実験動物として生後4ヵ月 Wistar 系雄ラットを用いオリエンタル固形飼料または3%高コレステロール食と水道水で飼育した.
Na-Sulfacetylthiazole (SAT) 0.5g/kgをラットに腹腔内注射すると, 大動脈内弾性板および中膜の壊死・石灰化, 心筋炎および間質性腎炎が生じ, 大動脈・心・腎内カルシウム (Ca) 含量は増加した.
In vivo における臓器の24時間内
45Ca摂取はSAT前処置により大動脈・心・腎で増加した. 血清Caは低下ないし正常範囲にあり, 血清
45Ca, 血清 specific activity および血清総 cholesterol はSAT投与により増加した.
i) thyrocalcitonin の影響: 16% gelatin に溶解した thyrocalcitonin 200MRC mU/ラットをSAT投与1週間前から実験終了当日まで連日皮下注射したラットでは, SATによる心内Ca含量の増加は防止されたが, 大動脈・心・腎の病変や各臓器の24時間内
45Ca摂取の増加は防止されなかった. 血清Caは thyrocalcitonin 投与により低下し, 血清 specific activity は増加した.
ii) 高 cholesterol 食飼育の影響: SAT投与前4週間高 cholesterol 食で飼育したラットでは, SAT投与による大動脈・心の病変とCa代謝異常は防止されたが, 腎のみは著明な間質性腎炎, 腎内Ca含量の増加および24時間内
45Ca摂取の増加を示した. 血清総 cholesterol は高 cholestrol 食飼育により増加した.
iii) 結合型 estrogen の影響: Premarin (結合型 estrogen) 100
r/100g体重をSAT処置2週間前から実験終了当日まで連日皮下注射したラットでは, SATによる各臓器の病変やCa代謝異常は防止されず, Premarinのみを投与したラットの心・腎の24時間内
45Ca摂取, 血清
45Caおよび血清 specific activity は無処置のものに比して増加した.
iv) 高 cholesterol 食および結合型 estrogen 投与の影響: 高 cholesterol 食飼育 (SAT投与前4週間) とPremarin 100
r/100g体重の注射 (SAT投与前2週間) を実験終了当日まで受けたラットでは, SATによる大動脈・心の病変とCa代謝異常は防止されたが, 腎のみは間質性腎炎, 腎内Ca含量の増加および24時間内
45Ca摂取の増加を示した. 血清総コレステロール値は高コレステロール食および Premarin 投与で増加した.
抄録全体を表示