橋かけまたは加硫したゴムの伸びを温度を変えて測定するとある温度 (
Tmax と呼ぶ) で極大値を示す. この極大値を極限伸張比α
c(=1+γ
bmax) と考えると, 同一ゴム, 同一加硫系では, 網目間鎖数濃度ν
eの逆数の平方根に, 橋かけ点分子量
Mcの平方根に比例することがわかった. α
cの
M1/2cに対するこう配はゴムの種類, 加硫系によって変化した. 一方,
Tmax は網目間鎖数濃度ν
eとともにほぼ直線的に減少し, そのこう配もゴムの種類, 加硫系によって変化した. またこれら試料のガラス化点,
Tgはν
eとともに直線的に上昇した.
Tmax 付近でゴム分子が十分に伸びきっていると考えて, 逆ランジュバン関数からセグメントの数
nを推定し, 一方,
Mcをモノマー単位の分子量
mで割った値,
Mc/
mを求めた. また, α
c=√
nとして, セグメント数
nを推定した. これらの値を比較して,
Tmax 付近でゴム分子がかなり伸びきってから切断すること, 極限伸びはセグメント数の平方根から推定されること, α
c(
Mc/
m)
1/2の値を分子の剛さの尺度としてよいであろうことを結論した.
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