とした. 電解質酸塩基平衡に影響を及ぼし得る疾病例および薬剤投与例等は対象から除外した. なお, 動脈血ガス分析値および血清電解質濃度の基準域は, 当センター入院症例を対象として Hoffmann 法により設定した.
    結果は以下の4点にまとめられた. (1)Ccr20ml/min/1.73m2以下の症例において, 代謝性アシドーシスを高頻度に認めた. (2)Ccrの低下に伴って, 血漿重炭酸濃度は低下し血清クロール濃度は上昇した. (3)Ccr低下に伴うアニオンギャップ値の上昇は認められなかった. (4)血漿重炭酸濃度と血清カリウム濃度との間に, 有意の負の相関を認めた.
    以上より, 高カリウム血症を伴う高クロール性正アニオンギャップアシドーシスが老年者慢性腎不全における代謝性アシドーシスの特徴であった. また, アニオンギャップ値の変動を認めなかった一因として, アニオンギャップ値増加の主要な要因とされる高燐血症の発現が軽度にとどまったことが挙げられた.
  • 山下 一也, 小林 祥泰, 福田 準, 小出 博己, 岡田 和悟, 恒松 徳五郎
    1991 年 28 巻 4 号 p. 546-550
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    健常老人を対象に, MRI上での白質障害と知的機能との関連について検討した. 対象は老人会に所属し社会活動を活発にしている, 脳疾患の既往がなくかつ神経学的に明らかな異常を認めない健常老人39名 (64歳~85歳, 平均年齢75.0歳, 男性21名, 女性18名) で, MRI (0.15Tesla) 上, 潜在性脳血管障害を有さないものを対象とした. 白質障害の程度は, MRIにて, 基底核及び側脳室体部を通る水平断T1計算画像を撮影し, T1値が400msec以上の値をもつ白質の部位から側脳室辺縁までの距離を計測することにより, 白質障害の範囲を定量化した. 基底核を通るスライスでは側脳室前角からの距離を測定し, 側脳室体部を通るスライスでは体部前方, 中央部及び後部からの距離を測定し白質障害の指標とした. 知的機能については長谷川式簡易知能スケール (HDS), Kohs' block design test (Kohs' test) を用いて測定した. 1) 前頭葉白質障害の範囲と年齢の関係では, 加齢とともに白質障害の範囲が広がっていくことが示された. 2) 白質障害の範囲とHDSおよび Kohs' test との間には有意な相関は認められなかった. 3) 白質障害の範囲と血圧の関係では, 前頭葉白質障害の範囲と平均血圧には有意な正相関がみられた.
    すなわち, 健常老人では, 白質障害と知的機能とはあまり関連がみられなかったが, 前頭葉白質障害と平均血圧とは何らかの関連がある可能性が示唆された.
  • 桜井 道雄, 藤井 登, 小山 進, 伊沢 清
    1991 年 28 巻 4 号 p. 551-559
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    過去1年間に当院3日間人間ドックに入所した平均年齢51.0±9.5歳の男性931名につき, 3日間にわたり1日3回 (AM6:00, PM2:00, PM6:00) 測定時間別に2回づつ, 計6回の腋窩検温を行い, 3日間にわたる腋窩温の平均値をその個人の平均腋窩温とした. また, 各測定時間別平均腋窩温がすべて36℃未満を記録した症例72名を平熱36℃未満の低体温例とした.
    年齢, 肥満度, 血圧, 肝機能検査, 腎機能検査, 脂質, 電解質, 末梢血液検査, 血糖値, 血清アミラーゼ, CPK等の項目と, 低体温例及び平均腋窩温との関係について, また, 低体温例の季節的影響についても検討を行い次の結果を得た.
    1) 年齢次いで Broca 桂変法による肥満度の順に低体温例と関係が深く, 60歳以上の高齢者に低体温例の発生頻度が高かった. また, 年齢とは関係なく肥満者に低体温例の発生頻度が高かった.
    2) 低体温例の発生頻度に季節的影響は認められなかった.
    3) 年齢と Broca 桂変法による肥満度のみが独自に平均腋窩温と負の相関関係を示し, 年齢とはy=-0.006539x+36.491の直線関数式が, 肥満度とはy=-0.004356x+36.203の直線関数式が成り立ち, 高齢者になるほど, また, 肥満者になるほど平均腋窩温は低くなっていた.
    4) 平均腋窩温は年齢 (歳) と Broca 桂変法による肥満度 (%) から, 平均腋窩温 (℃)=36.526-0.006365×年齢 (歳)-0.004190×肥満度 (%) からなる線形重回帰式が成り立ち, 平均腋窩温は年齢次いで Broca 桂変法による肥満度の順に関係が深いことも認めた.
  • 1991 年 28 巻 4 号 p. 560-593
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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