日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
35 巻, 6 号
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  • 三木 哲郎
    1998 年 35 巻 6 号 p. 429-437
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 井上 健司, 村上 猛, 山田 佳彦, 和田 洋一郎, 浜窪 隆雄, 児玉 龍彦
    1998 年 35 巻 6 号 p. 438-443
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高齢化社会を迎えつつある上に, 食事などの生活スタイルが急速に変化しつつあるわが国では, 糖尿病合併症, 動脈硬化, 高血圧などを基礎に, 加齢・老化によって促進される脳や心臓の血管疾患の重要性が増している. アテローム性動脈硬化や脳細動脈の加齢にともなう変化の研究から, アテローム性動脈硬化では低比重リポ蛋白 (LDL) コレステロールの沈着と侵入してきた単球由来のマクロファージの泡沫細胞化が, また脳細動脈においては脳内の老廃物処理をになうマクロファージ系常在細胞と考えられるMATO細胞の膨大化が血管病変の主な細胞成分として注目されている.
    アテローム性動脈硬化における泡沫細胞形成の研究から我々は, 変性したLDLを取り込むマクロファージのスカベンジャー受容体 (I型, II型) の精製, 遺伝子クローニングに成功した. I型II型受容体は陰性荷電の集合したコラーゲン構造をもち, 細胞間マトリツクスに沈着した老廃物を処理する分子機構が始めて明らかになった. その後マクロファージで8種類, 内皮細胞で2種類のファミリー遺伝子がクローニングされ, 生体内での異物老廃物処理系の全体像が明らかになりつつある. 我々は, マウス発生工学を用いてスカベンジャー受容体の欠損したマウスの作成に成功し, これを用いて, スカベンジャー受容体が動脈硬化のサイズを決定していること, さらにマクロファージの接着, 分布に重要であることを示した. またスカベンジャー受容体欠損マウスはリステリアやヘルペスジンプレックスウィルス感染に弱く, 生体防御系に欠陥のあることが示された.
    生体内での老廃物生成とスカベンジャー受容体経路での処理の解明は血管の老化への新しい予防, 治療法を理解する上で重要な課題となっている.
  • 鈴木 伸, 佐藤 孝一, 谷口 正仁, 宮川 浩一, 小嶋 正義, 土肥 靖明, 上田 龍三
    1998 年 35 巻 6 号 p. 444-450
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    リウマチ性弁膜症が減少してきているなか, 動脈硬化との関連が示唆される老人性変性大動脈弁に遭遇する機会が増加してきている. 近年, 心血管系の独立した危険因子とされ, 動脈硬化性病変との関連について注目されているリポプロテイン(a)[Lp(a)]と大動脈弁硬化との関係について, 特に65歳以上の老年者を対象とし検討した. 1995年10月から1996年12月に当院で心臓超音波検査を施行した65歳以上の症例は265例であった. リウマチ性弁膜症や大動脈二尖弁などの9例を除いた256例のうち, Lp(a)を含む血清脂質, 血糖, 血圧などを測定した97例 (65~106歳, 平均77±7歳, 男性48例, 女性49例) を本研究の対象とした. 断層心エコー法において, 大動脈弁に硬化が認められた群 (硬化群) は63例 (平均78歳, 男性24例, 女性39例), 硬化を認めなかった群 (非硬化群) は34例 (平均74歳, 男性24例, 女性10例) に分けられた.単変量解析で硬化群と非硬化群に差が認められたのは, 年齢 (p=0.0090), 性差 (女性) (p=0.0023), Lp(a)(p=0.0124)であった. Lp(a)が60mg/dl以上であった9例全例に大動脈弁硬化が認められた. 血圧, 総コレステロール, HDL-コレステロール, LDL-コレステロール, 中性脂肪, 空腹時血糖には両群間で差は認められなかった. 大動脈弁硬化の有無について多変量解析である判別分析を行ったところ, 女性 (λ=0.9038, =0.0020), Lp(a)(λ=0.8316, p=0.0053) と関連が認められた. 以上の結果から, 老人性変性大動脈弁では血清Lp(a)が高い傾向を認めた.
  • 清水 昭彦, 山縣 俊彦, 立野 博也, 江里 正弘, 上山 剛, 早野 智子, 大村 昌人, 田村 健司, 松崎 益徳
    1998 年 35 巻 6 号 p. 451-457
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    WPW症候群(n=96), 房室結節回帰性頻拍 (n=27), 心房粗動あるいは心房頻拍などの上室性頻拍 (n=15), に対して高周波カテーテルアブレーションを施行した138例 (48±18歳) を, 対照群 (65歳未満; n=108) と高齢者群 (65歳以上; n=30) に分けて, 高齢者における上室性頻拍に対する高周波カテーテルアブレーションの成功率と安全性を検討した.
    WPW症候群では, 対照群78例中成功は76例 (97%) で, 再発は9例 (13%) に認めた. 一方, 高齢群18例は全例成功 (100%) で, 再発は1例 (6%) のみであった. 房室結節性回帰性頻拍では, 全対象27例中26例 (96%) に成功し, 再発例はなかった. その他の上室性頻拍は15例中11例 (73%) に成功し再発は1例 (11.1%) であった.
    重篤な合併症は, 心タンポナーデ2例, 解離性大動脈瘤1例, 脳塞栓症の疑い1例の計4例 (3%) で総てWPW症候群であった. 死亡例はなかった. 脳塞栓症の疑いの1例を除いて, 原因は電極カテーテルの操作に伴うものであった. 心タンポナーデの1例を除いて総て対照群の症例で, 高齢群の方が重大な合併症が多いということはなかった.
    上室性頻拍症に対する高周波カテーテルアブレーションは, 高齢者であっても比較的安全でかつ高い成功率で施行可能と考えられた. しかし, 侵襲的な治療法であり特に左側副伝導路に対する経大動脈弁アプローチ施行には, 細心の注意が必要と考えられた.
  • 尾藤 誠司, 福原 俊一
    1998 年 35 巻 6 号 p. 458-463
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    一般的健康関連クォリティ・オブ・ライフ (HRQOL) の代表的な測定尺度であるMOS Short Form 36 scale (SF-36) の有用性は世界でも広く認められており, 最近日本語版も開発されたところであるが, 質問紙への自己記入は, 高齢者や病気の重い患者には難しい. 我々は, 高齢者施設入居中の老人に対し,SF-36の面接インタビュー法による調査を実施し, 病弱高齢者におけるSF-36の信頼性, 妥当性の検証を試みた. また, 一般高齢者とのSF-36値の比較を行うことによって, 施設入居とHRQOLとの関連性を考察した. 新潟県佐渡島の高齢者施設に住む65歳以上の老人117名と, 同島真野町の一般老人から無作為抽出した62名に対しSF-36の調査を行った. 施設入所高齢者群において, SF-36の値はシーリング効果, フロア効果ともにその有用性を満たすものであった. また, VITALスコア以外の部分因子スコアにおいて, 内的整合性信頼性, 同時性妥当性, 構成概念妥当性などに対し十分な有用性を持つ結果を得た. 対象者の特性, および performance status で修正したSF-36において, 入所老人のROLPH, ROLEM, SOCIAL, およびPAINスコアが一般在宅老人と比較し有意に高かった.M HI, VITAL, GHPスコアにおいては二つのグループの間に有意な差を認めなかった. 面接インタビュー法を用いた場合, SF-36は施設高齢者への使用においても有用なものであると考えられる. また, 今回の結果から, 今後の施設入所ケアプログラムに関する示唆を考察した.
  • 宮田 泰, 立花 久大, 杉田 實
    1998 年 35 巻 6 号 p. 464-471
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    加齢と Parkinson 病 (PD) の記憶機能を検討する目的でPD群, 健常対照 (高齢) 群(HC), 健常若年群 (YH) の聴覚性N400とN400の単語反復効果を測定し, 聴覚性言語記憶検査 (AVLT) を試行した. N400振幅はPD群では減衰していた. 両健常群では2秒, 12秒, 2~4分後の単語反復にてN400振幅が減衰した. HC群ではYH群に比し反復間隔の延長とともにN400振幅の減衰が減少した. PD群では2秒後のみでN400振幅の減衰が見られた. AVLTでは直後再生がYH群に比しHC群, PD群の順に低下していた. 以上よりHC群, PD群となるにつれエピソード記憶の障害が著明になると考えられた. さらにPDでは短期記憶から長期記憶への伝達障害が示唆された.
  • 中村 嘉典, 伊藤 和美, 伊藤 浩二, 藤本 尚, 大畑 雅洋, 上田 晃子, 駿田 直俊
    1998 年 35 巻 6 号 p. 472-476
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    予後不良の転帰をたどった高齢発症の Churg-Strauss 症候群 (CSS) の2例を報告した. 症例1:58歳女性. 1992年2月6日から進行性の感覚異常, 筋力低下を呈し入院. 花粉症の既往がある. 好酸球数が1,170/μlと増加し, 胸部X線上両側びまん性間質陰影を認めた. 四肢は多発性単神経炎を呈し, 左腓腹筋の生検では筋線維の壊死および血管壁への著明な好酸球浸潤が見られた. CSSと診断し, 副腎皮質ホルモン剤の投与を行い, 好酸球数の低下は得られたが, 多発性単神経炎は残存した. 症例2: 70歳女性. 1995年4月7日, 湿性咳噺と背部痛を主訴に来院. 胸部聴診上呼気時の wheeze を聴取し, 好酸球数が8,550/μl, IgEが16,266IU/mlとそれぞれ上昇していた. 種々のアスペルギルス感染の検索は陰性であった. 左下腿前面の結節の生検では, 高度の血管壁の浮腫と, リンパ球及び好酸球の浸潤が見られた. 入院後, 四肢のしびれ, 筋力低下の進行を認めた. さらに心筋症様の変化が見られ, QOLが多大に障害された. 本疾患は生命予後は比較的良好とされているが, 高齢者で特に考慮すべきQOLの低下を来たすことがあり, 早期診断, 早期治療が肝要であると思われる.
  • 土井 研人, 寺本 信嗣, 細井 孝之, 宮尾 益理子, 松瀬 健, 鳥羽 研二, 大内 尉義
    1998 年 35 巻 6 号 p. 477-481
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者に好発する多発性骨髄腫は, 骨髄腫腎としてしばしば遠位尿細管障害を伴うことが知られている. 今回, 老年者多発性骨髄腫症例において, 比較的稀な近位尿細管障害を合併した症例を経験したので報告する.
    症例は, 73歳, 女性. 1996年10月に健診にて骨量減少を指摘され, 当科外来にて経過観察されていたところ, 1997年3月より易疲労感と食欲低下, 体重減少を来した. 4月17日の受診時には, 昨年11月に比べて血中ヘモグロビン濃度の低下及びクレアチニン濃度の上昇を認めた為, 精査目的にて当科入院となった.
    入院時検査所見にて, 正球性正色素性貧血と低蛋白血症が認められた. 骨X線上では, 全体的な骨量減少を認めるが, 頭蓋骨・骨盤骨などに骨融解像は認めなかった. 腎機能については, 入院時に Anion gap 正常, 高Cl性代謝性アシドーシスが存在し, NH4Cl負荷テストを施行したところ, 尿細管性アシドーシス (近位型) と診断された. 血清蛋白の電気泳動ではM蛋白は認めず, γ分画の低下を認めた. 尿蛋白電気泳動ではβ~γ分画にM蛋白を認め, 免疫電気泳動にて Bence Jones Protein-λ型M蛋白が同定されたため, 多発性骨髄腫が疑われた. 骨髄穿刺では, 成熟型の形質細胞の集簇を認めるが細胞異型は明らかではなかったが, 全体像より多発性骨髄腫と診断しMP療法を施行した. 低γグロブリン血症は改善されなかったが,尿中 free light chain 量は低下しており, 生体内の骨髄腫細胞は減少していると判断した.
    本症例では, Bence Jones 蛋白による近位尿細管上皮細胞の傷害からII型の尿細管アシドーシスを来したと考えられた.
  • 1998 年 35 巻 6 号 p. 482-497
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 35 巻 6 号 p. 498-510
    発行日: 1998/06/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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