加硫ゴムの耐オゾン性試験において生ずるオゾンクラックの定量的評価を行なう試みが, クリープや応力緩和測定を応用して, 二三なされているが, 充分な検討は行なわれていない. 筆者らはオゾンチェンバーとリラクソメーターを用い, 応力緩和測定を行ない, SBR加硫ゴムについて試験片形状, 伸び, オゾン濃度などの基礎的な面について検討を行なった. ある条件下では応力保持率は時間に比例し,
R=-Kt+bなる簡単な直線で示されることがわかった. ここに
Rは応力保持率,
tはバクロ時間,
Kおよび
bは材料, 伸度, 濃度などによってきまる定数である. オゾンき裂防止剤含有の配合物も, 初期にある誘導期間をもつものはあるが, 直線性は失なわない. 以上の実験結果から緩和速度比例恒数
K, 切片
bまたは半緩和時間
RHは材料の耐オゾン性の定量的評価に役立ち, また従来の視覚的な評価による経験的事実とよく相関を示した. 以上のことから従来の視覚的な評価に加えて, 応力緩和測定を行なえば材料の耐オゾン性を比較的正確に評価することができると思われる. なおオゾン濃度のチェックに標準加硫ゴム試験片を用いて応力緩和過程を測定する方法も可能性がある.
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