背景:本邦で進行非小細胞肺癌に対して免疫チェックポイント阻害剤が承認されてから2年以上が経過したが,高齢者における免疫チェックポイント阻害剤の有効性や安全性については十分な見解が得られていない.また,高齢者に対して化学療法を行う際には,生活機能の低下に注意を払いながら治療を選択,継続,あるいは中断することが重要である.症例:85歳,男性.X-1年6月にCTで左肺尖部に楔状影を認め,気管支鏡検査を複数回施行したが,悪性所見は認めなかった.X年5月のCTで左肺尖部の陰影の増大を認めたため,再度気管支鏡検査を施行し,左上葉肺癌(cT3N2M1a, stage IVA, squamous cell carcinoma, PS1)と診断した.PD-L1発現検査で強陽性であったことから,1次治療としてペムブロリズマブを選択して投薬を行い,生活機能を維持しながら腫瘍の縮小を得ることが可能であった.結論:肺扁平上皮癌の高齢者に対して詳細な高齢者総合機能評価を施行しながらペムブロリズマブを投薬し,生活機能を維持しながら治療を継続することが可能であった1例を経験した.
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