ブタジエン系合成ゴムとして, 高シス及び低シスブタジエンゴム(HC-BR及びLC-BR), スチレンーブタジエン共重合ゴム(SBR), アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)の4種を用い, 主としてモノスルフィド(S
1)及びポリスルフィド(S
x)架橋を有する純ゴム架橋体を作製した. 架橋体は溶剤抽出により精製し, 空気中室温でγ線(0~20Mrad)を照射した. 照射前後の試料について引張試験及び膨潤実験を行った. その結果, γ線照射により引張応力(弾性率)と硬さは大きく増加し, 伸びは大きく低下したが, 引張強さの変化は小さかった. この傾向は架橋構造(S
1かS
xか)に依存せず, 4種のゴムに共通であったが, γ線による変化の大きさは, 定性的ではあるがHC-BRにおいて一番著しいと思われる. 膨潤実験により決定された有効網目鎖濃度は, いずれの架橋体においてもγ線照射により増加し, 弾性率の変化と対応していた. ブタジエン単位, 特に1,4構造を含むゴムの純ゴム架橋体は, γ線により架橋反応が更に進行して物性が変化し, 照射に対して安定とはいえない.
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