スチレンブタジエン合成ゴムに対して補強性の大きい活性炭酸カルシウムを数多く製造し, その補強効果をSBRに対して検討した. 供試活性炭酸カルシウムとしては前報1)に引続いて(1)酸基の他にアミン, あるいはメルカプタン又は水酸基をそれぞれ有する有機薬剤, 更に酸基の他にこれらの官能基を2種以上有する有機薬剤を含む水酸化カルシウムの水溶液に炭酸ガスを導入して得る方法, (2)多硫化ソーダあるいは多硫化カルシウムを含む水酸化カルシウムに炭酸ガスを導入して製造する方法, の2種について研究を行ない, いずれもSBRに対して, 従来の軽質炭酸カルシウムにくらべてはるかに補強性の大きい活憔炭酸カルシウムを得ることに成功した. すなわち, これらの活性炭酸カルシウム配合加硫物の中には, 軽質炭酸カルシウムのそれにくらべて切断時力が3~4.5倍におよぶものが数種発見され, 従来の白色系表面処理炭酸カルシウムのおよばない補強性をもっていることが示された.
グルタミン酸ソーダを活性剤に用いた活性炭酸カルシウムの平均粒子径は約0.03μであることが電子顕微鏡写真より分り, 粒子の非常に細かいことが示され, 又, 加硫物中においても分散が非常に良いことが明らかになった. この種の充填剤は多硫化物で活性化した活性炭酸カルシウムと同様に, 加工性が非常に良く, SBRに対する安価な白色充墳剤として多くの興味ある実験結果が得られた.
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