オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症でピリミジンの合成系が亢進していることを利用して,保因者(患者)診断のためのアロプリノール負荷テストが提唱されている.コーカシアンについてテストの判定基準とテストの有効性が既に報告されているが,日本人についての報告はほとんどない.患者の診断の目的で,日本人のOTC欠損症1例と原因不明の高アンモニア血症1例について,アロプリノール負荷テストを行った.OTC欠損症では尿中オロチジンとオロット酸が著明に増加したのに対し,高アンモニア血症では著名な増加は認められず,OTC欠損症以外の原因による高アンモニア血症と推測された.また,保因者診断の目的で,日本人OTC欠損症5家系(男性8名,女性10名)にもアロプリノール負荷テストを行った.患者の母親4名と伯母1名でオロチジンとオロット酸が著明に増加し,保因者であることが疑われた.日本人のOTC欠損症の保因者診断に,アロプリノール負荷テストが有効であることを示唆した結果であり,さらに検討を加える予定である.また,ウラシルについても分析した結果,オロチジン・オロット酸の増加の程度に関わらず,負荷後にウラシルは増加傾向を示した.
抄録全体を表示