マウス腹腔内にadenosine200mg/kgを投与すると,肝PRPP含量は,投与後30分をピークとする一過性の上昇を示した. 一方,脾臓,心臓及び赤血球PRPP含量は,投与直後から著明な減少を示した. しかしながら,赤血球PRPP含量は,投与4時間以降に著明な上昇を示し,脾臓においても程度は弱いが同様の上昇を示した. また同時に,血漿Pi含量の著明な減少,赤血球Pi含量の一過性の減少を認めた.
また,in vitroの実験系で,生理的濃度である3mMのPi存在下,purine nucleosidesは,ラット赤血球free及びavailablePRPPを,またニワトリ赤血球freePRPPを減少させたが,逆にニワトリ赤血球available PRPPを著明に増加させた. 一方,マウス脾臓リンパ球においては,purinenucleosidesの中で,adenosineのみがfree及びavailable PRPPを減少させた. Bt
2cGMPは,リソパ球availablePRPPを増加させたが,この作用はBt
2cAMP及びadenosineにより完全に拮抗された. なおBt
2cAMP自身は,available PRPPに対し無影響であった. 1mMのCa
++存在下,ACh(10-7M)もまたBt
2cGMPと同様available PRPPを増加させたが,この作用はBt
2cAMPの添加により完全に拮抗された.
以上の実験結果より,増殖抑制効果,致死効果などのadenosineのリンパ球に対する毒性,さらには,adenosine deaminas欠損を伴う免疫不全症の原因の一つとして,PRPP合成の減少が関与している可能性が示唆された.
抄録全体を表示