損害保険研究
Online ISSN : 2434-060X
Print ISSN : 0287-6337
83 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
<研究ノート>
  • 大島 道雄
    2021 年 83 巻 3 号 p. 1-54
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2023/03/13
    ジャーナル フリー

    損害保険の通信販売(以降ダイレクト販売とする)が認可され四半世紀が経過した。認可当時は保険の自由化・規制緩和の動きの最中であり,ダイレクト販売は保険料の低廉化や販売方法の多様化をもたらすものとして大いに歓迎された。また,自動車保険ダイレクト販売開始当初はかなりのシェアをダイレクト社が占めるのではないかとも予想されていた。しかし,ダイレクト社の自動車保険のシェアは2019年度末保険料ベースで8%を超える程度であること等から,ダイレクト事業は積極的に評価されているとは言い難い現状である。また関連論文も極めて限られている。筆者はこのような現状に対し,ダイレクト社の業績を詳細に分析しダイレクト事業の現時点での評価を行った。その結果,ダイレクト社は一貫して収入保険料およびマーケットシェアを拡大させ,件数ベースでは対象市場の15%を超えるシェアを獲得しており,また既に3メガ損保を凌駕するほどの引受成績を達成している企業が出現していることが判明したこと等から,既にダイレクト事業は確固としたビジネスモデルを築き上げていることを確認した。さらに,損害保険事業を取り巻く環境が大きく変化(例えばCASE問題など)する中,これらの動きが損害保険事業に与える影響を考察し,現在損害保険市場は変革期にあり,この新たな状況はダイレクト系損保にも,従来には見られなかったマーケットをめぐる多面的な活動を展開するチャンスとなり得ることを明らかにした。 なお,損害保険市場を個人市場と企業市場に区分する必要性については,ダイレクト事業を考察する場合に避けて通れない問題であり,本稿で提案を行った。

  • 浅井 弘章
    2021 年 83 巻 3 号 p. 55-78
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2023/03/13
    ジャーナル フリー

    令和4年4月1日に,令和2年改正個人情報保護法が全面施行される。令和2年改正個人情報保護法では,不適正な方法による個人情報の利用の禁止に係る規定や個人関連情報の取扱いに係る規定が設けられるほか,外国にある第三者に対する提供に関する規律の内容が厳格化されるとともに,保有個人データ等の開示の方法を本人が指定することを認めており,こうした法規制の施行に伴い,損害保険会社の業務に少なからぬ影響が生ずる可能性があると考えられる。そこで,本稿では,令和2年改正個人情報保護法における上記の各規制の概要を説明した上で,損害保険会社の業務に与える影響について検討・分析する。

  • ―貨物海上保険実務からの考察―
    新谷 哲之介
    2021 年 83 巻 3 号 p. 79-99
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2023/03/13
    ジャーナル フリー

    保険証券の有価証券としての当否については,1世紀近くにわたる議論の経緯がある。保険証券が有価証券性を有すると主張する立場は,貨物海上保険証券の船荷証券への随伴性を前提とするものであるが,実際に今日においても貨物海上保険証券は,船荷証券とセットとして国際売買において関係者間で譲渡され,両証券は同一の流通過程を辿る。ときに,2021年4月から有価証券のデジタル化に対応するための法整備について研究が行われており,船荷証券がその研究対象となっている。折しも流通を前提とした貨物海上保険証券のデジタル化も黎明期にあり,もし貨物海上保険証券が有価証券性を有するならば,現在研究されている船荷証券のデジタル化に関する規整のあり方は,貨物海上保険証券のデジタル化においても役に立つ可能性がある。こうした事情により,貨物海上保険証券の有価証券性について,最新の実務に基づき改めて考察を行う。

<講演録>
<損害保険判例研究>
<事例研究>
  • 浅井 義裕, 石井 昌宏
    2021 年 83 巻 3 号 p. 171-201
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2023/03/13
    ジャーナル フリー

    「なぜ企業がリスクマネジメントを行うのか?」,「どういった企業がリスクマネジメントを行う傾向があるのか?」などについて,研究も進み,明らかになってきていることも多い。しかし,各社の企業のリスクマネジメントの実態などについては,明らかになっていないことが多い。そこで,本稿では,学術的な分析の結果を踏まえながら,INPEX社の事例に注目し,同社が直面しているリスクの特性に合わせながら,キャプティブと保険を組み合わせたリスクマネジメントを選択している実態を紹介している。

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