痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
43 巻, 2 号
痛風と尿酸・核酸
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
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総説 1
  • 森脇 優司
    2019 年 43 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

    アルコールはアセトアルデヒドを経て,酢酸からアセチルCoAへと代謝されるが,その際ATP の過剰消費が起こり,アデニンヌクレオチドの分解が亢進して,尿酸が上昇すると考えられている.またNADの消費によって解糖系が抑制される結果,ATP の産生障害が起こることもその一因となることが示唆されている.一方,アルコールの消費によってNADH が産生され,乳酸からピルビン酸への酸化が抑制される結果,蓄積した乳酸が,近位尿細管管腔側に発現している尿酸トランスポーター(URAT1)を介して排泄される際に,尿酸の吸収が起こり,尿酸値は上昇する.さらにビールに多く含まれるプリン体も尿酸上昇の一因となる.

    アルコール摂取量の増加に伴って高尿酸血症の頻度は増加する.20歳以上の男女1万5000人を対象とした米国国民健康栄養調査研究や,本邦での6年間の前向き研究によると,アルコールの消費量と血清尿酸値との間には相関が認められる.また同じアルコール量ではビールの摂取が尿酸値に対する影響が最も強いことが明らかにされているが,ワインはビールや蒸留酒と比べて血清尿酸値への関与は低いようである.この原因としてワインに多く含まれるポリフェノールによるキサンチンオキシダーゼの抑制作用,尿酸排泄促進作用などが推定される.しかしアルコール飲料はプリン体の有無にかかわらず,それ自体の代謝に関連して血清尿酸値を上昇させる.

総説 2
  • Satoru Kuriyama, Takashi Wada, Tatsuo Hosoya
    2019 年 43 巻 2 号 p. 135-146
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

    Epidemiological evidence suggests a close link between hyperuricemia and the high prevalence of hypertension and chronic kidney disease (CKD), suggesting that uric acid (UA) can be a precipitating factor for the progression of renal diseases. Clinical studies to investigate whether the UA-lowering therapy is renal protective appears to be of importance to prove this causal relationship. A recent meta- analysis revealed that UA-lowering therapies with the two forerunner xanthine oxidoreductase (XOR) inhibitors, allopurinol and febuxostat, may be beneficial for the progression of hypertension and CKD. In comparison, basic and clinical information of the renal benefit with a novel non-purine selective XOR inhibitor, topiroxostat (TPX), has not been fully investigated.

    This review specifically highlights the currently available evidence on TPX that has been proven as efficacious as the other two formerly available XOR inhibitors in lowering serum UA levels as well as reducing urinary albumin excretion in patients with hyperuricemia or gout.

原著 1
  • 片岡 浩, 冨田 智子, 近藤 真, 向井 正也
    2019 年 43 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

    目 的:痛風の診断および治療効果判定を目的とした関節エコーの有用性は確立しているが,患者背景や臨床所見との関連の有無についてはさらなるデータの蓄積が必要である.そこで,当科通院中の高尿酸血症・痛風患者における,痛風発作時のエコー所見と各種臨床的パラメタとの関連があるかどうか検索した.

    方 法:当科通院中の痛風,高尿酸血症患者を病名ベースで電子カルテ上にて検索し,各患者の病歴,血清尿酸値の推移,腎機能,尿酸排泄マーカー,尿酸降下剤使用状況,関節エコー所見を調べ, 関連性を検討した.

    結 果:抽出された高尿酸血症・痛風患者は女性15名,男性57名の計72名で,このうち,急性の少関節炎を呈し,他の原因による関節炎が否定的と考えられ,痛風発作と判断した患者で,発作時の関節エコー所見が得られている症例は28名であった.そのうちdouble contour sign(DCS)は23名に認められ(DCS群),5名ではhyperechoic aggregate(HAG)は認められたもののDCSは認められなかった(非DCS群).2群間で,高尿酸血症・痛風を指摘されてから痛風発作を生じ, 当科を受診するまでの経過年数,過去の発作歴,初診時尿酸値と尿酸排泄率(FEUA),BMI,eGFR を比較したところ,非DCS群と比較し,DCS群において有意に高尿酸血症経過年数が長かった (DCS群; 5.9年, 非DCS群; 1.8年, p=0.0103).また,DCS群では,痛風発作歴のある患者が多く,その他のパラメタについては二群に有意差は認められなかった.HAG所見の有無と臨床所見との間には明らかな関連は認められず,関節への尿酸結晶の沈着としてはDCSもHAGも同義であるが,痛風患者におけるこれらのエコー所見の成立過程においては臨床的に異なるものと考えられた.

    結 論:痛風発作発症時には,MSU結晶沈着によるDCS,HAGのどちらか,あるいは両方の関節エコー上の異常所見が認められた.DCSの出現には,ある程度高尿酸血症の経過年数が必要と考えられた.

原著 2
  • 石山 裕子, 皆越 奈津子, 島本 良美, 西山 真純, 嶋田 英敬
    2019 年 43 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2019/12/20
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

    平成28年4月14日,16日熊本市は2度の大きな地震に襲われた.そのときの痛風・高尿酸血症患者の受療状況や生活・服薬状況の変化について患者アンケートを行い,災害がこれらの患者に与える影響を調査したので報告する.

    本震後,約2週間に来院した痛風・高尿酸血症患者225名のうち,血液生化学検査が可能だった141名のデータを集計した.結果70%の患者が尿酸値6mg/dl以下を維持できていた.

    そのうち無作為に抽出した70名に対しアンケート調査をおこなった.食事に関しては備蓄や店舗での購入により食糧自体は確保できていたが,支援物資や非常食にはパン・おにぎり・弁当等の炭水化物が非常に多く,その反面野菜・肉・魚などの生鮮食品の摂取が少なくなっていた様子が伺えた.

    また食生活がインスタント食品や炭水化物に偏ることで,体重増加につながったケースが多々見られ(通称“震災太り”),炭水化物の過剰摂取による体重増加に注意を促す必要があると考えられた.また水分摂取量は約70%の人が変動なしと回答があり,断水状態にあったことや気温が高い日もあったことから水分摂取量の減少を自覚できていなかった可能性もあるため,水分摂取量の確認と意識付けが必要である.

第52回日本痛風・核酸代謝学会記録
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