日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
41 巻, 2 号
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  • 急性骨髄性白血病を中心に
    森 眞由美
    2004 年 41 巻 2 号 p. 131-140
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高齢者急性骨髄性白血病を中心に述べる. 発症以前に骨髄異形成症候群を始めなんらかの血液異常を指摘されている例が約40%と多い. 白血病細胞の形態では, FAB分類のM3が少ない以外一般成人とほぼ同一であるが, 3系統に形態異常を認める割合が高い. 染色体異常では, 予後良好とされる異常は3~5%と少なく, 二次性悪性腫瘍に多い5番, 7番の異常や複雑な染色体異常が30~40%を占める. 多剤耐性遺伝子のMDR1陽性率も高い. その上, 加齢に伴う各臓器の機能低下があり, 合併症も多いことから, 高齢者の白血病はいまだに予後不良である. 治療を開始するにあっては, 全身状態, 高齢者の包括的機能評価 (CGA), 白血病の性質を総合して, 強力な多剤併用, マイルドな治療, 対症療法のみのいずれかを選択する. 二次性白血病, 予後不良染色体は, 寛解に関する予後因子として重要であるが, 全身状態が良好であれば通常の多剤併用療法を試みる. AraC 7日間とダウノルビシン3日間の療法が基準であり, ダウノルビシンの代わりにイダルビシンやミトキサントロンなどが検討されているが, いずれも完全寛解率は40~60%, 平均生存期間は1年以内であり, 特に優れた治療法は今のところない. 白血球を増加させるCSFは顆粒球減少期間を短縮できたが, 寛解率の向上や入院期間の短縮は認められないという報告が多い. 一方, 近年多剤耐性を取り除く薬剤や新抗がん剤が開発され難治性白血病に試みられるようになってきている. また, ターゲット療法である抗CD33抗体も特に高齢者の急性白血病に使用可能になってきている. 骨髄抑制が少ないことから, 全身状態の不良な高齢者への使用も期待できる. 造血幹細胞移植とくにミニ移植も60代以上の高齢者に試みられており, 次第に成績も向上してきている. 血管新生抑制剤, インターロイキンなど新しい考え方の治療法が開発されており, 今後高齢者の治療成績も向上するものと期待される.
  • 下澤 達雄, 藤田 敏郎
    2004 年 41 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    アドレノメデュリンは我が国で発見された降圧ペプチドであるが, 最近では抗酸化作用を含めた pleiotropic effect が注目されている, 各種基礎検討特にノックアウトマウスの解析から, アドレノメデュリンの臓器保護作用や生殖系への作用を有することが明らかとなった. さらにホモロジー検索から新たなペプチドが発見されている. SNP解析も行われており, 疾患との関連性が明らかにされることが期待される. さらに, 最近では臨床応用として体液量の指標としての測定意義や, 動物実験で証明された臓器保護作用をヒトに応用する臨床検討が進行している. アドレノメデュリンは今後のさらなる発展が期待されるペプチドである.
  • 森本 茂人, 高本 勝之, 佐伯 集一, 藪本 恭明, 村井 裕, 松本 正幸
    2004 年 41 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高齢者においては人生の終末期に, 原因は様々であっても, 痴呆, 寝たきり, 廃用症候群, 各種感染症易発症性, 合併症の重層的併発など, 比較的慢性に経過する共通の症候, すなわち老年症候群 (geriatric syndrome) を呈する場合がある. これら老年症候群に対しては, それぞれの原因疾患の鑑別診断と治療あるいは再発予防とともに, 医師のみではなく, 多種の医療職種のチームワーク医療が重要であり, 老年症候群例に対するこれら多職種の共通認識としての総合機能評価が必要となる.
  • 武地 一
    2004 年 41 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高齢者総合的機能評価 (CGA) は高齢者の疾病を単に臓器別の疾患として捉えるのではなく, 慢性的な障害やそれによる活動の制限, 精神的・情緒的側面, 社会的状況等も含めて評価し支援する方法論である. 我が国でもその重要性が徐々に認識され臨床場面や教育場面でも取り入れられつつある. CGAを行うことはCGAそのものにとって重要な多職種のチームワークを促進する効果も持っている. CGAでは「評価」「勧告 (対応方法の決定)」「実施」「効果判定と再考」という一連のプロセスが重要であり, 評価に対してリハビリ, ソーシャルワーク, 栄養補給法の決定等の勧告, 実施が行われる. この過程では生命予後だけではなく, QOLや医療倫理的妥当性が問われることになる. またCGAが十分活用されるためにはその効果が実証される必要がある. 今回の報告では老年内科病棟で行ったCGAを紹介し, 評価から実施への流れを考察すると共に, 我が国におけるCGAの現状と展望を概観したい.
  • 荒木 厚
    2004 年 41 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    Insulin therapy is an effective measure of improving glucose control even in elderly patients with type 2 diabetes. However, it is controversial whether insulin therapy does disturb the quality of life (QOL) as well as cognitive function in the elderly. In our previous study of 455 diabetic patients, the well-being as assessed by the morale scale was similar in three treatment groups. In contrast, the symptom-burden, social burden, and worry about diabetes as assessed by the Elderly Diabetes Burden Scales was more increased in insulin-treated group as compared to the diet-treated group after adjustment for age, gender, HbA1c, frequency of hypoglycemia, microangiopathy, macroangiopathy, and social support. In another study of 213 patients, MMSE scores were similar among treatment groups, while attention and learning were most impaired in insulin-treated groups after adjustment for age, gender, HbA1c, and duration of diabetes. Although the mechanism for the association between insulin treatment and cognitive impairment is unknown, hyperglycemia, hypoglycemia, and cerebral complications in insulin-treated patients may be possible explanations. Whatever mechanism may be involved, hypoglycemia should be considered especially if unexpectedly low HbA1c (<6.5%) is observed or atypical neuropsychological symptoms appear.
    It is unknown how insulin withdrawal is successful in elderly diabetic patients. Using rapid or ultrarapid insulin injections three times daily, good glucose control achieved the goal of plasma glucose level of <140mg/dl before meals and at bedtime. Then, insulin therapy was converted to oral treatment of glimepiride (2 to 6mg/day) and/or voglibose (0.6mg/day) in 30 patients with poorly controlled Type 2 diabetes. About 83% of the patients were successful in the insulin withdrawal according to the criteria of HbA1c levels after two months<8.0%. After removal of glucose toxicity, insulin withdrawal should be attempted to improve QOL in elderly patients with diabetes mellitus.
  • 青木 元邦
    2004 年 41 巻 2 号 p. 161-163
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 荒井 秀典, 横出 正之
    2004 年 41 巻 2 号 p. 164-165
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 藤田 淳
    2004 年 41 巻 2 号 p. 166-167
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 高齢者治療をめざして
    伊達 勲
    2004 年 41 巻 2 号 p. 168-170
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 数井 裕光
    2004 年 41 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 岡村 信行
    2004 年 41 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病 (AD) の代表的な病理学的所見は, 老人斑, 神経原線維変化の脳内蓄積である. アミロイドβ蛋白が凝集してできる老人斑は, ADを発症する前の段階から脳内への沈着が始まっていることから, この老人斑の蓄積を非侵襲的に画像化できれば, 発症前段階でADの病理学的異常を検出することが可能となる. Positron emission tomography (PET) などの核医学的手法を用いて画像化を実現するには, 老人斑と特異的に結合し, かつ脳移行性の高い化合物 (プローブ) が必要となる. これまでに米国でFDDNP, BTA-1, IMPYなど様々なプローブが開発されてきたが, 我が国のビーエフ研究所においても新しいプローブ用化合物群を開発している. その中の一つである Compound-Aは, 老人斑との高い結合選択性を有し, またプローブとしての優れた薬物動態も示す化合物である. さらにAPPトランスジェニックマウスへの投与試験でもその有効性が確認されており, 臨床応用が期待されている.
  • 中野 正剛
    2004 年 41 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • SKT (Syndrom Kurz Test) を用いて
    三浦 久幸, 遠藤 英俊
    2004 年 41 巻 2 号 p. 183-185
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 中山町研究を通して
    池田 学
    2004 年 41 巻 2 号 p. 186-188
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 櫻井 孝, 宋 秀珍, 横野 浩一
    2004 年 41 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    2000年4月に介護保険が導入され, 介護保険はすでに高齢者の医療と介護を支える中心として機能している. そこで1996~2002年に発表された介護保険に関する論文・会議録を検索し, これまでの経緯と問題点を整理した. 2002年12月にて, コンピュータデータベースを用いて「介護保険」をキーワードに検索したところ, 総計3,606編の報告が認められた. 著者の属性および報告の内容を54個のキーワードで整理した. 著者の職種では, 行政, ケアマネジャー, 理学療法士, 医師が多かった. 報告の内容を在宅, 施設, 病院で分類すると, 50%以上が在宅に関するものであった. キーワードの出現頻度では,「制度/行政」,「地域保健」,「意見書/要介護認定」,「ケアマネジメント」,「ケアマネジャー」,「リハビリテーション」が多かった.「ケアマネジャー」は介護保険施行後には出現頻度が減少したが,「サービス資源」,「痴呆」,「老年症候群」,「看護師」,「施設医療」,「病院介護」,「高齢者医療」,「終末期医療・安楽死」,「透析」,「老人虐待」,「介護負担」などのキーワードは, 介護保険の施行後に増加していた. 即ち, 介護保険への関心は, 制度自体から, より具体的な個別の課題へ移りつつあり, また老人の虐待や, 介護者負担など, 新たな問題点が指摘されるようになった. これら結果より老年医学の役割も介護保険を契機に変化しつつあると考えられる. 高齢者の包括的な理解, 地域での他職種との連携, また高齢者特有の疾患および問題に対してより積極的な貢献が求められている.
  • 藤原 禎一
    2004 年 41 巻 2 号 p. 193-194
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 正彦
    2004 年 41 巻 2 号 p. 195-197
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 見平 隆
    2004 年 41 巻 2 号 p. 198-200
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 浅井 幹一
    2004 年 41 巻 2 号 p. 201-203
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 熊本 圭吾, 荒井 由美子, 上田 照子, 鷲尾 昌一
    2004 年 41 巻 2 号 p. 204-210
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    本研究は, 荒井らにより作成された日本語版 Zarit 介護負担尺度短縮版 (J-ZBI_8) の交差妥当性の検証 (尺度作成時と異なる対象における妥当性の確認) および構成概念妥当性の検証を目的とした. 大阪府S市の2施設が提供する在宅介護サービスを利用する要介護高齢者561名の介護者を対象に, 郵送法による自記式質問紙調査を行った. 315名の回答者のうち, 回答者が主介護者かつ要介護高齢者の同居家族であり, 回答に欠損のない169名を分析の対象とした. 質問項目は, 要介護高齢者の年齢, 性別, Barthel Index, 問題行動の有無および, 介護者の年齢, 性別, 介護期間, 一日の介護時間, 介護者の身体的・精神的疲労, 虐待の有無, 介護負担 (J-ZBI) 等であった.
    J-ZBI_8の交差妥当性確認のため, 内的整合性, 因子的妥当性, 併存的妥当性を検討した. 内的整合性の検討にはJ-ZBI_8と下位尺度である Personal strain, Role strain における Cronbach's αを算出し, それぞれ0.88, 0.87, 0.84であった. 因子的妥当性の検討には確証的因子分析を行い, モデルの適合度は十分であった (CFI=0.99). 併存的妥当性の検討には, J-ZBI_8と, J-ZBIおよびJ-ZBI項目22との間の相関係数を算出し, それぞれr=0.92, 0.66 (共にp<0.001) であった. 構成概念妥当性の検討として, J-ZBI_8と, Barthel Index, 介護期間, 一日の介護時間, 介護者の身体的・精神的疲労との間の相関係数を算出したところ, 介護期間以外の変数との間に有意な相関が認められた. 対象者を要介護高齢者の問題行動の有無および虐待の有無により2群に分け, J-ZBI_8得点をt検定により比較したところ共に有意差が認められた. 以上によりJ-ZBI_8の交差妥当性, 構成概念妥当性が確認された.
  • 森田 浩之, 宇野 嘉弘, 梅本 敬夫, 杉山 千世, 松本 雅美, 和田 祐爾, 石塚 達夫
    2004 年 41 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    平均年齢71±8歳の高齢者67名を対象に, 11~13カ月間のγアミノ酪酸 (GABA) 富化胚芽米摂取が主として生活習慣病関連指標に与える影響について検討した. 主食としてGABA富化胚芽米を白米と1対1の割合で炊飯し摂取する摂取群と, 通常の白米を摂取する非摂取群の2群に分け, それぞれの評価項目の摂取前後での差を2群間で比較した. 摂取群では, 非摂取群に比較し, 体脂肪率・HbA1c・MCVの増加と, MCHCの減少が有意であったが, BMI, 血圧, 血清脂質, 肝腎機能, 骨代謝マーカー, 骨密度, うつ状態, RBC, Hb, Htやインスリン抵抗性の指標であるHOMA-Rの変動には2群間で差がみられなかった. これらの結果から, GABA富化胚芽米は, 糖代謝には必ずしも良い影響を与えないことが示唆された.
  • 三浦 宏子, 苅安 誠, 山崎 きよ子, 荒井 由美子
    2004 年 41 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    虚弱老人の摂食・嚥下障害のケアアセスメントを行い, その症状, 全身の生活機能ならびに口腔ケア状況について調べた. 養護老人ホームに入所している65歳以上の高齢者92名を対象とした. 摂食・嚥下障害については対象者本人による自己評価 (15項目) と介護者による他者評価 (18項目) を併用して評価した. まず, 両評価の12共通項目について統計的一致度を調べた. これらのすべての評価項目について「いいえ」と回答した者を「異常なし群」とし, それ以外の者を「摂食・嚥下障害リスク群」とした. また, 基本ADL, 認知機能, QOLについては, それぞれバーセル指数, 改訂長谷川式簡易知能評価スケール, PGCモラールスケールを用いて評価した. 口腔ケアの状況は1日あたりの口腔清掃の回数と歯垢中の総嫌気性菌数・総レンサ球菌数によって評価した. 自己評価で高率に認められたのは「硬い食物の咀嚼困難」(21.74%) であった. 一方, 介護者による他者評価で高率に認められたのは「発熱」(20.65%) であった. 他者ならびに自己評価の共通項目において一致度が高かったものは「1年間の肺炎の既往」(κ値=0.85) であった. 一方, 一致度が低かったものは「食欲の低下」(κ値=0.27) であった. 主観的な要素が強い項目については, 両評価票を相補的に用いることによって的確なアセスメントができると考えられた. また, 摂食・嚥下障害のリスクの有無と全身の生活機能, 口腔ケアとの関連性を調べたところ, 有意な関連性を有していたのはバーセル指数のみであった (p<0.01). この結果より, 基本ADLが低下している者では摂食・嚥下障害のリスクが高い可能性が示唆された. また, 歯垢中の細菌数評価の結果から, 摂食・嚥下障害リスク者は口腔ケアをより徹底して行う必要性があるにも関わらず, 実際には十分になされていないこともわかった.
  • 若林 一郎, 増田 浩史
    2004 年 41 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    健常な高齢者では肥満と脳心血管系疾患による死亡率との関係は弱いことが報告されており, また肥満と動脈硬化のリスク要因との関連性も年齢とともに減弱することが知られている. 高齢糖尿病患者における肥満の動脈硬化への影響を知る目的で, 本研究では65歳以上の糖尿病患者126名 (男61名, 女65名) の body mass index (BMI) と動脈硬化の各リスク要因との関連性について検討した. BMIは血圧 (収縮期および拡張期) および血中中性脂肪, 尿酸, シアル酸の各濃度とそれぞれ有意な正の相関を示し, また糖尿病罹患期間および血中HDLコレステロール濃度と有意な負の相関を示した. これらの中で血中尿酸濃度を除くすべての項目とBMIとの相関は性および年齢を調整した後も有意であった. また, BMI値25以上を示す対象者ではBMI値22未満を示す者に比べて血圧 (収縮期および拡張期), 血中中性脂肪およびシアル酸濃度の平均値は有意に高く, 血中HDLコレステロール濃度の平均値は有意に低かった. 以上の結果から糖尿病患者では高齢者においても肥満が高血圧や血中脂質異常などの動脈硬化のリスク要因を助長する可能性があり, 肥満の是正による動脈硬化予防の必要性が示唆された.
  • 馬場 麗, 東梅 友美, 太田 秀一, 三浦 洋子, 豊島 經康, 田中 淳司, 浅香 正博, 今村 雅寛
    2004 年 41 巻 2 号 p. 228-232
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性. 平成14年3月より左上腹部痛が出現し, 微熱・体重減少も認められたため, 近医を受診. 白血球数・LDH及びCRPの上昇を認め前医紹介となり, 精査加療目的で当科入院となった. 上部消化管内視鏡検査にて, 胃体上部から胃角部にかけて全周性に潰瘍及び隆起性病変を認め, 病理組織学的にはT細胞性リンパ腫を呈し, 抗 human T-cell lymphotrophic virus type I (HTLV-I) 抗体陽性であり, 胃生検検体のPCR法による解析においてHTLV-IプロウイルスDNA (GAG) が検出されたことから成人T細胞性白血病リンパ腫 (Adult T-cell leukemia/lymphoma: ATLL) と診断した. 診断後化学療法を施行するも効果が認められず, 急速な経過で死亡した. 本疾患は高齢者に比較的多発する傾向があり, 胃を含む消化管病変もしばしば経験される. しかし, 胃原発のATLLは我々の検索した範囲内ではこれまで13例が報告されているのみであり, 極めて稀であることから, 今回文献的考察を加えて報告する.
  • 濱田 英里, 岡本 憲省, 奥田 文悟
    2004 年 41 巻 2 号 p. 233-236
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性. 2年前より排尿障害が進行し, 1年後より自己導尿開始した. その頃から起立性低血圧による失神発作が頻回となったため当科入院となった. 両側眼瞼下垂と縮瞳以外には神経学的異常はなかった. 1%ネオシネジンでの点眼試験では両側の瞳孔が散大した. 起立試験は陽性で, CVR-Rの低下や夜間血圧低下があり, 生理的徐脈は消失していた. 膀胱内圧検査では無抑制収縮を示した. 頭部MRIでは橋, 小脳, 大脳基底核の萎縮や異常信号は認められなかった. 以上より本症例を pure autonomic failure (PAF) と診断した. 1時間当たりの無呼吸数が5回以上の sleep apnea syndrome (SAS) が認められたため nasal CPAPを開始した. その直後からいびきや無呼吸の著明な改善に加え, 起立性低血圧による失神発作や食後低血圧も改善した. PAFやその近縁疾患である Shy-Drager 症候群において, nasal CPAPはSASだけでなく起立性低血圧などの自律神経機能不全にも有効である可能性が示唆された.
  • 第38回日本老年医学会関東甲信越地方会
    2004 年 41 巻 2 号 p. 237-242
    発行日: 2004/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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