相溶系の組合せであるニトリルゴム(NBR)/ポリ塩化ビニル(PVC)ブレンドの純ゴム系及びカーボン充てん系について, パルス法NMRによる伸長状態下でのスピン-スピン緩和時間
T2の測定を行い, 系の分子運動性と一定伸長下の応力緩和挙動との対応づけを検討した.
T2測定では, 10nm以下の大きさでNBR相中に分散したPVC相の存在が確認され, 変形に伴う各相の分子運動性及び成分量の変化を捉えることができた. 応力緩和速度は伸長比に対して増加し, その非線形性はPVC相の分散に伴う内部粘性の増加, PVC相への応力集中に伴う塑性的挙動等に基づくことが推定された. 変形に伴う高次構造変化の影響で, 純ゴム系の寿命分布は, NBR単独の純ゴム系と同様に偶発破壊の特徴を示すことが明らかになった. カーボン充てん系の
T2値の伸長比依存性には応力緩和をもたらすPVC相の塑性的挙動が反映され, NBR単独の系に比べて, 充てん粒子によるゴム網目鎖の分子運動性に対するひずみ増幅作用の効果が抑えられると推定された.
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