ゴム充填剤の定量分析を灰分についてX線ディフラクトメーターを用いて行い、従来の化学分析に比して比較的簡単にほぼ満足すべぎ結果が得られる事を認めた。
即ち、亜酸華、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛等の配合ゴムは約900°Cで2時間以上加熱灰化することにより容易に定量を行う事が出来る。低温で灰化した場合は生成する酸化物等の結晶の成長が不充分なためX線の反射能が小さく分析値は過少となる。
酸化チタンを配合したゴムは他の充填剤との反応及びアタナターゼ→ ルチルの転位を避けるため約600°Cで灰化するのが便利であり、且つ灰化前の試料に就いて予め酸化チタンと他の充填剤との混合比を求め補正する必要がある。
ホワイトカーボン、クレー類等の定量はそれ等の製品によつて灰化による変化が一定せず目下の所満足すべき結果は得られない。
又加硫の程度によりCaCO
3配合ゴムの灰化によつて生じるCaSO
4の量が異る事を確認した。この問題は更に検討を続ける。
終りに本研究に対し御指導御鞭撻を得た口本ダンロップ遠藤英磨、京大化研水渡英二、当館化学部長高嶋四郎の諸氏、各種の試料を提供された日本ダンロップ、内外ゴム、丸尾製粉の研究部の方々に厚く感謝します。
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