実年齢と身体の加齢は必ずしも比例しない. 老化を年齢以外で評価する指標を見出すことを目的として, 通常肝疾患で測定される4種類の線維化マーカー (ヒアルロン酸, IV型コラーゲン, IV型コラーゲン7S, PIIIP) に着目し, 加齢との関連を検討した. 対象は当院に入院または外来通院中の患者78例であり, 超高齢者群, 高齢者群, 非高齢者群に分け, それぞれの各線維化マーカー値を比較した. 結果, ヒアルロン酸は超高齢者群で86.3±46.7ng/m
l, 高齢者群で58.9±37.4ng/m
l, 非高齢者群の50~69歳で48.7±71.9ng/m
l, 20~49歳で22.6±26.1ng/m
l, IV型コラーゲンは超高齢者群で134.6±27.8ng/m
l, 高齢者群で131.1±46.5ng/m
l, 非高齢者群の50~69歳で135.1±102.1ng/m
l, 20~49歳で92.8±21.8ng/m
l, IV型コラーゲン・7Sは超高齢者群で4.4±0.9ng/m
l, 高齢者群で4.4±0.6ng/m
l, 非高齢者群の50~69歳で4.8±1.6ng/m
l, 20~49歳で4.3±0.6ng/m
l, PIIIPは超高齢者群で0.70±0.31U/m
l, 高齢者群で0.64±0.34U/m
l, 非高齢者群の50~69歳で0.59±0.43U/m
l, 20~49歳で0.46±0.14U/m
lであり, ヒアルロン酸, IV型コラーゲン, PIIIPは加齢により上昇する傾向を認めた. とくにヒアルロン酸においてはその傾向が顕著であった. さらに対象 (健診受診者81例) を加え, 各年代におけるヒアルロン酸値を検討した. 結果, 年代が上がるにつれヒアルロン酸値は確実に上昇を示し, 年齢とヒアルロン酸値の間には相関が認められた (相関係数r=0.64, p<0.001). さらに線維化マーカー, 免疫グロブリンや血清アルブミンなど各種項目における加齢への影響について多因子分析を用いて検討したところ, ヒアルロン酸が最も影響しているといった結果であった (p<0.0002, p<0.00002). ヒアルロン酸は実年齢以外で老化を評価する指標になりうると考えられた.
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