損害保険研究
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78 巻 , 3 号
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<論文>
  • 鴻上 喜芳
    2016 年 78 巻 3 号 p. 1-25
    発行日: 2016/11/25
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

     生産物賠償責任保険ビジネスリスク免責の適用が争われた事例の判決が平成26年に出されており,これに関する判例研究がある。本稿では,この事例を手がかりに日米における性能・品質関連ビジネスリスク免責のあり方を考察する。結論として,米国の課題は,修復可能か否かの判断基準が約款において示されていないことであるが,その対応策は簡単ではない。日本の課題は,生産物賠償責任保険も,米国約款ならびに外資系損保が日本で販売する英文約款同様に,財物の使用不能損害を補償対象に追加すべきであり,そのうえで,ビジネスリスクに当たる減損財物および非損傷財物の使用不能損害を免責とすべく,減損財物免責に相当する免責条項を生産物特別約款に盛り込むべきである。また,日本では保険法対応約款改訂後の新約款で完成品の財物損壊および使用不能損害を全面的に免責としているが,ビジネスリスク免責としては行き過ぎであり,減損財物免責に相当する免責範囲に縮小すべきである。さらに身体障害にも適用される効能不発揮免責は各社で免責範囲が異なるが,これも妥当な範囲に縮小すべきであり,かつ統一が望まれる。

  • 山本 裕子
    2016 年 78 巻 3 号 p. 27-53
    発行日: 2016/11/25
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

     2016(平成28)年4月に施行された改正景品表示法では,不当表示の抑止と消費者被害の救済という観点から,課徴金制度とともに自主返金による課徴金の減額という他の法律に類を見ない制度が導入された。本稿では,この改正景品表示法について概観するとともに,同法の改正が保険業に与える影響について考察する。事業者(保険会社)としては,納付すべき課徴金の額を減額される可能性のある自主申告や返金制度を利用しないことによって,株主代表訴訟リスクが高まることに加えて,返金措置の実施にあたっては,保険契約者間の公平の確保や当該措置が財務状態に与える影響等について,慎重に検討する必要がある。

  • 嘉村 雄司
    2016 年 78 巻 3 号 p. 55-80
    発行日: 2016/11/25
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

     わが国の学説では,保険とクレジット・デリバティブの法的区別を,損害てん補の目的の有無という基準を用いて説明する考え方が支配的見解である。この点,アメリカにおいても,同様の考え方に基づき,保険とクレジット・デリバティブが区別されてきた。しかし,近時は,その考え方を再構築する試みが始まっており,その妥当範囲の限界が指摘されるに至っている。このようなアメリカの議論は,わが国の支配的見解を再検討するにあたって参考になると思われる。

     もっとも,従来のわが国の学説では,アメリカの議論が参照されることがほとんどなく,未だ十分に認識されていないのが現状である。このような中,近時のアメリカの議論を参考にするためには,その基礎的理解が欠かせないと思われる。そこで,本稿は,近時のアメリカの議論をわが国の解釈論の参考にするための基礎的作業の一環として,それ以前のアメリカの議論を検討することとしたい。

     本稿の前半では,わが国の議論状況を概説した上で,上記の支配的見解の基礎となったPotts意見書,および,ニューヨーク州保険法上の議論を検討する。

  • 山本 啓太
    2016 年 78 巻 3 号 p. 81-109
    発行日: 2016/11/25
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

     平成26年の保険業法改正によって意向把握義務及び乗合代理店等に対する推奨販売ルールが導入された。これは来店型保険ショップ等の増加といった保険募集チャネルの多様化や大型化など,保険募集を巡る環境の変化に対応できるようにするための見直しとのことである。確かに,適合性原則の具体化を論ずる中で導入された意向確認書面はその本来の機能を果たしておらず,また,来店型の大規模乗合代理店の中には,「公平・中立」を標榜しながら,実際には手数料の高い商品を顧客に勧めるという現状は改善の必要がある。この点,今回導入された意向把握義務及び推奨販売ルールは,いずれも顧客の意向に焦点を当てたものであるが,そこでいう意向,言い換えれば,顧客のニーズがどのようなものをいうのかについて,十分な議論がなされていないように思われる。

     保険業法上,「意向」という用語は,意向確認書面において初めて使われたものであるので,まずは意向確認書面導入時に「意向」というものがどのように議論されていたのか,意向確認書面において確認すべき「意向」と意向把握義務において把握すべき「意向」が同一でよいのか,更に,意向把握義務でいう「意向」と推奨販売ルールにおける「顧客の意向に沿った商品選別・推奨」でいうところの「意向」との関係はどのように整理されるべきなのか,について分析することとしたい。

     最後に,施行されたばかりではあるものの,意向把握・確認義務及び推奨販売ルールの再整理の方向性についても考えてみることとしたい。

  • 上田 昌嗣
    2016 年 78 巻 3 号 p. 111-133
    発行日: 2016/11/25
    公開日: 2019/04/09
    ジャーナル フリー

     請求権代位における請求権保全義務違反について,その主観的要件に関する通説的見解は,請求権を故意に放棄した場合に請求権保全義務違反とする説である。一方,損害保険における実務においては,必ずしも主観的要件を考慮していない可能性があると考えられ,学説との乖離があるのではないか,との疑問がある。また近年,請求権代位の根拠に関しても,従来考えられていた根拠に疑問を呈する議論も多くみられるようになり,請求権代位制度そのものについても再考を促されていると思われる。

     以上のような前提において,請求権保全義務違反そのものも変容を迫られていると考え,通説的見解や損害保険における実務での考え方を克服するような,新たな考え方を検討した。また,かかる議論において,実際にどのように適用されるかが重要であり,具体例での適用における帰結についても合わせて検討を行った。

<講演録>
<損害保険判例研究>
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