日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
33 巻, 11 号
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  • 井口 昭久, 金子 満雄, 中村 貴志, 島田 和幸, 西村 正治
    1996 年 33 巻 11 号 p. 805-828
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 河野 和彦, 宮尾 克, 石原 伸哉, 高木 歩, 伊苅 弘之, 鈴木 裕介, 井口 昭久
    1996 年 33 巻 11 号 p. 829-834
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    ダウン症とアルツハイマー型痴呆患者の抗コリン剤点眼に対する過剰散瞳現象を検討した. 対象は, アルツハイマー型痴呆初老期発症者 (AD) 21名, 同老年期発症者 (SD) 32名, 健常者15名, ダウン症 (DS) 6名, 脳血管性痴呆 (VD) 9名である. 改訂長谷川式スケール (HDSR) スコアの平均値は, AD, SD, VDの3群間で有意差はなかった. 薄暗い部屋に暗順応させた後, Midrin-P®中の tropicamide (抗コリン剤) が0.01%になるように調整した希釈液を片眼に点眼し, 5~10分おきに瞳孔径を計測し, 瞳孔径最大時のデータを各群で比較した. 最大散瞳量 (点眼直前と最大散瞳時の瞳孔直径の差) は, 健常者で0.51±0.78mmであるのに対して, ADで1.00±0.57mm (有意差なし), DSで1.49±0.54mm (危険率5%未満で健常者と有意差あり) であり, SDとVDの最大散瞳量は健常者とは全く差がなかった. 散瞳量20%以上の者の割合を見ると, 健常者13.3%, AD 42.9%, SD 28.1%, DS 100%, VD 22.2%となった. 一方69歳以下に限ると, 散瞳量は健常者7名 (平均年齢57.8歳) の0.20±0.75mmに対してAD 18名 (平均年齢67.5歳) の1.12±0.52mm, DSの1.49±0.54mmでいずれも健常者より過敏に散大していた. 散瞳量とHDSRスコアとの相関は各群とも見られなかった.
  • 川本 龍一, 阿部 雅則
    1996 年 33 巻 11 号 p. 835-839
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    平成6年9月から平成7年4月までと平成7年9月から平成8年4月までの両期間における60歳以上の一連の入院患者 (男性82例, 女性65例, 平均年齢72.2歳) に対して, 頸動脈病変の評価を行い, 各種危険因子および動脈硬化性疾患 (虚血性心疾患, 一過性脳虚血発作, 脳梗塞) との関係について検討した. 頸動脈病変については, 超音波断層装置 (日立EUB-565) と7.5MHzリニア型探触子を用いて総頸動脈後壁側のプラーク病変を除く内中膜複合体の厚さ (以下頸動脈壁厚) を両側2点ずつ計測した. 各種危険因子については, 血圧, 喫煙歴, 糖尿病の有無, 総コレステロール (以下T-Chol), 中性脂肪 (以下TG), HDL-コレステロール (以下HDL-C), LDL-コレステロール (以下LDL-C) を測定した. 頸動脈壁厚と年齢との関係では, 男性r=0.45 (p<0.0002), 女性r=0.38 (p<0.002) と正の相関を認め, 男性の頸動脈壁厚1.1±0.3mm, 女性は1.0±0.2mmであり, 差異を認めた (p<0.03). 各種危険因子との関係では, Brinkman Index (r=0.25, p<0.003), 収縮期血圧 (r=0.44, p<0.0002), 拡張期血圧 (r=0.18, p<0.05), 脈圧 (r=0.44, p<0.0002), LDL-C/HDL-C (r=0.17, p<0.05) といずれも正の相関を認め, 一方HDL-C (r=-0.23, p<0.01) とは負の相関を認めた. 頸動脈壁厚を目的変数とし, 各種危険因子を説明変数とした重回帰分析を行ったところ, 年齢, Brinkman Index, 収縮期血圧, HDL-C, 糖尿病の存在が有意な寄与因子であった. 動脈硬化性疾患の有無との関係では, それを有する群では壁厚は有意に大きかった (p<0.006). 以上から60歳以上の高齢者においても加齢, 喫煙歴, 収縮期高血圧, HDL-C低値, 糖尿病の存在は, 頸動脈肥厚の危険因子であり, さらに動脈硬化性疾患との間に有意な関係を認めたことは, 高齢者においてもこうした危険因子に対する積極的治療の必要性を示唆するものである.
  • 宮村 季浩, 浅香 昭雄
    1996 年 33 巻 11 号 p. 840-846
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    豊かになった日本人の食生活の中で, カルシウムの摂取量はここ十数年間ほとんど変化なく栄養所要量に達していない. その結果, カルシウム摂取量を増加させるための栄養指導や栄養教室などが骨粗鬆症予防の目的でさかんに行われている. 本研究は, 骨塩量の測定がカルシウム摂取量増加に与える栄養教育効果を判定するため, 山梨県の一農業地域で食生活改善を目的とした活動を行っている集団の女性87人を対象に, 骨塩量測定の有無がカルシウムおよびその他の栄養素の摂取状況にどのような影響を及ぼすのかを調査した.
    1992年10月および1994年8月の2回, 全員を対象に3日間の秤量記録法による栄養調査を行った. 骨塩量測定は1992年の栄養調査開始前に希望者76人を決定し, 1992年の栄養調査終了後より測定を行った.
    1994年の栄養調査では, ほとんどの栄養素の摂取量が1992年に比べ増加する傾向が認められ, 特にカルシウム摂取量の平均値は所要量の600mgをこえるまでになった. さらに, 1994年と1992年の摂取量の差である各栄養素摂取量の変化では, カルシウムのみが骨塩量測定の受診者が非受診者に比べ有意な増加を認めた.
    以上の結果より, 骨粗鬆症予防のための栄養教育では, 骨塩量の測定を組み合わせて行うことによってより効果的に, 他の栄養素のバランスをくずすことなくカルシウム摂取量を増加させることができる.
  • 菊地 基雄, 稲垣 俊明, 仁田 正和, 今井田 克己, 品川 長夫, 坂野 章吾, 小松 弘和, 脇田 充史, 上田 龍三
    1996 年 33 巻 11 号 p. 847-851
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    名古屋市厚生院に入所している高齢者で播種性血管内凝固症候群 (以下DICと略す) を発症した症例について, 赤血球形態と血小板粒度を検討した. DIC発症群は, 大動脈硬化, 脳梗塞などの動脈硬化性疾患に多く認められた. DICの直接原因としては敗血症などの感染症が多かった. DIC発症群では発症前に破砕赤血球など赤血球形態異常が高率に認められた (p<0.01) が, 巨大血小板の出現率は非DIC群と比較して有意な変化を認めなかった. DIC発症群では, 原疾患の発症時から経時的に血小板分布幅は大きく, 平均血小板容積は大きくなっていた. とくに大型血小板比率の増加は, DICの早期の診断に重要であることが示唆された.
  • 福島 優, 小林 陽二, 福生 吉裕, 赫 彰郎
    1996 年 33 巻 11 号 p. 852-861
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    急性期脳卒中患者33名 (男性21名女性12名, 平均年齢69.9±11.2歳) における血清Lp (a) 値の変動 (発症日, 3, 7, 14, 28病日) を検討した.
    発症日に対して第7, 14病日と一過性にLp (a) は有意 (p<0.05, p<0.001) に高値を示し, 予後検討として予後が悪いほどLp (a) は高値を示し, また病巣が大きいほどLp (a) は高値の傾向があった. また同患者33名に対してSDS電気泳動にて apo (a) phenotype を測定した. その測定結果を single-band 群と double-band 群とにわけて比較検討すると, double-band 群が有意 (p<0.05) に予後が悪かった. そして double-band 群は single-band 群に比べLp (a) の平均値は, 発症日を除いて有意に高値を示した. また泳動度が大きい群 (B, S1, S2) 小さい群 (S3, S4) に分類して比較検討すると, 泳動度の大きい群の方がLp (a) は, 有意に高値を示した. 以上の結果により脳卒中例で血清Lp (a) 値を経時的に測定することで予後予測が可能となり, apo (a) phenotype を測定することは, 脳卒中特に脳梗塞の予防, 予後の観点からも有用と思われた.
  • 西田 宏二, 川添 聖治, 東島 正泰, 矢永 尚士, 高木 維彦, 明石 隆吉
    1996 年 33 巻 11 号 p. 862-866
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    続発性慢性大腸偽性閉塞症の1手術例を経験した. 症例は脳梗塞のため10年間寝たきり状態で, 次第に著しい排便困難と腹満を生じた. 徐々に嘔吐し食事摂取困難となり, 著しい低栄養状態に陥った. 保存的治療は限界と判断し, 結腸左半切除術及び人工肛門造設術を施行した. 術後栄養状態の著しい改善等順調な経過をとった1例を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.
  • 菊地 基雄, 新美 達司, 山本 俊幸, 長谷川 良平, 仁田 正和, 坂野 章吾
    1996 年 33 巻 11 号 p. 867-870
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 女性. 歯肉出血と鼻出血で発症した. 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) と診断され, prednisolone, azathioprine の経口投与で緩解したが77歳になって再発し, 薬剤抵抗性であった. 血小板輸血などで経過観察していたが大量の消化管出血を来しショック状態となって死亡された. 病理解剖で左室前壁に新鮮心筋梗塞巣を認めた. 諸臓器にはDICの所見はなかった. 高齢発症のITP症例では, 心筋梗塞の発症の報告はなく, 興味深い症例と考えられた.
  • 1996 年 33 巻 11 号 p. 871-884
    発行日: 1996/11/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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