日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
7 巻, 6 号
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  • 佐々木 陽, 横内 峻, 堀内 成人, 大森 清彦
    1970 年 7 巻 6 号 p. 323-332
    発行日: 1970/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    人間ドックなどにおける多種目の検査による健康診断成績の評価の方法の一つとして“期待年令”(いわゆる“生物学的年令”) を利用することを試みた.
    対象として大阪府立成人病センター人間ドック入院者中から, 各種検査において明らかな異常を認めない男子425名を用いた. まず約90種類の検査項目のうちから24項目を選んで年令に対する偏相関係数を求め, その結果からさらに10項目を選定し, 次のような年令に対する重回帰式を得た.
    期待年令=74.140+0.108〔最大血圧〕-0.266〔一秒率〕+0.158〔クンケル反応〕+0.032〔コレステロール〕+0.040〔GTT 2h〕-0.83〔GFR〕-0.034〔RBC〕-0.261〔網状赤血数〕+6.234〔Scheie As〕+0.244〔聴力損失〕
    正常群159例についてこの回帰式によって期待年令を求めると, その平均は56.57才となり, 実年令との差の分散は21.35となった. しかし個々の症例については, かなり差の大きいものもみられた.
    次に肝障害, 糖尿病, 冠硬化, 高血圧などの症例について, この計算式で期待年令を求めると, 実年令より5~8才高くなり, とくに合併症を伴う高血圧でその差は約10才に達し, 疾患を期待年令という形で表現することができた.
    最後に糖尿病, 肝障害, 高コレステロール血症, 高血圧の模擬的症例を設定し, 期待年令式の個人における診断能力について検討した. その結果, 検査所見の軽度の変化でも期待年令にきわめて鋭敏に反映されることが認められた.
  • Chondroitin Sulfates 短期投与による抗凝固作用についての検討
    中沢 浩二
    1970 年 7 巻 6 号 p. 333-341
    発行日: 1970/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Chondroitin sulfates (CS) の抗動脈硬化症の作用としてその創傷治癒作用, 抗脂血作用, 抗凝固作用が検討されているが, 今回はおもにCSの抗凝固作用について prothrombin 時間, thrombelastograph により研索し, 合わせてCSの1回静注による冠動脈硬化に及ぼす影響を検討した.
    In vitro でヒト血漿にCSを添加した場合および in vivo でウサギに静注した場合, いずれも prothrombin 時間の延長をみた. CS異性体間における prothrombin 時間の検討ではCS-CがCS-Aに比し1%以上の濃度で有意に (p<0.05) 延長した. 分子量の差では高分子のCS-Cは低分子に比し prothrombin 時間を延長させた. CS異性体を血液に添加することにより thrombelastogram 上r, Kの延長, およびma, mεの減少がみとめられた. ウサギにCSを投与した場合, 投与後30分から2時間の採血血液でr, kの延長ならびにma, mεの減少は最大を示し, その効果は投与後24時間においてもみとめられた. 硫酸基の多い chondroitin polysulfate (CPS) はCS異性体をはるかにうわまわる抗凝固作用を示し, その抗凝固作用はCPS>CS-B>CS-C>CS-Aの順であった. 心電図上ST, T降下をみとめた動脈硬化症患者32名にCSを一回静注したところ, 静注後15分よりSTの改善がみとめられ, その効果は12時間まで持続した.
  • 折茂 肇, 藤田 拓男, 吉川 政己
    1970 年 7 巻 6 号 p. 342-350
    発行日: 1970/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Estrogen の骨粗鬆症に対する予防効果を検討するためにラットにおいて右下肢をギプス固定することにより実験的 immobilization osteoporosis を作成し同時に結合型 estrogen を投与し大腿骨X線像, 骨皮質幅, 骨内Ca含量および脛骨内 collagen 含量の測定を行った. 実験は生後6週後および生後6ヵ月の Wistar 系雌ラットを用い生後6ヵ月の群ではさらに卵巣摘除の影響についても検討を行った. まず生後6週のラットにおいては4週間の右足ギプス固定により右大腿骨密度, 骨皮質幅, Ca含量および右脛骨内 collagne 含量の著明な減少が認められたが, これらの減少は結合型 estrogen の同時投与により有意に抑制された. 次に生後6ヵ月のラットにおいては8週間の右足ギプス固定によるも右大腿骨および脛骨には対照群のそれと有意の変化が認められなかった. しかし卵巣摘除を行うと同期間のギプス固定により大腿骨密度, 骨皮質幅, Ca含量, 脛骨内 collagen 含量は対照群に比して有意に減少しさらに又 estrogen の防止効果も有意に認められた. 以上の事実は外因性 estrogen がラットにおける immobilization osteoporosis を防止する作用のあること, さらにまた内因性 estrogen が immobilization osteoporosis の発生を防止している可能性を示すものである.
  • 吉岡 照樹
    1970 年 7 巻 6 号 p. 351-364
    発行日: 1970/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    本研究は臓器組織の老性変化の研究の一環として, 実験動物における筋組織の老化を中心としたものである. すなわち, 3ヵ月, 6ヵ月, 12ヵ月, 24ヵ月の各年令層の Wistar 系および Donryu 系白鼠の前脛骨筋, 大腰筋について, Sudan Black-B 染色を施して, 赤, 白両筋線維を区別し, それぞれ線維径と線維数を, 老性変化を中心として比較検討するとともに, 大動脈壁の平滑筋線維の大きさ, 数についても比較検討した. 白鼠の骨格筋は24ヵ月の老令群に重量, 容積の減少を強くみとめ, この老性萎縮は体重の減少度をはるかに凌駕する. この骨格筋の老性萎縮は, 筋線維の萎縮と減数によるもので, 赤筋線維では, 筋線維の萎縮を認めずして顕著な減数を, 白筋線維では, 減数を認めずして顕著な萎縮をみた. 一方, 大動脈壁の平滑筋組織は, 老白鼠でも特に萎縮が認められず, むしろ筋線維の肥大の傾向さえ認め, 筋線維の減数もみることは出来なかった. このような筋組織における老性変化の様相の差を, その形態, 機能の面から種々考察した.
  • 1970 年 7 巻 6 号 p. 364
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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