キノンやヒドロキノン, あるいはベンゾノイド環などを含むファーネスブラック粒子表面の官能基のモデル化合物を選び, それらの存在下で2, 2'-アゾビスイソブチロニトリル (AIBN) や過酸化ベンゾイル (B
z2O
2) を重合開始剤として酢酸ビニルの配合を行なった. B
z2O
2の系では, ヒドロキノンとアントラセンとが強い遅延剤として挙動し, AIBNの系では, p-ベンゾキノンやアントラセンがゆるやかな禁止作用を示した. このような現象は, 開始剤を用いたファーネスブラック存在下のモノマーの重合反応に類似している.
ついで, カーボンブラックの存在下で, スチレンと無水マレイン酸との溶液共重合反応を, B
z2O
2を用いて30°Cで行なった. その結果, かきまぜの速さを増すにつれて重合収率が低下した. このことは, B
z2O
2の作用で生まれた粒子表面の活性点ヘポリマーラジカルの結びつく反応が, かきまぜによって促進されることを意味する.
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