昭和27年頃,幅島県石川地方の南西部の石川郡石川町猫啼鉱泉の裏にある井筒山のペグマタイト中より多量にフェルグソン石を産することが知られ,筆者も多数の標本を入手し形態的研究を行つていたところ,フェルグソン石およびこれに伴うサマルスキー石,モナズ石,ジルコン,ゼノタイム,チタン鉄鉱等に混じユークセン石またはポリクレース石と思われる鉱物を見出した。越えて昭和29年6月,.大森啓一教授指導のもとに日本鉱物学会の探集会が石川地方で行われ,筆者もこれに参加して猫啼を訪づれた際,同地より多数のユークセン石一ポリクレース石系の鉱物を採集した。この鉱物はペグマタイト中,石英および長石中に埋沒して産し,フェルグソン石,サマルスキー石が殆んど常に鉄雲母またはチタン鉄鉱と石英または長石の境目にあつて石英または長石中に埋没しているのに比し,必すしも鉄雲母に直接せす,むしろ煙灰色石英および白色粗鬆の斜長石中にあり特に両者の境目附近に見出されることが多く,ジルコン,モナズ石,ざくろ石等がこれに伴つている。しかし一方鉄雲母に附着しているもの,肉色のカリ長石中に存するもの等も見出されている。
抄録全体を表示