目的: 老年病・呼吸器専門医 (以下専門医と略す) が新病院に非常勤勤務 (週1回) 開始後, 慢性呼吸器疾患患者の増加に伴い, 呼吸教室 (以下教室と略す) を開催し呼吸器疾患, 呼吸リハビリテーションに対する啓蒙を行い, 主に心理面の評価を中心にその効果を検討した.
方法: 教室は専門医が2年間赴任し, その間2回開催した. 2回目の教室参加人数は家族や付き添いを含めて31人. まず教室終了直後にアンケート調査を行い, 28人から回答を得た. そして教室開催前, 開催期間中, 開催終了1年後に, 不安状態を抽出できる State-Trait Anxiety Inventory (以下STAIと略す), うつ状態を抽出できる Self-rating Depression Scale (以下SDSと略す), また自己効力感の尺度である一般性セルフエフィカシー (General Self-Efficacy Scale; 以下GSESと略す) の3種類の尺度を用い, 教室参加者に施行した. 追跡し得た患者は24人 (男性9人, 女性15人), 平均年齢72.7±1.3歳, 疾患は慢性閉塞性肺疾患13人, 間質性肺疾患5人, 気管支喘息を含むアレルギー性肺疾患6人であった.
結果: 教室終了直後のアンケート結果は,「勉強になった」25人(89%),「楽しかった」19人 (68%),「難しかった」0人 (0%),「つまらなかった」0人 (0%),「どれでもない」0人 (0%) (複数回答), そして「次回の開催を希望する」, との意見は26人 (93%) (2人は無回答) であった. STAIは教室開催前39.2±2.5, 開催期間中40.0±2.5, 開催終了1年後39.4±2.7, SDSはそれぞれ37.6±2.2, 37.0±2.0, 38.0±2.0と, 明らかな変化を認めなかったが, GSESはそれぞれ7.4±0.7, 8.0±0.8, 8.6±0.8と, 開催前と比べ開催期間中に有意に (p<0.05) 上昇し, 開催終了1年後も維持されていた.
結論:教室開催は慢性呼吸器疾患患者に有益な効果をもたらす可能性が示唆された.
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