日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
39 巻, 5 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 太田 壽城, 原田 敦, 徳田 治彦
    2002 年 39 巻 5 号 p. 483-488
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高齢化社会の進行に伴って老人医療費は急速に増加し, 新しい高齢者医療の役割として老人医療費の適正化が期待されている. 本研究の目的は, 日本における大腿骨頚部骨折の医療経済に関する文献データを収集し, 大腿骨頚部骨折の治療と介護に関わる費用と, 現在効果的と考えられている対策の医療経済的効果について検討することである. 大腿骨頚部骨折の新規発症について Orimo らは国内の50施設をモニターし, 日本全体における大腿骨頚部骨折の新規発症を89,900~94,900人 (平均92,400人) と推計している. 大腿骨頚部骨折の予後については, 大腿骨頚部骨折により歩行可能な者から寝たきりあるいは要介助となる者は36~42%と推測され, 大腿骨頚部骨折後の生命予後は平均5年程度はあると推察された. 一方, 大腿骨頚部骨折の手術・入院費用は140~180万円, 介護保険制度の単位から算出した最も介護度の低い要介護1の年間介護福祉施設サービス費用は242万円と推定された. これらの文献データを基に, 日本における大腿骨頚部骨折の医療と介護にかかる費用を推計すると, 年間の大腿骨頚部骨折にかかわる医療・介護費用は5,318.5~6,359.0億円と推計された. 大腿骨頚部骨折の予防あるいは骨粗鬆症の治療と大腿骨頚部骨折の医療費について検討した. 日本において80歳代の女性全員 (約273万人) にヒッププロテクターを適用した場合, 単純なコストベネフィットの計算では144.7~243.0億円の適正化という結果になった. ホルモン補充療法も骨折患者の発生を顕著に低下させ, 費用削減効果があるとされている. 日本において80歳代の女性 (約273万人) の半数がビスフォスフォネートを服用した場合の推計を行うと, コストの方がベネフィットを大きく上回る結果となった. しかし, 薬剤中止後も治療期間と同程度の期間効果が継続すると仮定すると, コストとベネフィットが拮抗した.
  • 牛海綿状脳症 (BSE) と人変異型CJD
    金子 清俊
    2002 年 39 巻 5 号 p. 489-493
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 高崎 優, 柳川 清尊, 篠崎 一志, 藤井 広子, 渋谷 健, 武田 弘志, 松宮 輝彦, 江頭 亨
    2002 年 39 巻 5 号 p. 494-500
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    私共は, 脂溶性ラジカルスカベンジャーであるビタミンE (α-トコフェロール) の生体膜内での酸化-還元動態 (抗酸化能) と老化との関連, および各種病態におけるその動態変化の病態生理学的意義について検討を行った. ビタミンEは膜脂質への過酸化連鎖反応によって生じる過酸化脂質ラジカルを消去し, 自らはビタミンEラジカル, さらにはビタミンEの酸化型代謝物であるビタミンEキノン (α-トコフェロールキノン) となる. 従って, ビタミンEによる膜内での抗酸化能をより正確に把握するためには, ビタミンEとビタミンEキノンの同時測定法の確立が必要となる.
    この目的のために, まず, ビタミンEとビタミンEキノンの高感度同時測定のためのHPLCシステムを開発した. 次いで, これを基礎および臨床研究に応用し, 加齢および各種病態 (糖尿病, 高脂血症) に伴う赤血球膜内ビタミンEの動態変化を観察し, 以下のような結果を得た.
    1) HPLC-multiple coulometric ECDによるα-トコフェロールと, その酸化型代謝物のα-トコフェロールキノンの高感度同時測定システムを開発した. このシステムは, 生体膜におけるα-トコフェロールの酸化-還元動態を評価する上で有用である.
    2) 加齢 (10~120週齢) に伴い, ラット赤血球膜内でのα-トコフェロール利用率が増加する. しかし, 血漿中から赤血球膜内へのα-トコフェロール移行率は低下する. さらに, 加齢により赤血球膜内の過酸化脂質量の増加と膜流動性の低下が生じる.
    3) ヒト赤血球膜内でのα-トコフェロール利用率は加齢に伴い増加する. また, この利用率と健常者の年齢 (23~103歳) との間に有意な正の相関が認められた.
    4) 健常高齢者 (平均71.8歳) に比較してインスリン非依存性糖尿病の高齢者 (平均68.1歳) では, 赤血球膜内へのα-トコフェロール移行率が低下する.
    5) 高脂血症高齢者 (平均74.1歳) では, 健常高齢者 (平均71.2歳) と比較してα-トコフェロールの赤血球膜内での利用率および膜内への移行率が低下する.
    以上の成績から, α-トコフェロールの生体膜内における酸化-還元動態を考究することは, フリーラジカルが関与する各種疾患の発症や進展, さらには合併症の発症解明の一助となると考えられる. また, この酸化-還元動態は, 加齢評価のための指標の一つになり得る可能性が示唆された.
  • 馬場 忠雄
    2002 年 39 巻 5 号 p. 501-503
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 松本 正幸, 岩井 邦充
    2002 年 39 巻 5 号 p. 504-506
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 千野 直一
    2002 年 39 巻 5 号 p. 507-508
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 衛
    2002 年 39 巻 5 号 p. 509-510
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 斉藤 隆三
    2002 年 39 巻 5 号 p. 511-512
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 林 泰史
    2002 年 39 巻 5 号 p. 513-515
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    As a current attention of the medical treatment has been paid to improve guality of the life rather than to save the life of the patient, so the treatment of bone and joint diseases, which are not ordinarily fatal and deteriorate quality of the life of the patient, would become important in the aged society of 21 century.
    In a strategy to improve the quality of life in the patient with osteoarthritis, disease modifying anti-osteothritis drugs are investigated for primary prevention and complete recovery of osteoarthritis. In osteoporosis, a characteristic bone disease of the aged, aims of the treatment have been changed from freeing of pain in the nineteen sixties, increase of bone mass in the nineteen eighties and reduction of the fracture rate in the nineteen nineties to improve of quality of the life through decrease of pain and fracture in 21 century, In conclusion, current management for bone and joint diseases in the elderly is finally designed to enjoy a healthy life of long span by medical intervention.
  • 岩本 俊彦
    2002 年 39 巻 5 号 p. 516-519
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 行動機能, 認知機能との関連
    村上 省吾, 山中 崇, 久保 豊, 和田 泰三, 矢野 昭起, 西村 芳子, 品川 亮, 松林 公蔵, 大塚 邦明, 大川 真一郎, 川田 ...
    2002 年 39 巻 5 号 p. 520-526
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    《背景》心拍変動 (以下HRV) は各種疾患の疾病予後・生命予後の優れた指標であることが明らかにされている. 一方, 高齢者ではADLが生命予後の指標となりうることが知られている. また, 近年, 循環器疾患と認知機能との関連性が注目されるようになった. 《目的と方法》北海道樺戸郡浦臼町に在住する75歳以上の138名 (男性54名, 女性84名平均年齢79.6歳) を対象に一般検診及びHRV解析 (時間領域, 周波数領域) 及び行動機能 (歩行安定性, 身体柔軟性, 指先の細かい運動能力), 認知機能を評価し, HRVの各指標との関係を調べた.《結果》HRVと加齢との間には低周波成分と高周波成分の比 (以下LF/HF比) 以外, 有意の相関関係は認められなかった. 低周波成分 (以下LF成分) は, 歩行安定性, 身体柔軟性, 指先の細かい運動能力のいずれとも有意の正相関を認めた. LF成分の意義は未だ議論の余地があり, その解釈は今後の追跡調査の課題である. 身体柔軟性の低下とともに多くのHRV指標の低下が観察された. その原因として身体柔軟性の低下により心肺機能が低下し, その結果HRV指標が低下している可能性が示唆された. 認知機能の低下を示した群では, 正常群に比し, LF成分, LF/HF比の低下が認められた. その機序は明らかではないが, 痴呆の早期発見の指標となりうるか, あるいは予後との関連性が期待される. 《結語》本研究の成績は, 高齢者のHRVには循環・神経調節機構以外に, 環境因子や生活習慣などが大きく関与していることを推測させる. 今後経年的な追跡調査を行ない, 1. 高齢者のHRVは独立した生命予後の指標か, 行動機能に依存した生命予後の指標にすぎないのか, 2. 認知機能とHRVとの関連性, を明らかにしたい.
  • 高橋 光子, 荒木 厚, 井藤 英喜
    2002 年 39 巻 5 号 p. 527-532
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高齢糖尿病患者では, 食品のエネルギー量を計算することが困難で食品交換表を用いた複雑な栄養食事指導が理解しにくい場合がある. そこで, 新たに, 高齢糖尿病患者における簡易栄養食事法 (簡易法) を開発し, 食事栄養摂取量や血糖コントロールなどに及ぼす効果を, 従来の食品交換表を用いた栄養食事指導 (従来法) を対照として無作為比較対照試験により検討した. 対象はHbA1c 7.0%以上の外来通院中の高齢糖尿病患者で, 新規患者30例を簡易法15例, 従来法15例に, 長期通院患者38例も簡易法19例と従来法19例に, それぞれ無作為に割り付けた. 栄養指導前と指導後2~3カ月後に吉村の食事アンケートを用いて1週間の食事栄養摂取量を評価した. 新規患者では, 簡易法は, 従来法と同様に, 指導後2~3カ月後の摂取エネルギー量, 菓子類, 果物類の摂取量, およびHbA1cが有意に減少した. しかし, 長期通院患者では, 両群とも, 蛋白エネルギー比, 大豆類の摂取量の増加を示し, HbA1cや摂取エネルギー量に有意の変化を認めなかった. 高齢糖尿病患者における簡易栄養指導法は, 新規患者例において, 有用であることが示唆された.
  • 緒方 利安, 矢坂 正弘, 長束 一行, 峰松 一夫, 山口 武典
    2002 年 39 巻 5 号 p. 533-536
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    拡張性動脈硬化性疾患である大動脈瘤と頸動脈病変との関連性についての報告は少ない. 今回, 総頸動脈径と大動脈瘤との関連性を検討した. 対象は1999年7月1日から2000年6月30日までに頸部血管超音波検査を施行した40歳以上の大動脈瘤132症例 (大動脈瘤群), および2000年4月1日から6月30日までに頸部血管超音波検査を施行し, かつ大動脈瘤の診断を受けていない414例 (コントロール群) である. 頸部血管超音波検査で両側総頸動脈分岐部から1~2cm中枢側で総頸動脈内膜間径を測定した. 両群間で, 左右総頸動脈内膜間径, 年齢, 動脈硬化危険因子合併率を比較し, p<0.1の差のあった項目を独立変数, 大動脈瘤の存在を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った. さらに大動脈瘤径と総頸動脈径の相関について調べた. 大動脈瘤群の総頸動脈径はコントロール群のそれより有意に大きかった (右:7.0±1.1mm vs 6.3±1.0mm, 左6.7±1.1mm vs. 6.1±1.0mm, 左右ともにp<0.001, unpaired t test). ロジスティック回帰分析では, 高血圧合併, 喫煙習慣, および総頸動脈径が大動脈瘤の存在の独立した関連因子であった (右: p<0.001, odds 比1.69, 左: p<0.001, odds比1.48). 胸部大動脈瘤径と左頸動脈径, 解離性大動脈瘤径と右頸動脈径の間にそれぞれ有意な相関を認めた (r=0.350, p<0.05; r=0.506, p<0.05). 大動脈瘤を有する症例では, 総頸動脈径が大きく, その径は胸部大動脈瘤や解離性大動脈瘤の手術時あるいは画像上の最大外径と相関する.
  • 酒井 泰一, 森 敏, 中島 健二
    2002 年 39 巻 5 号 p. 537-544
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    介護保険において, 障害をもつ高齢者の要介護度は, 基本調査結果から算出される. しかしこれは複雑な電算処理を要するため, 介護の現場で要介護度を推定することは困難である. そこでわれわれは, 日常目につきやすい生活動作の障害状況から, 簡便に要介護度を推定できる樹形モデルを開発した. 本モデルは, 痴呆系と身体障害系に分けて作成した. 一次判定の確定した東山老年サナトリウムの患者から, 痴呆系と身体障害系の症例を各要介護度20例づつ, 計240例を無作為に抽出し, その基本調査結果を検討した. 調査項目の選択肢が「自立」から「全介助」へと移行するにつれ要介護度が比較的規則正しく上昇する項目, 痴呆系では「上衣の着脱」, 身体障害系では「排尿後の後始末」を第一次分岐項目に選定した. 痴呆系モデルにおいて,「上衣の着脱」の選択肢と要介護度の対応は次のようにした.「自立」→要支援,「見守り」で「立ち上がり」が「つかまらないでできる」→要介護1, 同じく「立ち上がり」が「つかまらないでできる」以外→要介護2,「一部介助」→要介護3,「全介助」で「食事摂取」が「全介助」以外→要介護4, 同じく「食事摂取」が「全介助」→要介護5. 身体障害系では,「排尿後の後始末」の選択肢と要介護度の対応を次のようにした.「自立」で「歩行」が「つかまらないでできる」→要支援,「つかまらないでできる」以外→要介護1,「間接的援助のみ」または「直接的援助」→要介護2,「全介助」で「食事摂取」が「自立」か「見守り」→要介護3, 同じく「一部介助」→要介護4, 同じく「全介助」→要介護5とした. 本樹形モデルによる推定要介護度と一次判定の要介護度が完全に一致した正診率は, 痴呆系71.7%, 身体障害系66.7%であった. 両者のずれが上下1ランク以内に留まる準正診率は, 痴呆系98.3%, 身体障害系100%であった. 以上から, 本推定樹形モデルは十分実用に耐えると考えた.
  • 今村 恵子, 古和 久典, 楠見 公義, 安井 建一, 竹島 多賀夫, 中島 健二
    2002 年 39 巻 5 号 p. 545-548
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳女性. 1994年発症のパーキンソン病のため外来通院加療中であったが, 誤嚥性肺炎にて2001年2月20日当科入院となった. 抗菌剤投与およびステロイドパルス療法により症状は一部軽快したが, MRSA肺炎を繰り返し, 長期臥床状態となっていた. その後, 全身状態の改善によるADLの向上に伴って頚肩痛が出現した. 痛みの訴えが強くNSAID内服にても症状の改善を認めず, 頚椎X線および頚椎MRIを施行したことにより頚椎化膿性脊椎炎の診断に至った. パーキンソン病患者は頚肩痛を訴えることが多く, パーキンソン病に関連した症状とみなされ, しばしば対症療法にて経過観察される. しかし, その原因は様々であり, 中には重篤な病態が含まれている場合がある. 感染症を有する全身状態の悪いパーキンソン病患者の頚肩痛に対しては, 頚椎化膿性脊椎炎を鑑別診断の1つとして念頭におき, 早期に充分な画像的検索を行う必要があると考え報告した.
  • 渡部 一郎, 山内 勇人, 岩政 喜久恵, 河野 政志, 高田 清式, 杉田 敦郎
    2002 年 39 巻 5 号 p. 549-553
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高齢者で回盲部に内分泌細胞癌 (異型カルチノイド) と腺癌が隣接する形で合併していた症例を経験した. 症例は86歳, 女性. 右下腹部痛が徐々に増悪するため入院した. 右下腹部に可動性に乏しい7×6cm大の腫瘤を触知し, 腹部CT検査にて回盲部に強い造影効果のある腫瘍を認めた. 注腸造影検査, 大腸内視鏡検査では盲腸から上行結腸口側にかけて粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた. 内視鏡下生検では未分化癌が疑われたが, 確定診断には至らなかった. 右半結腸切除術を施行し, 後腹膜に浸潤する巨大腫瘤を摘出した. その組織像は, 中心部壊死や脈管侵襲を伴う異型性の強いカルチノイド腫瘍で, 病理組織学的に内分泌細胞癌 (異型カルチノイド) と診断した. さらに, 盲腸底部付近に同腫瘍に隣接して径2.5cm大の隆起性病変が存在し, 組織学的には早期の中分化型腺癌であった. しかし, 腺癌と内分泌細胞癌との連続性は認められなかった. 患者は, 退院したが術後9カ月目に再発して死亡した. 大腸内分泌細胞癌, 特に本症例のような回盲部発症のものは極めて稀である. 回盲部の内分泌細胞癌と同部の腺癌が組織学的に移行がなく, 肉眼的にも独立した形で存在した症例は本邦で今回が初めてであった.
  • 山本 純子, 山野 繁, 中谷 公彦, 赤井 靖宏, 椎木 英夫, 橋本 俊雄
    2002 年 39 巻 5 号 p. 554-557
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は, 74歳の男性. 平成9年1月に心窩部不快感を自覚した. 近医で胃潰瘍と診断され, 薬物加療されていた. 平成11年7月から食思不振を自覚し, 10月上旬からは食後に心窩部不快感が出現した. 近医での腹部エコー検査で, 膵頭部と肝門部のリンパ節腫大を指摘され, 当科に紹介された. 上腹部正中に弾性軟, 圧痛のない, 手拳大の腫瘤を触知し, 両側に女性化乳房を認めた. 胃内視鏡検査では, 胃体中部後壁に Borrmann 3型胃癌が認められ, 病理組織診断は中分化型管状腺癌であった. 腹部造影CTでは, 肝門部, 肝十二指腸間膜部, 胃および膵周囲, 脾門部, 大動脈周囲などに大小不同のリンパ節腫大, 肝S4領域に転移を示唆する不整の結節像が認められた. また, 血中hCG, 尿中hCG, およびF-βhCGの著明な上昇が認められた. 骨盤CT所見で腹膜播種が認められたことから, 手術適応がないと診断した. いったん退院したが, 腹水貯留が高度となり, 平成12年1月4日に再入院した. 入院後も腹水貯留は軽快せず, 再入院第7病日に死亡した. 剖検の承諾は得られなかった.
  • 2002 年 39 巻 5 号 p. 558-571
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 39 巻 5 号 p. 572
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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