理想的な Affine 変形に基づくゴム状領域を持つ網目構造のポリマーの張力と延伸率間の関係については, 次式(1)が提出されている.
f=ν(0)RT(α-α
-2) (1)
しかしながら, 著しく高度の架橋密度のポリマーの場合では, その異常な立体的構造のため式(1)に補正を施した次式(2), あるいは(3)が成立する.
f=r
2(網目鎖)/r
02(自由空間鎖)•ν(0)RT(α-α
-2) (2)
Φ=
r2/
r02 とおきΦをフロント因子とすれば, 式(3)となる.
f=Φ•ν(0)RT(α-α
-2) (3)
ずれ弾性率
Gを用いて式(3)を書き直せば, 式(4)のようになる.
G=Φν(0)•RT (4)
更に, かかる高度架橋ポリマーの場合, 延伸率の影響を考慮すると, 式(4)は式(5)となる.
G=Φ•ν(0)•RTΓ(λ
m) (5)
ここで, λ
m=
rm/ri であり,
rmは一個の鎖状分子の最大長,
ri は未伸長下の平均鎖長. 更に,
Γ(λ
m)=1+6/5λ
m2+297/175λ
m4+…… (6)
一般に重合度
n, セグメント長
lなる高分子鎖の, 最も存在確率の大きい, 平均自乗末端間距離
r02は, 式(7), 最長分子鎖
rmは式(8)で示される.
r
02=c
nnl
2 (7)
r
m=qnl (8)
ここで
cn, qは共にポリマー構造に関する定数であり, 次式(9)が得られる.
λ
m=(q
2•n/Φ
n•c
n)
1/2 (9)
式(6)は0<1/λ
m<0.88の領域では, 近似的に次式(10)となる.
Γ
app(λ
m)=1/(1-6/5λ
m2)=5λ
m2/(5λ
m2-6) (10)
(5), (6), (9), (10) などより次式が誘導される.
ν(0)RT/G=1/Φ
n-6c
n/5q
2•n (11)
高度架橋高分子の場合, 真の架橋密度をν′(0), 式(1)より求めた見掛けのそれをν(0)とすると,
ν′(0)/ν(0)=1/Φ
n-6/5(0.83)
2n
0.43 (12)
さて, ν(0)の小さい範囲ではν
M(0) (機械的方法)>ν
S(0) (膨潤方法) という常識的な関係が存在するが, ν(0)の大きい範囲では逆転してν
M(0)<ν
S(0) となり, この理由は不明であったが, 式(12)により解明した.
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