日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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22 巻, 4 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1976 年 22 巻 4 号 p. Cover13-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1976 年 22 巻 4 号 p. Cover14-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 杉信 賢一, 島貫 忠幸, 佐久間 勉, 真木 芳助
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 231-235
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    アカクローバ茎割病(Northern anthracnose, Kabatiella caulivora (Kirchn.) Karak.)抵抗性の遺伝様式を明らかにする目的で1973〜1976年に試験を行った。用いた材料は抵抗性2母本個体(R-1,R-2),感受性2母本個体(S-1,S-3)で,これらの交配第1代の抵抗性を検定し,さらに抵抗性個体間のF_1と感受性個体S-1との検定交配第1代および抵抗性F_1個体間の交配第1代F_2)の抵抗性を検定した。結果は次のとおりである。1.抵抗性個体間のF_1では抵抗性9:感受性7の,抵抗性個体×感受性個体のF_1では抵抗性1:感受性3の分離がみられた。感受性個体間のF_1はすべて感受性であった。2.抵抗性個体間のF_1と感受性母本S-1との検定交配第1代では,抵抗性1:感受性3の分離比を示したF_1は1個,抵抗性1:感受性1の分離比を示したF_1は6個であった。3.F_2では,抵抗性F_1個体間の6組合わせで,抵抗性3:感受性1の分離比が認められ,他の6組合わせでは全個体が抵抗性を示した。以上の結果から,アカクローバ茎割病抵抗性は優性の2対の補足遺伝子で支配されているものと推定された。
  • 広田 秀憲, 阿部 悟
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 236-241
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    トウモロコシ(品種シロモチキビ)を用いて,発芽時における光の有無および明暗交互(12時間ずつ)の処理が種子根の根端細胞の分裂頻度の多少と細胞の長さに及ぼす影響を,置床して2日後と4日後の材料について検討した。種子を25〜28℃の恒温器内の湿った〓紙上で発芽させ,明処理(種子の位置で800〜1300luxとなるように6wの螢光灯で照明),暗処理,明暗処理(明処理の明かるさで12時間ずつ12時間間隔で照明)の3つの処理を行なった。得られた結果は次のとおりである。1.明処理および明暗処理の区では種子根の根端の細胞分裂が旺盛で根端から1100μm以後でほとんど分裂しなくなるが,暗処理の区では全般的に細胞分裂の頻度が少なく,分裂の旺んになる位置が100〜200μm基部の方向にずれ,少し後方にまで分裂が続く。2.表皮,皮層,中心柱の各組織について根端から100μmごとに細胞の長さを測定した。根端から1000μm以後の伸長帯では,暗処理によって表皮を除く各組織の細胞の長さが増加した。3.置床後7日間の発芽種子の種子根および幼芽の伸長を処理区別に測定した。その有無は種子根の長さには影響しないが,暗処理区では中茎の伸長が著しかった。以上の結果から,根の生長は内在的な要因でなされるのが基本であるが,光などの環境条件によってもかなり影響を受けるものと考えられた。
  • 前田 敏, 米谷 正
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 242-249
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牧草の刈取適期の判定のためには,まず経時的に連続した生長の実態の把握が大切である。現在,普通に利用されている生長解析の手法は,連続的な曲線となるべき生長函数が,非連続的な直線のつながりとしてしか得らない欠点がある。また,実測値は種々な偶然的要因の影響をうけて攪乱されている。実測値の統計的取扱いによって,これを回帰曲線にならすことができれば,連続的な生長の実態の把握も可能になると思われる。ここに,イタリアンライグラスを用い,秋,冬,春の各生長経過に対するロジスチック曲線の適合について検討した。地上部乾物増加のロジスチック式は,全事例とも回帰係数0.1%水準で有意であり,生長経過に忠実な回帰曲線を得ることができた。葉面積指数増加のロジスチック式は,全事例(9例)のうち2例は,最適葉面積指数期以降における軽度の倒伏や水分障害のために,ロジスチック式によって回帰処理を行うことができなかったが,残りの7例では,いずれも回帰係数が0.1%水準で有意なロジスチヅク回帰曲線を得ることができた。なお,各ロジスチック式のパラメーターkの値によって地上部乾物増加曲線或は葉面積指数増加曲線の立ち上り勾配を比較することができるが,これは年度,季節によって異なり,春,秋,冬の順にゆるやかになる。さらに,積算温度或は積算日射量と地上部乾物増加との間にも回帰係数1〜0.1%水準で有意なロジスチック回帰曲線を認め得た。概して積算温度或は積算日射量に対する地上部乾物増加曲線の立ち上り勾配は,平均気温が低いほど或は平均目射量が強いほど急である。
  • 佐藤 庚, 松本 栄一
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 250-255
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    刈取り前10日間自然光型ファイトトロンで昼温17℃,24℃および30℃(夜温はそれぞれ5℃低い)で生育させたヒエを地際から地上5cmの高さで一斉に刈取った後,それぞれを17℃,24℃および30℃のファイトトロンに搬入し,20日間生育させ,その再生状況をしらべた。1,刈取り前の温度と生育:高温ほど刈取りまでのRGR,RLGR,NARが高く,草丈,茎数,葉数,葉面積および乾物重が大きく,刈株および根の乾物重も大であった。刈株の窒素および炭水化物の含有率は低温ほど高かったが,含有量は高温ほど多かった。2.刈取り前後の温度と再生:(1)再生過程の茎数および再生は刈取り前の温度が低いほど大きく,刈取り後の温度は高いほど再生量が大きかった。(2)刈取り後20日目の地上5cmまでの刈株中における窒素含有率は刈取り前が低温の場合に高く,た刈取り後の温度も低温ほど高かった。TAC含有率も窒素と同様であったが,含有量は刈取り前17℃で,刈取り後は高温ほど高い値を示した。(3)刈取り時の刈株の窒素および炭水化物含有率の高い場合に再生量が多かった。しかし含有量は再生と関係がなかった。3.本実験の範囲では,刈取り後の再生量は刈取り前の温度が低いほど,また刈取り後の温度が高いほど大きかった。
  • 田嶋 公一, 秋田 重誠, 清水 矩宏
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 256-260
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    1)寒地型牧草の夏枯れに対する抵抗力の草種間差異の生理機構を明らかによる目的で,トールフェスクとペレニアルライグラスの水分代謝におよぼす高地温の影響をしらべた。2)両草種とも,高地温によって生育が低下したが,気温の低い場合には生育低下の程度の草種間差異は明らかでなく,気温の高い場合に草種間差異が現われる傾向が認められた。3)気温が低い場合には,両草種とも高地温により葉身水分含有率が低下することはなかったが,気温が高くなるとペレニアルライグラスは葉身水分含有率が低下する傾向が認められた。しかし,トールフェスクではその低下は認められなかった。4)両草種とも,高地温によって気孔の開度が変化する傾向は認められなかった。5)ペレニアルライグラスは高地温によって蒸散が落しく低下することが認められた。これに対してトールフェスクは,高地温による蒸散の低下が比較的少なかった。6)ペレニアルライグラスが高地温,高気温時に葉身水分含有率が低下するのは,高地温による根の吸水力の低下程度がトールフェズクよりも大きいことが原因と推定され,同草種がトールフェスクよりも夏枯れに弱い理由のひとつと推測される。
  • 中野 尚夫, 西田 正義
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 261-267
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    模式的に造成したトールフェスク・ダリスグラス混生草地を用いて,混生草地の季節生産性を混生草地内の両牧草の季節生産性から検討した。得られた結果は次のとおりである。1)年間総生産量はトールフェスク,ダリスグラス単播草地の生産よりも高かった。2)混生草地の季節生産性は,両牧草地併用利用と同様,春と秋に生産ピークのある2頭曲線で示された。しかし,混生草地の生産は両牧草地併用利用にくらべて春先の生産が高いこと,および秋の生産が春の生産と同程度であることから,両牧草地併用利用方式よりも生産の季節的平準化がなされていると考えられる。3)なお,両牧草地併用利用における生産ピークは両牧草の生産ピークの重なりによるものであったが,混生草地の生産ピークは春はトールフェスクの生産ピーク,秋の生産ピークはダリスグラスの生産ピークによるものであり,両牧草の生産ピークの重なりはない。4)混生草地内の両牧草の季節生産性は単播草地での季節生産性とは異なるパターンを示した。すなわち,トールフェスクについては3〜6月の生産は単播草地と同程度あったが,7月以降の生産は著しく抑えられており,ダリスグラスについては4〜7月の生産は抑えられていたが,以降の生産は単播草地の生産に近かった。このような混生草地での両牧草の季節生産性が単播草地での季節生産性と異なる原因は両牧草の競争,特に光に対する競争の結果と考えた。
  • 橋爪 健, 西村 修一
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 268-272
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    An experiment was conducted to investigate the response of warm-season grasses to the different duration of light competitive condition with preceding cool-season grasses into which the former species were undersown. Four warm-season grasses, i.e. green panic (Panicum maximum var. trichoglume cv. Petrie, abbr. as P), setaria (Setaria anceps cv. Kazungula, abbr. as S), rhodesgrass (Chloris gayana cv. Pioneer, abbr. as R), and dallisgrass (Paspalum dilatatum, abbr. as D), were sown in 12 cm diameter pots with four replications on Sep. 1, 1975. It consisted of five treatments regarding number of days under shade (29% daylight, abbr. as shade or s), i.e. 0s, 12s, 21s, 27s, and 34s from sowing, and then moved into light (87% daylight, abbr. as light), shown in Fig. 1. 1) Total plant dry weight showed the highest in R under continuous light (0s), but under continuous shade (34s) P was the highest, and S, R, and D decreased in order (Table 1). 2) The reduction of RGR owing to the shading was heavier in D, comparing other species. Two modes of adaptation to compensate the lowering of RGR under shade were observed, i.e., by means of a) the increased LAR in accordance with the higher SLA such as P, or the higher value of SLA and LWR such as D, and b) the least decline of NAR such as S and R (Table 2 and 4). 3) The increase of RGR after the transference from shade into light was observed in all the species. But after 27 days of shading, P showed less recovery comparing to D (Table 3). 4) The relationships between the log value of the total relative radiation (ΣR) and RGR were as follows (Fig. 2), a) In sptite of the highest RGR under light, R decreased rapidly in accordance with the shading. b) The smallest RGR was observed under both light and shade in D. c) The reduction of RGR with that of ΣR was not severe in P and S, comparing to R and D. 5) The difference in the shape of leaf blade among those developed under shade and light was observed especially in D (Table 5). 6) These results show that P, S and R may be suitable for undersowing practice in respect of higher dry matter production up to about 20 days of 30% daylight. But D is characterized in the highest recovery of RGR after transference into light.
  • 津川 兵衛, 佳山 良正
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 273-279
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本報では,1個体あたりの根群数とそれらの根群の発達程度,1個体あたりの連結茎の長さ,連結茎の維管束環数別節間組成とその組成比の検討を通して,クズの繁殖において重要な役割を演ずる発根節の分離の概要を明らかにしょうとした。そして次のような結論を導いた。発根節は単独で分離するか,極く少数の発根節が連なって分離する場合が多い。たいていの発根節はその根群がR-IVに達する以前に親株から分離するが,稀にはR-IVに達するまで親株とつながっていることもある。たいていの場合には,連結茎を構成している節間は第3維管束環が形成される頃までに枯死するか,あるいは切断される。このようなことから,発根節の分離はかなり頻繁に繰り返されることが示唆される。連結茎の枯死あるいは切断の原因としては,昆虫の幼虫による食害,クズのいぼ病等の病害,茎の生理的な老朽化が挙げられる。
  • 川村 修, 千秋 達道, 堀口 雅昭, 松本 達郎
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 280-288
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牧草を構成する組織,特に,その細胞壁の反芻胃内における消化性を数量的に考察するために,オーチャードグラスの葉身をペクチナーゼで処理し,葉肉柔細胞よりなる柔組織画分,厚膜組織・維管束・表皮よりなる機械組織画分およびこれらの組織が混在する混合画分に分画した。本法によって,葉身に含まれるNeutral Detergent Fiber (NDF)の19%が柔組織画分に,11%が混合画分に,59%が機械組織画分に回収された。機械組織画分は柔組織画分に比して,リグニン含有率が高かった。in vitro NDF消化率は,柔組織画分96%,機械組繊画分69%で,葉身のそれは両画分の中間値(84%)を示した。牧草の消化性は,柔組織画分の量にかかわらず,機械組織画分のNDFの量と消化性によって決定されることが示唆された。
  • 美濃 羊輔, 山口 雅美
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 289-292
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    オーチャードグラスの茎下部から得られる繊維状不溶性画分に,数種のフェノール性物質が結合型として存在することが明らかにされた。過塩素酸により加水分解されて遊離してくるもののうち,主成分がペーパークロマトグラフィおよび紫外線吸収スペクトル分析により,クロロゲン酸と同定された。
  • 吉田 重方, 佳山 良正
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牧草種による硝酸集積の差異を明らかにすることを目的として,供試する栽培条件をイタリアンライグラスを用いて検討し,ついで21種44品種の牧草を同一の窒素施用条件下で栽培し,それら収穫植物体における硝酸の集積状況について調査した。得られた結果は下記のとおりである。1.イタリアンライグラスにおける硝酸集積量は培地中の硝酸態窒素濃度が増加するにつれて高まり,とくに,培地中硝酸濃度が100ppmまではいずれの品種においても急激に増加した。2.イタリアンライグラスの硝酸含量は地上部,地下部ともに令の進行に伴って低下した。3.100ppm(NO_3-Nとして)の硝酸態窒素を含む培養液で牧草を水耕栽培したとき,牧草種による硝酸集積のし易さにはあまり顕著な差異は認められなかったが,2品種以上の品種を供試した牧草の平均値を基準にとれば,次の順序であった。イネ科牧草:オーチャード(17.71mg/1g.DW)>チモシー(16.99)>メドラ・フェスキュー(16.16)>ケンタッキーブリューグラス(14.97)>ローズグラス(10.63)>イタリアンライグラス(10.23)>ベントグラス(9.20)マメ科牧草:白クローバ(17.27)>アルサイクローバ(15.71)>赤クローバ(13.81)>ルーサン(7.75)また,イタリァンライグラスでみられる硝酸含量の品種間差異はチモシーやオーチャードでみられる差異に比べて大きかった。4.イタリアソライグラスおよび3種のマメ科牧草(赤クローバ,白クローバ,ルーサン)の再生植物体の刈取別硝酸含量について調査したが,4番刈草の硝酸含量がそれ以前のものに比べて低いこと,およびルーサンの硝酸含量がいずれの刈取時においても他の牧草の硝酸含量に比べて低いこと以外は明確な関係は認められなかった。
  • 須崎 尚, 広田 秀憲
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    冬期間農家の牛舎に舎飼いされていた子牛が春から秋の間公共草地に預託放牧されると種々のストレスを受けやすい。このストレスの原因究明と予防策を探ろうとして昭和48年5月から10月までの間,新潟県新発田市営板山放牧場に預託放牧された81頭のホルスタイン種めす子牛を対象として放牧活動を観察し,入牧時の月齢,補助飼料給与時の角つき行動などからみた牛の強弱などと増体との関係について調査を行い考察を試みた。その結果は次のように要約される。1.放牧の初期,終期ともに月齢と勝率との間に相関が認められたが,勝率と体重との相関は放牧終期にのみ有意であった。2.放牧経験牛は未経験牛よりも勝率が高く,遅れて入牧した牛は他の牛よりも勝率が低かった。3.入牧後1か月の増体量と放牧全期間中の増体量とは相関が有意であった。4.舎飼期間中多頭飼育されていた子牛は,少頭数飼育の農家の子牛にくらべて入牧後の増体がすぐれた。以上の結果から,公共育成牧場に放牧されている牛群はまだ月齢が若く,他の動物の社会にみられるような順位制の顕著な社会構造を作っておらず,数頭を単位としたグループの集まりであるということが考えられる。したがって,入牧前からグループを作りやすくするような社会的馴致を考慮することは,育成牛群の増体にとって良い結果をもたらすということができよう。
  • 佐藤 衆介, 山岸 敏宏, 水間 豊
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    牛群の最も基本的な性質の1つである集合性を解析するため,日本短角種雌牛(N種)12頭,種雄牛1頭,黒毛和種去勢牛(B種)6頭,およびホルスタイン種去勢牛(H種)6頭の計25頭を,東北大学付属農場の野草放牧地(約90ha)に昼夜放牧し,6月から8月にかけて計20日間,放牧牛群の行動を調査した。放牧牛群は,1群で行動せず,いくつかのサブ・グループに分離した。そこで調査は,まず,観察されたサプ・グループごとに構成個体を調べ,すべてのサブ・グループの構成員を明らかにし,次に,採食形におけるサブグループについて,各個体の体軸の向きと相対的位置を10分間隔で図にとり,各個体のサブ・グループ内での位置と役割を見出すことを試みた。主な結果は次のとおりである。1.H種は,同品種だけでサブ・グループをつくる傾向が極めて強かった。B種でも,同品種で集まる傾向を示した。それに対し,N種では,B種を区別せずサブ・グループをつくる傾向がみられた。2.採食形におけるサブ・グループにおいて,各個体の位置と役割に,品種によって特徴的な行動が見出された。すなわち,N種は他の牛に追随する傾向(フォロアーシップ)が少ないし,H種は他の牛と全くかけはなれたような行動が少なく,B種は採食移動の先頭をきる傾向が少なかった。3.採食移動のなかで,集合性の強度の低い個体が先頭をきったり,他個体から離れて行動する傾向がみられた。4.種雄牛は,採食移動の方向性を支配していなかった。5.採食フォーメイションは,採食移動方向が一方向だけで,先頭をきる個体がいる,いわゆるpear-shaped grazing formationが全体の半数を占め,典型的なフォーメイションと考えられた。6.群れの分離をうながす要因である採食移動方向の多方向化を示す採食フォーメイションは,全体の33%を占め,採食移動中に常に群れの分離徴候が内包されていることが明らかとなった。
  • 佐藤 衆介, 伊藤 巌, 林 兼六
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 313-318
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    放牧牛群の食草時におけるspatial patternに及ぼす季節および牧区面積の影響を調査するため,混播草地に放牧された牛群(4頭)の分布を5分間隔で調査した。そして,各個体について,最近接個体との距離を測り,CLARK and EVANSの方法(1954)によって各分布間の比較およびランダム分布との比較をした。観察は,1974年には日本短角種去勢牛4頭を供試し,1975年には黒毛和種去勢牛4頭を供試して行なった。それぞれの群は,各季節の観察日の間,6.25a(25×25m)から75a(50×150m)の8牧区に放牧された。1.季節の影響夏季には,放牧牛群は最も強い集合を示した。秋季には,牛群は散開して食草した。春季には,夏季と秋季との中間的分布を示した。2.牧区面積の影響春季と秋季とでは,牧区面積が広くなるにつれて,R値(観測値/ランダム分布の場合の期待値)は低くなり,すなわち牛群は集結的になり,牧区面積が狭くなるにつれてR値は高くなり,すなわち牛群は散開的になった。そして35a(50×70m)から40a(50×80m)の牧区でR値は1つのピークを形成した。
  • 佐藤 衆介, 伊藤 巖, 林 兼六
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 319-321
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 沼田 真
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 321-322
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 沼田 真
    原稿種別: 本文
    1976 年 22 巻 4 号 p. 322-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1976 年 22 巻 4 号 p. 323-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1976 年 22 巻 4 号 p. 324-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1976 年 22 巻 4 号 p. 324-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1976 年 22 巻 4 号 p. A1-A2
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1976 年 22 巻 4 号 p. A3-A5
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1976 年 22 巻 4 号 p. Cover15-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    1976 年 22 巻 4 号 p. Cover16-
    発行日: 1976/12/25
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
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