高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは60分法クリアランス検査によって病型分類を行うことが推奨されているが,現行の判定法では尿酸の排泄能力が低下していなくても尿酸排泄低下型と判定されてしまう場合が存在する.痛風患者を対象に実施した2,272例のクリアランス検査結果を検討したところ,尿酸の排泄能力が低下していないのに尿酸排泄低下型に判定されるケースが22例存在した.このようなケースを尿酸排泄低下型と判定すべきでなく,尿酸排泄低下型の判定は,尿中尿酸排泄量0.51 mg/kg/時以下,および,尿酸クリアランス7.3 mL/分/1.73 m2未満で行うべきと考えられた.22例を正常型として病型分類を行うと,尿酸排泄低下型1,684例(74.1 %),腎負荷型309例(13.6 %),混合型224例(9.9 %),正常型55例(2.4 %)となり,約40年前に検討されたガイドラインに記載されている病型分類と比較すると,尿酸排泄低下型が14.1 %高率で,混合型が15.1 %低率となった.厚生労働省の調査によると1975年に比べて2019年には日本人男性の体重が約10 kg増加している.体重増加によって尿酸産生量の指標である単位重量あたりの尿中尿酸排泄量が低く算出されて尿酸産生要因が減少した結果,尿酸排泄低下型の頻度が増加したものと推察された.今後,現在の日本人の体格を考慮した病型分類基準の改定を行う必要があると思われた.
抄録全体を表示