ころ状摩耗粉生成機構を調べるため, 容易にころ生成によって摩耗する消しゴムとガラスディスクの間で摩耗実験を行った. ころ生成に必要な条件をもとめ, また, 摩擦面を観察することによってころ生成機構を調べた.
低接触圧力及び低摩擦速度では消しゴムの摩耗率は低く, ころ生成による摩耗は起きなかった. そのときには移着フィルムのみが相手ガラスディスクに見られた. もし摩耗粉が作られても, フィルムに伸ばされてしまう. これらのフィルムは摩擦軌道から容易に脱落しない.
臨界接触圧力と臨界摩擦速度以上でころ生成による摩耗が生じ, 摩耗率は高かった. 消しゴムの伸び, 強さや硬さが低いとき, ころは容易に作られた. そのとき小さな摩耗粉は初期状態で作られ, 摩擦面をすべりを伴いながらころがって移動する. それらはおのおのの速度が違うため合併して大きくなる. ある摩耗粉はフィルムを巻く. 大きな摩耗粉のいくつかは分裂するが, 摩耗粉の合併が主体である. 巨大化した摩耗粉は再度摩擦面に入ろうとするとき, ピン前部で排除される. このように, ころ生成による摩耗が起きるとき, 摩耗率は高い.
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