トレーサーとしてS
35およびZn
65を用いて, ZnOとTTとの不均一系反応について, 種々の条件で反応を行なった.反応生成物はキシレン中, ゴム中, および固相系のいずれの場合でもジンクジメチルジチオカーバメート (PZ) であることをIRスペクトル, UVスペクトル, および融点の測定により確認した.ゴムの加硫反応におけるPZの収率は約12%であった.キシレン中におけるこの不均一系反応は日野原の反応速度式が成立つ.
dx/
dt=
Ka-x/
xn… (10)
1/
t In
a/
a-x=
n/
a・
x/
t+
K/
an… (11)
nの値は1が得られた.nの意味は亜鉛華粒子表面のTTに対する反応の不均一性をあらわす.活性化エネルギーは日野原の式より求めた値 (約12kcal/mol) と反応初期における反応速度より求めた値 (約13kcal/mol) とはほぼ一致する.この値よりみてキシレン中における不均一系反応は拡散律速ではなくて反応が律速である.TTとS
*との交換反応において, ZnOまたはPZを少量添加すると変曲点が早期にあらわれ, 交換反応速度も大きくなる.ゴムの加硫反応におけるZnOの作用は, 有機加硫促進剤による元素イオウ (S
8環状構造) の活性化を促進することと, 促進剤と反応するさいゴム分子より水素原子を引抜いてイオウラジカルによる架橋反応を容易にするとみられる.
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