日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
33 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 西村 健
    1996 年 33 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 老年医療における婦人科学的考察
    須川 佶
    1996 年 33 巻 1 号 p. 4-6
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 森 敏, 高倉 幸次, 酒井 泰一, 赤木 博, 平川 誠, 中島 健二
    1996 年 33 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    痴呆患者の診断に頭部MRIは有用な検査であるが, 体動によりアーチファクトが生じるため適切な前処置が必要となる. そこで今回, benzodiazepine 系睡眠導入剤の flunitrazepam による前処置を試みた. 対象は, 京都東山老年サナトリウム・老人性痴呆疾患治療病棟に入院中の痴呆患者108名である. 患者の年齢は, 64歳から95歳で平均81歳であった. 性別は女性76名, 男性32名で, 平均体重はそれぞれ37kgと48kgであった. 方法としては, 20倍希釈した本剤をMRI撮影直前に緩徐に静注し, 入眠した時点で注入を止め, 投与量を調べた. 結果は, 一人あたり平均0.008mg/kgで睡眠の導入と検査中の鎮静が果たされ, 呼吸停止等の副作用は見られなかった. 今回決定した投与量は, 成人を対象とした従来の報告に比べるとはるかに少ない. 高齢者は成人と比較すると低体重であり, 今回の結果が示すように体重あたりの投与量も少ないため, 投与絶対量はきわめて少なくなる.
    flunitrazepam 静注は, 痴呆老人のMRI撮影時の有用かつ安全な前処置であるが, 重篤な副作用を避けるためには, i) 検査前に体重を測定し投与量を決める, ii) 本剤を希釈して用いる, iii) 投与を一時中断し入眠するかどうかしばらく様子を見るなどして, 投与量を必要最小限に留めなければならない.
  • 転倒の発生状況と関連要因
    新野 直明, 中村 健一
    1996 年 33 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホーム入居者を対象に, 施設職員の記録した転倒記録表を用いた転倒調査を実施し, 高齢者の転倒の発生状況と関連要因を調べた.
    実態調査は, 174名 (男性39名, 平均年齢78.2±8.4, 女性135名, 平均年齢84.2±7.6) を対象に実施した. 一年間に転倒した人は65名で, 全対象者の37%であった. 転倒場所として居室が, 転倒時間帯としては日中が最も多かった.
    関連要因については, 転倒調査開始時に全対象者の一部 (52名: 男性7名, 平均年齢80.1±9.6, 女性45名, 平均年齢83.6±7.3) を対象に, 性, 年齢, 補助具利用の有無, 歩行速度, 握力, 片脚起立の可・不可を調べ, その後一年間の転倒の有無との関連を検討した. その結果, 握力のみが有意に転倒と関連し, 握力の弱い人は転倒の危険性が有意に高いことが示された. 各要因相互の影響を考慮した場合も結果は同様であり, 握力の弱い高齢者が, 転倒のハイリスク群である可能性が示唆された.
  • 菊川 昌幸, 石田 由依子, 蔵本 憲, 吉田 敦, 堤 久, 平井 真希子, 熊川 寿郎, 森 眞由美
    1996 年 33 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    我々は, 1988年から1993年までの高齢者白血病患者29例における感染症の検討を行ったので報告する. 経過中に, 他に原因がなく38℃以上の発熱が6時間以上続いたものを有熱とした. 発熱回数は総計64回であった. 発熱時の72%が顆粒球数100/μl以下で, 16%が顆粒球数101~500/μl以下で発熱していた. 発熱時の48%に起因菌が分離された. 感染部位としては尿路感染症が最も多く15回(25%)であり, 次いで敗血症, 肺炎がともに13回 (22%) であった. 分離された菌種はグラム陽性球菌が66%, グラム陰性桿菌が21%であった. 約10年前の当科の調査と比較するとグラム陽性球菌の増加が認められた. 特に黄色ブドウ球菌, コアグラーゼ陰性ブドウ球菌や腸球菌が増加していた. 感染症発症時の顆粒球コロニー形成刺激因子 (以下G-CSF) の使用回数は64回中12回でありG-CSF使用例と未使用例では解熱までに要した日数に有意な差は認められなかった.
  • 小林 祥泰, 山口 修平, 山下 一也, 小出 博巳, 卜蔵 浩和, 土谷 治久, 飯島 献一, 今岡 かおる
    1996 年 33 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    社会的活動性と脳の老化の関係を明らかにする目的で, 社会的環境の異なる地域在住健常高齢者61名 (老人ホーム在住高齢者21名 (平均77.6歳), 地域在住老人会員40名 (平均76.7歳) を対象に, 老研式活動能力指標, 岡部式簡易知的尺度, Kohs' Block Design Test, Zung's self-rating Depression Scale (SDS), up & go 時間, 局所脳血流, 頭部MRI検査を施行し両群間の比較を行った. 結果: 高血圧などの脳卒中の危険因子については両群間に有意差を認めず, 脳MRI所見でも潜在性脳梗塞, 白質障害, 脳萎縮共に両群間で差を認めなかった. 全脳平均脳血流量も両群間で有意差を認めなかったが, 老研式活動能力指標では老人会群で有意に活動性が高かった. 岡部スコアおよび Kohs' IQは老人会群で有意に高値であった. また, SDSスコアが老人ホーム群で有意に高値であり, うつ状態の傾向にあることが示された. 運動能力に関する指標である up & go 時間は, 老人会群で有意に短かった. 結論: 脳卒中などの脳疾患既往のない健常高齢者において, 脳卒中の危険因子やMRI上の潜在性動脈硬化性脳病変に差がない場合, 社会的環境, ライフスタイルの差が脳の老化に対して大きな影響を与えていることが示唆された.
  • 鈴木 康子, 桑島 巌, 青野 正, 豊島 孝道, 小澤 利男
    1996 年 33 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者高血圧において, 各種降圧薬が心血行動態へ及ぼす影響について検討する目的で, 老年者本態性高血圧42例 (平均72±5歳) にACE阻害薬 (A群: perindopril 10例, captopril 徐放錠4例), β遮断薬 (B群: arotinolol 15例), Ca拮抗薬 (C群: nifedipine 徐放錠3例, nitrendipine 10例) のいずれかの薬剤を投与し, 治療前及び治療8~12週後の左室機能を心エコーを用いて測定し, ハンドグリップ負荷, メンタルストレスの二種類の昇圧負荷に対する反応性の違いについても検討した.
    3群間には治療前の血圧値に有意な差がなく, 治療後, 外来血圧, 安静臥位血圧ともに有意に低下した. 心拍数はA群では不変, B群で有意に減少, C群では増加傾向を示した. 治療後の左室内径短縮率は3群とも有意に増加し, 増加の程度は3群間で差がなかった. しかし心係数はA群では不変, B群では有意に減少, C群では増加傾向を認めた. 安静時血中カテコールアミン値はいずれの群も治療前後で有意な変化はなかった. ハンドグリップ負荷では, 治療後の負荷時血圧は3群とも低下した. 治療後の負荷時心拍数はA群では不変, B群では減少, C群では増加傾向が認められた. 心係数はA群では不変, B群では有意に減少, C群では増加傾向が認められた. 血中カテコールアミン値は3群とも有意な変化は認めなかった. メンタルストレスでは, 治療後3群とも血圧は有意に低下した. 心拍数はA群, C群で不変であったのに対し, B群では減少した. 左室内径短縮率は, A群, C群で有意に増加したが, B群では不変であり, 心係数も有意に減少した. 血中ノルエピネフリン値は, C群で有意に増加した.
    以上より, いずれの降圧薬も良好な降圧が得られたが, その心血行動態や, 負荷時の昇圧反応に及ぼす影響は薬剤の種類により異なっていた.
  • 浜田 有里, 山田 光俊, 古野 貴志, 藤井 智代子, 松村 敬久, 矢部 敏和, 瀬尾 宏美, 高田 淳, 近森 大志郎, 土居 義典
    1996 年 33 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    症例1は63歳の男性. 肝膿瘍および早期胃癌の既往があり, 発熱のため入院. 心エコーおよび血液培養にてカンジダ性心内膜炎と診断し, 外科的治療を行った. その後, 感染のコントロールに時間を要したが, 軽快退院した. 症例2は65歳の男性. 発熱のため近医を受診し, 総胆管腫瘍と診断され切除したが, 発熱が持続し当科に紹介された. 聴診上III音IV音および心雑音を認め, 心エコーおよび血液培養よりカンジダ性心内膜炎と診断した. 心不全を含め内科的治療を開始したが, 多発塞栓を併発し死亡した. 本症は早期診断および外科治療の時期決定が重要であり, 特に基礎疾患のある高齢者の発熱に対しては, 本症をも念頭においた原因検索が必要である.
  • 矢部 敏和, 松村 敬久, 古野 貴志, 藤沢 道子, 山崎 文靖, 高田 淳, 山田 光俊, 近森 大志郎, 土居 義典, 小澤 利男
    1996 年 33 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    心不全・Leriche 症候群に横紋筋融解症を合併し, 血行再建術後に社会復帰が可能であった高齢者の1例を経験1した. 症例は64歳男性で12年前に心筋梗塞の既往がある. 5年前から両下肢の間欠性跛行が出現し, 1年前よりは安静時の疼痛や足趾の変色を認めている. 1992年9月13日突然両下肢痛が増悪し, 翌日には歩行不能となり, また同時に呼吸困難も出現したため当科へ入院した. 入院時, 高度のミオグロビン尿とCPKの著明な上昇 (73,050IU/L) を認め, 横紋筋融解症と診断した. なお慢性期血管造影にて腎動脈分岐部直下から腹部大動脈の完全閉塞を認め, Leriche 症候群に続発したものと診断した. 急性期, 経静脈的にt-PAとヘパリンの投与および血液透析を行うことで救命し得た. 陳旧性心筋梗塞と心不全を合併した高齢者で全身状態も不良のため, 慢性期の外科治療としては, extra-anatomical bypass (右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術) を選択した. 術後2年半以上を経過した現在も自力歩行が可能であり元気に外来通院中である. 横紋筋融解症の原因は多岐にわたるが, 筋の直接損傷, アルコール, 過度の運動, 薬物などの報告が多い. 塞栓や血栓が原因となる横紋筋融解症としては下肢動脈閉塞による骨格筋壊死が myonephropathic-metabolic syndrome (MNMS) として知られているが, いわゆる Leriche 症候群の形態を呈し, 横紋筋融解症を合併した報告は稀である. これは Leriche 症候群が間欠性践行やインポテンツなどを契機に大動脈造影にて診断されることが多く, 急性の動脈閉塞として発症することが少ないためであると思われる.
    Leriche 症候群には一般に外科治療が行われるが, 合症例の多い高齢者の場合に対しては本例のような術式の工夫も考慮されるべき点と思われる.
  • 秋坂 真史, 野崎 宏幸, 鈴木 信
    1996 年 33 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    降圧薬を投与する前後にわたり, 血圧日内変動を観察できた百歳長寿者の1例を経験した. 症例は102歳, 男性で, 職業は元農業である. 既往歴に高血圧を指摘されたことは無い. 血圧は常に正常域であったが, 平成6年3月頃より自宅の自動血圧計で収縮期血圧値が190mmHg以上を示すことが時々あったため, 近医を受診し高血圧の診断にて, 降圧薬 (Nifedipine 20mg/day) の投与を受けるようになった. しかし内服後, しばしば気分不良があり, 自主的に服薬を中止し, 我々に血圧精査を依頼した. 血圧の日内変動を知るべく, 24時間血圧記録を携帯型自動血圧計によって行った. 内服中止時の24時間を通じての収縮期血圧の平均値は152mmHgであり, 拡張期血圧のそれは75mmHgであった. また Nifedipine 10mgを内服した後に服薬後の血圧日内変動を記録し, 24時間の収縮期血圧の平均値は142mmHg, 拡張期血圧値のそれは63mmHgであった. 服薬前と服薬後の血圧差は内服後の12時間の降圧の程度が著しかった. 本例の内服前後の血圧較差は収縮期では最大で100mmHg前後下がっている時間帯も見られた. この較差ではQOL上も大きな影響が避けられないものと考えられ, それが気分不良となって現れた可能性がある. 一般的には老年者における降圧薬投与は少量から開始するといわれるが, 百寿者においてはさらに少ない量の段階から徐々に進めるか, あるいは本例がその後も不安のため服用を中止しながらも良好な血圧値を保っていることを考え, 当初の時点でむしろ, より長期の観察期間を設定すべきではなかったかとも思われる. また場合によっては降圧治療の必要の是非をあらためて再検討する必要もあろう. 本例によって, 超高齢者の高血圧例への降圧薬投与は副作用とQOLへの配慮がより一層重要であることが示唆された. またこのことが, 超高齢者の診療継続のコンプライアンスを高めることにつながることにもなるであろう.
  • 1996 年 33 巻 1 号 p. 47-64
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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