日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
28 巻, 12 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • (第4報) 加硫ゴムの空気中加熱と炭酸ガス中加熱の比較
    森田 栄一
    1955 年 28 巻 12 号 p. 799-805
    発行日: 1955/12/15
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    MBT促進加硫ゴムをCO2中及び空気 (又は酸素) 中において70-80℃で1-2週間加熱した場合に起る各種硫黄及び架橋度の変化を比較検討した結果、酸素の有無によつてこれらの硫黄値に関して次のような異つた変化が認められた。
    1. 酸素の存在によつて遊離硫黄の減少は遲れた。
    2. ギーア老化の際遊離硫黄の多いゴムの全硫黄値が減少した。
    3. サルファイド型硫黄は空気中加熱で減少し、CO2中では増加した。
    4. Sαの加熱による変化は加熱前の加硫の程度及び加熱条件によつて相違した。
    5. Sα→Sβ*の転移はCO2中加熱によつて起り易いが、空気中加熱では緩慢であつた。
    以上の諸性質に基き、実際の老化の不均一性はゴムと酸素及びゴムと硫黄の両反応の不均一性に基因すると考えられる。更にこれらの硫黄値を利用した例を述べた。
  • 山路 功
    1955 年 28 巻 12 号 p. 805-809
    発行日: 1955/12/15
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    加硫ゴム中の遊離イオウおよび全イオウの定量は、加硫ゴムの加硫状態を判定する手段として重要な分析である。その分析方法としては、イオウを酸化して硫酸根の形にした後定量する方法と、還元して硫化水素としてから何らかの手段でそれを定量する方法とがおもなものである。従来、わが国の工業規格では前者の酸化法により硫酸根とした後、硫酸バリウムとして重量分析する方法がとられている。しかし塩化バリウム溶液による硫酸バリウムの沈デンは周知のごとく、その完全沈デンにかなりの時間を要するので、従来から多くの研究者によつて容量法により迅速化する研究が行われている。還元法では沃度滴定が比較的容易に応用されるが、酸化法では塩化バリウム溶液による硫酸根の沈デン反応を滴定に応用することはそれほど容易ではない。それらの例としては、過剰の塩化バリウム溶液を加え、ロジソン酸ナトリウムのような特殊な指示薬を用いて硫酸ナトリウム規定液で逆滴定する方法、1) ベンジジンを用いて硫酸根を沈デンさせ、その複塩を水酸化ナトリウム規定液によつて滴定する方法、2) あるいは光電比色計を用い、塩化バリウム溶液を加えた時の比濁度の変化から硫酸根を定量する方法3) などが試みられているが、滴定の終点はいづれもかならずしも明確でなく、完全な方法とは言い難い。
    筆者は高周波滴定器を用いて硫酸根を塩化バリウム規定液で直接に滴定することによつて加硫ゴム中の遊離イオウ (正確にはアセトン抽出イオウ) および全イオウを正確かつ迅速に定量することができたのでその結果を報告する。
feedback
Top