痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
43 巻, 1 号
痛風と尿酸・核酸
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総説
  • 金子 希代子, 福内 友子, 髙栁 ふくえ, 山岡 法子
    2019 年 43 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2019/07/25
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー

    プリン環を持つ化合物を総称してプリン体と呼ぶ.プリン体には,4種類の塩基,そのヌクレオシド,さらにリン酸の結合したヌクレオチド,それらが重合した核酸とさまざまな種類がある.食品や調理によりその含有率が異なる.またプリン体の種類によって血清尿酸値に与える影響も異なる.プリン体は,生きている細胞では主に核酸やATP等として,食品中では核酸や旨味成分として含まれている.

    筆者らは,機器分析(主に高速液体クロマトグラフィー)を用いて,食品や飲料中,また細胞や血清中のプリン体の測定を行っている.本稿では,これらプリン体の分析方法を紹介するとともに,プリン体の種類と含有率,尿酸値への影響をまとめ,尿酸値を上げやすいプリン体から,食事療法への応用をまとめた.

原著 1
  • 此下 忠志, 古谷 真知, 佐藤 さつき, 銭丸 康夫, 藤井 美紀, 牧野 耕和
    2019 年 43 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2019/07/25
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー
    高尿酸血症は動脈硬化性疾患としての心腎血管病の発症リスクと考えられている.その機序として,かねてよりレニン−アンジオテンシン系(RA系)活性化の可能性が指摘されている.RA系が動脈硬化性病態形成に関与することはよく知られている.しかし尿酸がRA系を活性化するという根拠は未だ十分とは言えない.一方,血漿レニン活性値(PRA)は遺伝因子や環境因子により規定されていることが示されている.そこで,各種の交絡因子の影響を最小限で評価可能であるメンデルランダム化法の概念を用い,遺伝的に尿酸値を規定する可能性が想定されるSLC2A9(GLUT9)遺伝子多型により,PRAに差異が生じるという作業仮説を検証した.対象は各種生活習慣病のため当院を受診した連続804症例である.末梢白血球よりDNAを抽出し,リアルタイムPCRシステムを用い,痛風の発症に関わることが知られているSLC2A9(GLUT9)遺伝子多型,rs1014290を判定し,PRA値の高値群(0.70 ng/ml/hr. 以上,410例)と低値群(0.70 ng/ml/hr. 未満,394例)の2群との相関を解析した.血清尿酸値(mg/dl)は以下:CC(127例)5.04±1.45, CT(392例)5.08±1.49, TT(286例)5.44±1.45(CC vs CT, p=0.77; CC vs TT,p=0.011; CT vs TT, p=0.002).すなわちTアレルホモ接合体で血清尿酸値が有意に高値であることが判明した.一方,SLC2A9(GLUT9)遺伝子型とPRAの高低による2群との間に有意な関連を認め,PRA高値となるオッズ比はTアレル保有者がCアレル保有者に対して1.24(95%信頼区間 1.02-1.52,p=0.033)であった.Armitageのトレンドテストでも有意であった(p=0.032).SLC2A9(GLUT9)のrs1014290多型により血清尿酸値はある程度規定されており,その尿酸値の高い遺伝的体質の群でPRAが高値となることが確認された.以上のとおりメンデルランダム化法の概念に則った解析により,高尿酸血症が循環系のレニン−アンジオテンシン系を活性化することが示唆された.
原著 2
  • 大岩 加奈, 山内 高弘, 井上 仁, 岩崎 博道, 上田 幹夫, 浦崎 芳正, 大竹 茂樹, 奥村 廣和, 折笠 秀樹, 神谷 健一, 河 ...
    2019 年 43 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2019/07/25
    公開日: 2019/07/25
    ジャーナル フリー
    がん化学療法では多くの新規薬剤が開発され治療成績は向上してきた.しかし抗腫瘍効果が強化されることで腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome, TLS)の発症リスクは上昇し,TLS病態の中心である高尿酸血症,腎機能障害を生じる危険性は増加していると推測される.本邦では2013年にTLS診療ガイダンスが発刊され,さらにTLSにおける高尿酸血症に対していくつかの新規尿酸降下薬が導入されているが,TLS発症リスク,尿酸降下薬の選択,投与量などの点から日常診療におけるTLSのマネジメントはいまだ至適化されていない.そこで,北陸造血器腫瘍研究会に参加している富山,石川,福井3県の血液および腫瘍専門医55名を対象にアンケートを行い,がん化学療法におけるTLSマネジメントおよびTLSに伴う急性尿酸性腎症の現状を調査した.アンケートの回答を得た38名(69%)が担当した患者612例のうち,13例でTLSを発症した.そのうち急性尿酸性腎症を発症した症例は6例で,うち3例はTLS低リスクに分類される疾患で新規抗がん薬が使用されていた.また67.5%の医師が,TLS低リスク疾患に対しても予防的に尿酸降下療法を行うと回答しており,TLSの発症予測が困難となっていることに起因していると考えられた.新規抗がん薬が使用可能となり,疾患ごとによるリスク分類だけでなく,治療内容を考慮した新たなリスク分類を検討する必要があると考えられた.
第52回日本痛風・核酸代謝学会記録
一般演題:口演
一般演題:ポスター
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