A相, B相, C相及び粒子相よりなる粒子複合加硫物モデル(Fig. 2)において, 繰り返し圧力を与えた場合, 体積弾性率, 動的弾性率, 体積などの巨視的力学量の動的過程を検討するため, 繰り返し圧力過程での巨視的力学量及びゴム分子鎖のスピン-スピン緩和時間, 並びにゴム分子鎖間相互作用(物理結合)量の微視的量の変化について検討した.
その結果, 繰り返し圧力過程で, 運動性に富むA相部はゴム分子鎖間の相互作用の減少により, 自由体積の増加とゴム分子鎖の切断に起因し, スピン-スピン緩和時間は増加する. 一方, 非運動性のC相のゴム分子鎖間の相互作用の増加により, 自由体積の減少とその容積は増加することを確認し, 繰り返し圧力過程によるゴム分子鎖密度分布変化モデル(Fig. 20)を提案した.
また, このモデルより, 繰り返し圧力過程での体積弾性率, 体積, 膨潤網目密度の変化挙動を明らかにすると同時に体積弾性率
Kcomp (
N)は, 主としてA相部のゴム分子鎖間の相互作用の減少による自由体積の増加(スピン-スピン緩和時間
T2Aの増加)に起因して変化し, 次式で近似されることを導いた.
K
comp(N)={K
0+γ(T
2A(N))
-1}•{(1-V
f)•(1-C
*V
f)}
ここに,
T2A(
N)はA相部のスピン-スピン緩和時間,
Nは圧力繰り返し回数,
Vfは粒子体積分率,
C*は
C相の粒子単位体積当たりの体積分率,
K0, γは定数.
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