船尾管シール装置のシールリングにおいて最も重要な問題はブリスターであり, シールリング材(フッ素ゴム)とブリスターの関係を明らかにすることが必要である. しかし, 実験室でシールリングにブリスターを確実に再現させることは非常に困難である. このためブリスター発生につながると考えられる要因とシールリング材質との関係について検討した.
ブリスターの発生が水の存在と密接に関係していることから, 耐水試験後の物性値変化率の測定を行った. 次にブリスターを一種の割れと考え, 割れとゴム材の関係を試験し, またゴム中の充てん剤の溶解によるブリスターへの影響を考えて, 水中での充てん剤の溶解性に関しても試験を行った. この結果, ブリスターは加硫が進みすぎ架橋密度が高くなると発生しやすくなる傾向が認められた, CaOは二次加硫中フッ化水素をとらえ発泡防止に効果があった. また, ゴムの変形によって大きな応用のかかる部分にあたる充てん剤は水に溶解しやすく, この溶解跡が核となって割れが進行しブリスターになる可能性のあることなどが明らかになった.
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