日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
35 巻, 8 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • その実際, 循環器期薬を中心に
    上田 慶二
    1998 年 35 巻 8 号 p. 589-598
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 松本 俊夫, 井上 大輔
    1998 年 35 巻 8 号 p. 599-604
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    骨は構造体としての強度と構造を保持しつつ, 体内カルシウムの最大の貯蔵庫としての機能を維持するため, 常に活発な再構築を営んでいる. この骨代謝の動的平衡は, 各種の全身性ホルモンやその影響下で産生される局所性サイトカインに加え, 骨形成に携わる骨芽細胞系細胞と骨吸収に携わる破骨細胞系細胞との間の細胞-細胞間, あるいは細胞と基質との間の細胞-基質間相互作用などにより緻密な調節を受けている. 骨吸収を営む破骨細胞は血液系幹細胞に由来する多核の巨細胞で, 骨芽細胞との接触下で種々のサイトカインなどの作用により破骨細胞へと分化する. この過程の各段階で多様な転写因子が関与していることが明らかとなってきた. また骨芽細胞と破骨細胞系細胞との細胞間相互作用の阻害により破骨細胞形成を抑制する osteoprotegerin が同定され, その作用機序の研究から osteoprotegerin リガンドは細胞間接触を介する破骨細胞形成の調節に携わる骨芽細胞膜の蛋白そのものであることが明らかとなった. 骨芽細胞は間葉系幹細胞から分化した細胞で, その分化段階に応じて破骨細胞の形成・機能の調節, 各種の成長因子や骨基質蛋白の合成・分泌, 骨基質の石灰化などの多様な機能を営む. これらの機能を終えた骨芽細胞は, 形成された石灰化骨基質中に骨細胞 (osteocyte) となって埋め込まれる. 骨細胞は骨への力学的負荷に応じた骨形成の調節に関与する可能性がある. 骨芽細胞の分化は bone morphogenetic protein (BMP), transforming growth factor (TGF)-β, fibroblast growth factor (FGF) や insulin-like growth factor (IGF) など多くの成長因子サイトカインによる調節を受けている. 最近, 骨芽細胞系分化の基本転写因子としてCbfa1が同定され, BMPなどによる骨芽細胞分化の調節に関与している可能性が明らかとなった.
  • 中村 重信
    1998 年 35 巻 8 号 p. 605-610
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 英忠, 細田 昌良, 季 利亜
    1998 年 35 巻 8 号 p. 611-614
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 奥田 誠也
    1998 年 35 巻 8 号 p. 615-618
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 公共交通が不便な地域における調査研究
    吉本 照子, 川田 智恵子
    1998 年 35 巻 8 号 p. 619-625
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, 生活環境の変化にともない高齢者の保健行動がどのように変化するかという観点から, 保健行動の関連要因として新たに交通環境に対する認識に着目し, 在宅高齢者の保健行動および保健行動との関連が想定される健康状態・日常生活活動 (機能的日常生活水準・外出行動)・交通環境に対する認識の各項目について, 性, 年齢階層別に検討した. これらの調査項目に対し, 42項目の質問項目を設定した. 加えて保健行動および関連要因の背景を検討するために, 保健行動の動機づけを調査項目とした. 各質問項目の再現性の検討はκ係数および一致率を適用し, 内的整合性の検討はクロンバックのα係数を適用した. 性・年齢差の分析はχ2検定を適用し, 危険率は5%とした. 調査地域は公共交通が不便な地域として神奈川県A郡A町を選択し, 層別無作為抽出法によりH地区在住の60歳以上の男女567名を抽出した. 郵送留置調査法により397名から回答を得た (回収率74.2%; 死亡・転居等を除く).
    結果は, 保健行動では女性の方が健診受診頻度とかかりつけの医師がいる割合が高く, 健康状態では女性の方が男性より問題のある人が多く, 機能的日常生活水準では男性より社会への関心や社会・文化活動への参加が少なく, 年齢による低下も男性より低年齢で生じていた. 外出行動では1時間以上かかる所に行くことのおっくうさが男性よりも低年齢で生じていた. また, 交通環境に身体的なつらさや道路通行時の不安, 不便さ等の問題を感じている人も多かった. 前期高齢者における保健行動の動機づけは男性と異なり, 病気になって人に迷惑をかけたくないという理由が多く, 楽しみのために健康を保持したいという理由は少なかった. これらの結果から, 女性の方が生活に対する能動性が低く, 生活に対する能動性と関連した保健行動の動機づけも低いと考えられた.
  • 井上 慎二, 三ツ浪 健一, 木之下 正彦
    1998 年 35 巻 8 号 p. 626-630
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈疾患疑いで冠動脈造影 (以下, CAG) を行った196名につき, EBCT単純撮影による冠動脈石灰化検出とトレッドミル負荷心電図検査 (TM) を行い, 冠動脈疾患に対する診断的有用性及び加齢の影響について検討した. 全症例では, CAGに対するEBCTの sensitivity は88.5%, specificity 76.9%, positive predictive value (PPV) 88.5%, negative predictive value (NPV) 76.9%であり, トレッドミル負荷心電図では, それぞれ66.4%, 72.3%, 82.9%, 51.6%と, EBCTの有用性が高かった. これは, 各年齢層別にみても同様の結果であった. 特に高齢者では運動負荷でのNPVが低下する傾向にあったが, この原因として, 運動負荷終了理由として leg fatigue や dyspnea で終了することが多く十分に負荷がかけられないことや, 内服薬の影響が考えられる. これらのことより, 冠動脈疾患の診断においてはEBCTの方がTMより優れており, 特に高齢者においてその傾向が強いことが示唆される.
  • 日本人男女17,000人での縦断的観察
    甲田 道子, 安藤 富士子, 下方 浩史, 葛谷 文男
    1998 年 35 巻 8 号 p. 631-636
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    大規模集団の縦断データを用いて, 年齢階級別に体重変動と血清脂質および血圧の変化の関係について検討した. 人間ドックを連続2年間受診した19歳~88歳の男女17,689名を対象として, 1年間の体重変動による血清脂質および血圧の変化量を, 性, BMI, 喫煙, 飲酒, 各血清脂質または血圧の観察開始時の値で調整後, 線形回帰分析より年齢階級別 (45歳未満, 45歳以上65歳未満, 65歳以上) に推定した. その結果, いずれの年齢階級でも体重変動により血圧に有意な変化がみられ, 体重減少によって血圧は低下し, 体重増加によって上昇した. 一方血清脂質では, 体重変動との関係に年齢階級による違いが認められた. 65歳未満では体重の減少によって総コレステロール, 中性脂肪, βリポ蛋白は低下した. しかし, 65歳以上で体重減少により有意な変化がみられたのは中性脂肪とβリポ蛋白で, 総コレステロールには有意な変化はみられなかった. また, 体重増加との関係をみてみると, 65歳未満では総コレステロール, 中性脂肪, βリポ蛋白の増加, HDLコレステロールの減少がみられた. 65歳以上では体重増加によってHDLコレステロールは低下したが, それ以外では体重増加による有意な変化はみられなかった. 以上から, 大規模集団の縦断的データを解析した結果, 体重変動による脂質の変化には加齢の影響がみられ, 若壮年者では体重変動によって血清脂質は変化したが, 高齢者では体重変動による血清脂質への影響は弱いことが明らかとなった.
  • 清水 健一郎, 広瀬 信義, 長谷川 浩, 米木 貴行, 脇田 康志
    1998 年 35 巻 8 号 p. 637-642
    発行日: 1998/08/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    百寿者のホルター心電図検査から得られた心拍日内変動解析を通して, 超高齢者における概日リズムを抽出し, 検討した. 対象は百寿者50名と比較対照群50名 (65歳未満の人間ドッグ受診者, 平均年齢41±11歳) である. 24時間RR間隔時系列を, 24, 12, 8時間の3周期からなる余弦関数の和に最小二乗近似し, 各周期のパワーと位相を比較した. 周期パワー (周期の振幅の二乗の相対比) は調和解析のあてはめ具合で重み付けした. 次いで3つの周期パワーを変数として全対象をクラスター分析 (K-means 法) し, 各クラスターの発現頻度を比較した.
    1) 百寿者では24時間周期パワーは有意に小さかった.
    2) 百寿者では circadian acrophase (心拍数が低値を示す時刻) は, 通常みられる夜間睡眠中以外に位置する頻度が多い傾向にあった.
    3) クラスター分析の結果, 心拍日内変動は24時間周期優位型58例, 24時間+12時間周期型15例, 周期パワー低値型13例, 24時間+8時間周期型および12時間周期優位型各7例, の5つに分類しえた.
    4) 24時間周期優位型と24時間+12時間周期型を併せた, 24時間周期を主たる周期とする型は対象全体の約7割にみられた. これらは心拍日内変動において概日リズムの表現が保たれている例とみなせた.
    5) 各クラスターの発現頻度は百寿者と対照群で有意に異なった. 百寿者では24時間周期を主たる周期とする型は有意に少なく, 24時間+8時間周期型, 周期パワー低値型が多くみられる傾向にあった.
    以上より, 超高齢者では24時間周期パワーの減弱と8時間周期パワーの強調, 24時間周期リズムの位相のズレ, に代表される概日リズムの変容が多くみられるようになることが示唆された.
feedback
Top