日本赤十字社熊本健康管理センター (センター) において人間ドックに訪れた140名の高齢者 (平均年齢69±3歳) に対してクオリティ・オブ・ライフ (QOL) を点数化するための自己記入式質問表 (QUIK) を施行し, その信頼性と妥当性を検討した. QUIKはQOLの共通普遍の特性として身体機能, 情緒適応, 対人関係, 生活目標の4つの要素を設定し, 各要素が循環的に相互作用するというシステム理論に準拠して作成された2件法の疾患非特異的な質問表である. QUIKの平均得点は総計5.1±5.4, 身体機能2.7±2.7, 情緒適応1.0±1.5, 対人関係0.7±1.1, 生活目標0.6±1.2であり, 患者群との比較では, 対象群の結果はすべて良好で, 一般群と比べると総計, 情緒適応, 対人関係においてより良好であった. QUIKの6段階分布では, 良好15%, やや良好35%, 普通36%, やや不良11%, 不良2%, 極めて不良0%であった. この結果は患者群と比べると有意に良好であるが, 一般群との比較では差異は見られない.
QUIK総計の内的整合性はα=0.86 (身体機能0.71, 情緒適応0.61, 対人関係0.61, 生活目標0.61) であった. QUIKの内容妥当性を検討するために, 数量化I類を用いてQUIKと関連のある要因を分析した. 総計, 情緒適応, 対人関係と生活目標では満足感と爽快感と, 身体機能は健康感, 爽快感との強い相関が得られた. QUIK総計の区分点を9/10点とすると, 年齢では感受性0.65, 特異度0.65, 満足感では感受性1.00, 特異度0.29, 爽快感では感受性0.85, 特異度0.48を示した. QUIKの構成概念妥当性について, まず各尺度間の相関を重回帰分析を用いて検討した. 身体機能と対人関係との連関を除き, 各尺度間には密接な循環的相関が見られた. さらに各尺度得点と統計-各尺度得点との間に有意の関連が得られた.
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